
8日は前日の欧米市場の流れを引き継いで東京市場で株価が続落し、中国などアジア各国でも軒並み下落した。トランプ米大統領の表明通りに中国製品に対する関税が引き上げられれば更なる混乱を招く恐れがあり、市場関係者は9~10日にワシントンで開かれる閣僚級の米中貿易協議の行方に神経をとがらせている。
8日の東京株式市場は、東証1部上場企業のうち8割超の銘柄が値を下げる全面安の展開となった。韓国やシンガポール市場の株価指数が約1カ月ぶりの安値をつけるなど、アジア各国にも株安が波及した。
貿易交渉を巡る中国側の対応に不満を募らせたトランプ氏は、米国時間の5日に中国製品に対する関税引き上げをツイッターで表明。その後、中国の上海総合指数は計5.9%下落し、日経平均も2.9%値を下げた。米国や英国でも7日終値時点で2%程度下落している。
米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は年間輸入総額2000億ドル(約22兆円)規模の中国製品に課している10%の追加関税率を10日に25%に引き上げると明言。トランプ氏は、さらに残る3250億ドル規模の製品にも対象を拡大し、中国からの全輸入品に25%の関税をかける意向も示しており、「2段階」での制裁強化を検討している。 市場では当初、「トランプ氏の発言は、中国に譲歩を迫るための交渉戦術に過ぎない」として、9日に再開する閣僚級協議で高関税は回避されるとの楽観論も根強かった。
しかし、両国ともに強硬姿勢を崩しておらず、SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは「トランプ氏らがあれほど明言してしまっている以上、関税引き上げを撤回するのは難しい。市場は既に第1弾の制裁を織り込みつつある」と指摘する。 深刻なのは制裁が第2弾にまで進むケースだ。
国際通貨基金(IMF)によると、この場合、国内総生産(GDP)は中国で1.5%、米国で0.6%押し下げられる。「中国との輸出入が多い日本や欧州などが無傷で済む可能性はゼロ」(アナリスト)で、世界経済の混乱は避けられない。
みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリストは「10日に実際に関税が引き上げられれば、日経平均株価は2万1000円を割る水準まで売られそう。仮に全輸入品に対象が拡大すれば、2万円の大台を割り込む可能性もある」とみている。
◇米中貿易戦争の経緯 巨額の対中貿易赤字や中国の知的財産権侵害を問題視するトランプ米政権と中国による制裁・報復関税の応酬。両国はこれまで3度にわたり発動している。米国は2018年7月、対中制裁の第1弾として、ハイテク製品を中心に年間輸入額が340億ドル規模の中国製品に25%の追加関税を発動。中国も同規模の米国製品に高関税を課した。
同年8月にはそれぞれ160億ドル規模の第2段を発動。9月の第3段では米国が2000億ドル規模に追加関税を課し、中国が600億ドル規模への追加関税で応酬した。米中は現在、貿易戦争収束に向けた協議を継続しているが、中国側の対応に不満を持ったトランプ大統領が5日、2000億ドル分に対する関税を10%から25%に引き上げると表明した。