”甘いのは悪酔いするよ”


  そんな友達の声で 呑んでみようと思った。


  お酒ななんて 呑めないはずだと思ってたのに

  甘いカクテル3杯は、どんどん体に沁みこんで。


  ウソみたいに甘くて、おいしくて。

  でも少しも酔えなかったの。




   小さなテナントビルのショットバーで

   友達の歌う歌が終わらないうちに
   
   席を立って行った 狭いパウダールームで

   開けっ放しのドアを塞いだ男性に

   抱きしめられた。


   ずるりと侵入する舌に
   一歩 下がった。


   払っても払っても 
   腰を引き寄せて スカートに忍び込む手。


   
   

     ドアの先の明かりも 音も聞こえるのに

     私の声は聞こえなかった。
   





     痴漢に遭うなんて-。