松林桂月 秋山探奇図 なんでも鑑定団 | OH!江戸パパ

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なんでも鑑定団出品作品、義父の家から発見しました

1876年8月18日 - 1963年5月22日

 

 

江戸期~明治の絵を普段は収集していますが、これは昭和期の作品です、作者は松林桂月で、戦前に活躍した南画を得意とした日本画家です。

 

 

この絵は秋山探奇図と書いてあり、桂月山人と箱書きに書いています。細部にはこだわらずライブ感があります。よく見ると足がなくどことなく色も薄めで本物であろうとは思いますが疑惑の一品です。

 

 

漢詩が書いていますが、まったくわかりません。南画・文人画は絵・書・詩が一体になり、写実ではなく心象風景を表した作品です。

 

 

おそらく共箱で箱書きも本人だと思われます。

南画はよく言われますように、明治以降の美術の方向性に多大な影響を与えた岡倉天心・フェノロサにより排斥され、急激に勢いを失い価値のないものと思われるようになりました。西洋人が見る目から日本美術を評価するようになってからは、南画はつまらないジャンルと見なされています、しかし南画は長時間見ても飽きのこないいいものだと思います。

 

松林桂月は現在も続く社団法人日本南画院の創設メンバーであり、文化勲章も授章しています。この日本南画院は現在も存続して活動を続けて定期的に展覧会が行なわれています。わかりやすく言えば・・AKBやジャニーズやエグザイル、アーティスト系の音楽がテレビ向けに売れているとは別に、演歌は定着して根強い人気で歌い継がれるジャンルで、南画はこの演歌のポジションに似ていると思います。

 

漢詩が読めないのと登場人物が誰だかわからないので、これがわかれば作者の意図がわかり何倍も面白くなると思います、この作品の入手経路は義父の一周忌の法要の折り、義母から押入れの天袋から出てきた掛け軸の鑑定の依頼がありました。法要の後に掛け軸を4本下ろして、開けてみるとそのうち1本はプリント製品で美術的には価値の無い物、2本は肉筆で中田欣象(なかたきんしょう)という日本画家の作品。そして最後の1本の箱書き、書名・印を見ると、松林桂月と署名があります。

 

色が薄く画中の人物もよく見ると足が書き込んでなく微妙な作品で、南画というジャンルもわかりにくいのでダメもとでなんでも鑑定団に依頼のメールを送りました。

 

わすれた頃にたつの市での出張鑑定での出場依頼があり、妻と義母を引き連れて参加しました。出演者の控室に案内されロケ弁を食べながらの打ち合わせでは出場の順番はトリでした。司会はダンカンさんで日本画の鑑定は安河内さん。約25分くらいドッカンドッカン笑いをとりながらしゃべりましたがオンエアはいいとこどりで4分くらいでした。

 

 

結果はジャカジャン!見事疑惑が晴れて本物という判定!

 

安河内さんの解説によれば七言絶句で、「遠くに白い雲が見え人がいるようだ、一林楓の葉に霜が帯びているようだ、日頃から枯れた淡い秋の山を書くのが好きだ。」で1930年の初秋桂月54歳の作品で本物という判定がでました。放送は2018・3・27でした。

 

via 大江戸浮世絵美術館
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