いよいよ装填します。
スライド後端を摘んでゆっくり引っ張ってみる。
エジェクションポートの中でバレルが後退、リコイルSPプラグと分離するのが見える。
その後バレルがフレームに当たって止まるとエジェクションポートは開口部を広げてマガジン最上部のタマが見えるようになる。
そのタマが全身を現す頃に、スライド側面のロッキングブロックの切り欠きがハマる辺りにあるでっぱりがフレームのトンネル部分に当たって最後退位置に辿り付く。
スライド後端を摘んでいる左手をぱっと離すと、勢いよく初弾がチェンバーに押し込まれて小気味いい音を立てた。
装填完了、発射準備おっけーである。
が、無発火モデルなので後は空撃ちしかできん。
タマや空ケースが飛んでいく方向を気にすることなく楽しめると思うべきか。
ともかく、トリガーを引いてみましょ。えい。かち。
噂のシアーバーの動きは引っ掛りもなくスムーズ。
照準する視界の中ではっきりと動きが見えるシアも珍しいのう。
だがなんせストロークが長い。重いとは言われているけど(モデルガン同士で比べると)ガバよっかは軽いプル。
でもストロークはDAオートのSA並みに長い。
フィーリングを文字で表現すると「ぐにゃり」。
昔ポルシェのシフトフィーリングを揶揄するのに「糖蜜をスプーンで掻き混ぜる感触」などとは聞いたことがあるが
まさにそんな感じ。
リリースのポイントも解り難い。
これはトリガーの動きがシアーバーに伝わるときに、動作方向が90度変換される構造にあると思われ。
恐らく小型化を目的とした構造と思われるがすごい独特で面白い。
ルガーP08も似たような構造らしいが良く知らん。
で、リリースされたハンマーはと言えば、無発火モデルを前提としているせいか非常に優しく落ちまする。タイムラグすら感じる。
まあ破損の心配が減るので有難いことです。
ディスコネクタ-の働きを確かめるべく、トリガー引きっぱなしでボルトを操作。
カートはスライド真上のエジェクションポートから、律儀に真上に排出される。
ダミーカートは重いのであまり勢いがないのが少々寂しい。
ディスコネクターの働きも問題なし。スライド後退時点でシアーバーがかちっと戻るので見た目でも確認できる。
最初これほど大きな動きをするシアーバーが露出していることに不安を覚えたが、考えてみればワルサーP38タイプのトリガーバーも露出しているし(あっちはもっと動きが大きいしね)
露出自体はあまり問題ではないのかも知れん。
あと5回同じ動作を繰り返してホールドオープン。
フィーディングもエジェクションも、マガジンの動きにも特に問題なし。
とっても良く出来てます。
…モデルガンは。
僭越にもこのモデルガンから実銃を考察するに。
軍用拳銃の役割って、あくまで将校とかの自衛用じゃん。
特に当時は多弾数とかを要求されてはいなかったけど、7~8発くらいの弾数は欲しかった気がする。
非力な8mm南部弾だしね。
確かに十四年式よりは小さくなっているけど、装弾数2発と引き換えに出来る程の小型・軽量化にはなっていない気がする。。。
安全面については「極悪」まではいかないんでない?
必ず話題になるシアについても、「露出」はしているが「出っ張って」はいない。
万一シアの側を下にして落っことしても、よっぽど運が悪くなければ、あの細い溝に嵌っているシアがうまいこと押されないと思うんだが。
そのレベルの暴発確率ったら、普通のAFPBなし拳銃と変わらん気がする。
それに当時の拳銃の基本は「片手撃ち」っしょ。普通に握っていたら「不意にシアに触れて暴発」なんてことは
ありえないじゃん。
だから安全です、という結論にはならんけど(マニュアルセフティの脆弱さの件もあるし)シア露出による危険性については、
少々評価が神経質過ぎる気もしないでもない。
話のネタとしてはすごく面白いとは思うが。
例えばドラマなんかのクライマックス。主人公と悪人が銃撃戦の末・・・
悪人 「くっくっく、お前の九四式のマガジンを抜いてやったぜ!
薬室に一発あるとはいえ、マガジンセフティのせいでおれを撃てまいっ!」
主人公 「くっそう!汚いぞう!」
悪人 「市ねええ!」
ばーん
悪人 「な・・・なんだって・・・」
主人公 「ふっふっふ、この九四式はトリガーがブロックされていても直接シアーを押すことで
発砲できるのさ!」
悪人 「お・・・の・・れ・・ バタリ」
…みたいなw
そんな話題にも事欠かないステキ拳銃でした。
MGC P220とツーショット。
新旧の日本サイドアーム(の同型)
おしまい。