ブスとギブアンドテイク
突然だが、世の中はギブアンドテイクである。これは、「せちがらさ」を強調しているのではない。人間の心理としての、ギブアンドテイク。欲求が満たされると、嬉しい。罪悪感が緩和されると、ほっとする。有益な対価が得られるのであれば、手間を惜しまない。人間の行動のモチベーションは、繊細な「塩梅」によって支配されているという話だ。美女は、その容姿が神からのギブンである以上に、存在そのものが、周りの人間にとってのギブである。美女が男性に声をかけられる。その後のワンチャンという、もっと大きなテイクを期待している場合も多かろうが、美女と一緒に飲める、そのこと自体がすでに男性にとってはテイクだ。私にはお声がかからないと、嘆いているばかりのブスは無益である。何を相手にギブできるのか。それを考えることで道は開ける。そりゃあ相手だって嬉しくないだろう、ただブスと飲んでも。人間だもの。++ギブアンドテイクが、ギブとテイク、2つの矢印によって成り立っているように、物事のバランスとは、相対的なものだ。自分があげられないのであれば、相手をあげれば良い。こうして私は「よいしょ」の技術を身につけた。++飲み会の「よいしょ」というと、聞き上手だとか、「さしすせそ」だとかよく言われる。さすが!知らなかった!すごい!すてき!センスいい!そうなんですね!これがいわゆる、さしすせそ。男性を気持ちよくさせるスキルとしてメディアにこすられまくった、アレだ。しかしここには落とし穴がある。これらは、美女が発言した時だけ加点になるスキルなのであって、われわれブスが多用しても、その人間性の浅さを露呈するだけとなり、場には虚しさがただよう。ブスが飲み会に参加するのならば、何事にも「さすが!」と手を叩く美女になりきるのでなく、あなたの思い描く有能な上司を想像して立ち振る舞うとちょうどいい。有能な上司は、語らせるのがうまい。意識高い系ビジネス用語で言うところの「傾聴スキル」だ。そのように行動したきっかけは何なのか。どうしてそう考えるのか。質問を通して、相手を深掘りしていく。語りながら、相手はどこかで気づく。そうか、俺はこういう原理で動いていたのか。実は、僕はこういう人間だったのか。相関しないと思っていたものがクリアに繋がり、言語化されていなかった気持ちに名前がついた時、人は快感を感じる。そして、そこまでいって初めて、美女に微笑みかけられる快感と我々は戦うことができる。気づかせてあげる。これもサービスだ。聞き上手のブスは、そこですかさず言うのだ。「なるほど、〇〇さんは〇〇な人なんですね、さすがです!」と。もうひとつは「論拠」、この場合は「具体性」だ。仕事でも、ただ単に「君、がんばってるね!」と労われるより、「この前の会議の君の発言を聞いて、普段からすごく勉強してプロジェクトに取り組んでいるんだってしみじみ思ったよ。本当にがんばっているね!」と言われたほうが、きっと圧倒的にうれしい。ブスの自分語りに需要はない。発言量は、相手に割くべきである。「〇〇さんの、さっきの〇〇って話、なかなか普通そうは思えないですよね!さすがです!」「こういうネクタイって、イケてる男の人じゃないと似合わないですもん。ステキです!」事実や事例と評価を組み合わせることで、さしすせそに厚みと説得力が出る。しかし、終始褒めるだけでは気持ち悪い。大量のギブを送りまくると、人はそのアンバランスさに訝しみはじめる。時には冗談めいて小さなディスも折り混ぜて。その後は大きなギブでフォローする。++飲み会を制したブスは、やがて商談を制する。そのくらいのテイク、こちらも貰っていいわよね!