2月4日になった。
存分に夜更かしでもしてやろうと思った昨晩も結局疲れに負け、21時前には寝落ちしてしまっていた。時計に目をやると朝の8時半。チェックアウトまであと2時間半もあった。
昨日食べたスナック菓子がまだ腹に残っていて空腹感はなかった。部屋に常設されているケトルで湯を沸かし、インスタントのキャラメルラテを作って飲む。ロンドンで迎える二度目の朝だ。
豪勢にチェックアウトギリギリまでゆっくりしようと決めていた僕は、焦ることもなくスマホをつつきながら過ごした。Wi-Fiが常備されていた為、ここぞとばかりにこの数日間で大量に撮影した異国の高画質な写真をGoogleフォトによってクラウドへバックアップさせ、端末のストレージ容量を空けた。
次に今夜のホテルの予約だ。この時、僕はそろそろ旅全体の進め方、具体的には次の国へ行くタイミング、それに伴うイギリス国内に留まれる最大の期間を模索し始めたほうがいいのではないかと少しづつ考えていた。しかし、ギリシャから帰国する飛行機が発つのが2月24日、今日は2月4日、まだ20日間近くもある。
「まだイギリスの一破片すら観れていない。」「元々コッツウォルズにも行かなければいけないし、イギリスには特に長く滞在するつもりだったじゃないか。」「のんびり行こうよ人生は。」などと考えの薄い思いが頭の中を巡る。まだまだイギリスに居ても大丈夫。今夜の宿もここからさほど遠くないロンドンの町中のホテルを予約した。この選択が終わりの始まりとも言える決断であったとは、この時はまだ想像もしていなかった。
昨日食べたスナック菓子がまだ腹に残っていて空腹感はなかった。部屋に常設されているケトルで湯を沸かし、インスタントのキャラメルラテを作って飲む。ロンドンで迎える二度目の朝だ。
豪勢にチェックアウトギリギリまでゆっくりしようと決めていた僕は、焦ることもなくスマホをつつきながら過ごした。Wi-Fiが常備されていた為、ここぞとばかりにこの数日間で大量に撮影した異国の高画質な写真をGoogleフォトによってクラウドへバックアップさせ、端末のストレージ容量を空けた。
次に今夜のホテルの予約だ。この時、僕はそろそろ旅全体の進め方、具体的には次の国へ行くタイミング、それに伴うイギリス国内に留まれる最大の期間を模索し始めたほうがいいのではないかと少しづつ考えていた。しかし、ギリシャから帰国する飛行機が発つのが2月24日、今日は2月4日、まだ20日間近くもある。
「まだイギリスの一破片すら観れていない。」「元々コッツウォルズにも行かなければいけないし、イギリスには特に長く滞在するつもりだったじゃないか。」「のんびり行こうよ人生は。」などと考えの薄い思いが頭の中を巡る。まだまだイギリスに居ても大丈夫。今夜の宿もここからさほど遠くないロンドンの町中のホテルを予約した。この選択が終わりの始まりとも言える決断であったとは、この時はまだ想像もしていなかった。
だらだらと快適なWi-Fi環境の下でアニメやSNSを楽しんでいたが、いよいよチェックアウトの時間がやってきた。荷物を早々とキャリーケースに詰め込み、忘れ物がないか確認した後、部屋を出る。また長い一日が始まる。11時ピッタリにホテルを飛び出した。
外に出てみると今日も空は曇天のようであった。部屋に窓がなかったので雨が降っている時のことも危惧していたが、降りそうな雲ではなかった。イギリスでまだ晴れ間を観たことがない。滞在中に青空を観ることは出来るのだろうかと少し不安になった。
風も昨日一昨日と変わらず強く吹いていて、たまらず上着のジッパーを上げる。この三日間は、ヒートテックシャツの上に厚手のプルアップパーカー、さらにその上からMA-1を羽織るという重装備で街を歩いているがそれでもまだ冷えるほどの強烈な寒さがこの地にはあった。重たくなった身体をロンドン中心部へと向けて進み始める。
外に出てみると今日も空は曇天のようであった。部屋に窓がなかったので雨が降っている時のことも危惧していたが、降りそうな雲ではなかった。イギリスでまだ晴れ間を観たことがない。滞在中に青空を観ることは出来るのだろうかと少し不安になった。
風も昨日一昨日と変わらず強く吹いていて、たまらず上着のジッパーを上げる。この三日間は、ヒートテックシャツの上に厚手のプルアップパーカー、さらにその上からMA-1を羽織るという重装備で街を歩いているがそれでもまだ冷えるほどの強烈な寒さがこの地にはあった。重たくなった身体をロンドン中心部へと向けて進み始める。
少し歩くとビル群の中にひとつ、突出して背の高い三角形の建物があった。遠目から写真を撮影し即座にツイートをすると、建物の名前をフォロワーの方が教えてくださった。
この大きな建物は「ザ・シャード」という名前らしい。何のためにある建造物かは聞かなかったが、調べてみるとどうやら併設された駅をはじめ、ショッピングモールやオフィスなどが入った複合施設のようで、EUで最も背の高い建物だということだ。距離的にここからさほど時間もかからず行けそうだったので行ってみることにする。
20分ほど歩き、シャードの足元にたどり着いた。87階建て、310mを誇るその巨躯を真下から見上げると、頂点がぼんやり霞んで見えた。ふもとはいくつかの路線が交わる電車の駅が併設されており、バスターミナルなんかもあって世界中の観光客たちがたくさん居てとても賑わっていた。
ここで遅めの空腹がやってきたので、駅の改札の横にあったスーパーへ立ち寄る。ここでは手軽に食べられるサンドイッチを購入してみた。味はツナ&スイートコーン。パンは茶色の生地で、とてもツナの味が濃く出ていた。口の中に残る魚の強烈な味を一緒に買ったジュースで流し込み、朝食兼昼食を終えた。
20分ほど歩き、シャードの足元にたどり着いた。87階建て、310mを誇るその巨躯を真下から見上げると、頂点がぼんやり霞んで見えた。ふもとはいくつかの路線が交わる電車の駅が併設されており、バスターミナルなんかもあって世界中の観光客たちがたくさん居てとても賑わっていた。
ここで遅めの空腹がやってきたので、駅の改札の横にあったスーパーへ立ち寄る。ここでは手軽に食べられるサンドイッチを購入してみた。味はツナ&スイートコーン。パンは茶色の生地で、とてもツナの味が濃く出ていた。口の中に残る魚の強烈な味を一緒に買ったジュースで流し込み、朝食兼昼食を終えた。
シャードに併設されていた駅の名前は"London Bridge Station"。その名の通り、ロンドン橋の最寄り駅である。昨日は辿り着く前に陽が落ちてしまって後回しになってしまったロンドン橋を次の目的地に決めた。
線路の下の自由通路をくぐっるとテムズ川が流れていた。案内標識の指示に従いながら、ロンドン中心部とは逆の方向に向かって進んで行く。遠くに見覚えのある跳ね上げ式の橋が見えた。そう、まさにあの巨大な橋がロンドン橋。
そう、ずっと思っていた。
この時、というか移動中は常にGoogleマップを起動させ、自分が間違った場所へ向かっていないか逐一GPSと照らし合わせながら歩いていたのだが、自分の表示された現在地がどんどんロンドン橋から離れていくのだ。
Wi-Fiがとても安くて通信速度の遅い機械なのが原因だろうと思っていたが、ロンドン橋以外に見える建物などはバッチリ一致している。自分の間違いに気が付く。
線路の下の自由通路をくぐっるとテムズ川が流れていた。案内標識の指示に従いながら、ロンドン中心部とは逆の方向に向かって進んで行く。遠くに見覚えのある跳ね上げ式の橋が見えた。そう、まさにあの巨大な橋がロンドン橋。
そう、ずっと思っていた。
この時、というか移動中は常にGoogleマップを起動させ、自分が間違った場所へ向かっていないか逐一GPSと照らし合わせながら歩いていたのだが、自分の表示された現在地がどんどんロンドン橋から離れていくのだ。
Wi-Fiがとても安くて通信速度の遅い機械なのが原因だろうと思っていたが、ロンドン橋以外に見える建物などはバッチリ一致している。自分の間違いに気が付く。
遠くに見える跳ね上げ式の古風な橋は、タワーブリッジという名前の橋であった。今しがた横目に通り過ぎた平凡な橋が、ロンドン橋であった。引き返して観に行ってみようかとも考えたが、その時はもう先に見えるタワーブリッジに意識が向かっていた為まっすぐ進む。
テムズ川を望みながら濃い色をした木造の歩道を歩いていくと、古い戦艦が接岸しているのが見えてきた。調べてみるとこれは第二次大戦時に活躍した軽巡洋艦の「ベルファスト」という船らしい。何と退役後に戦艦そのものが博物館の分館として残されることになり、この場所に浮かんでいるようだ。
テムズ川を望みながら濃い色をした木造の歩道を歩いていくと、古い戦艦が接岸しているのが見えてきた。調べてみるとこれは第二次大戦時に活躍した軽巡洋艦の「ベルファスト」という船らしい。何と退役後に戦艦そのものが博物館の分館として残されることになり、この場所に浮かんでいるようだ。
広島生まれで幼い頃からずっと戦争に関心があった僕はすぐそちらに興味を惹かれ、勇んで入館しようと入口へ向かったが入館料が10ポンド近くもするところで逡巡する。更に昨日のロンドン博物館で荷物を預けられなかった苦い経験が脳裏に瞬時に浮かんだ。僕は入館に伴うリスクを面倒に思い、ベルファストを諦める事にした。
一期一会の機会をみすみす逃してしまったことに少し残念さを感じながらも、再度眼前のタワーブリッジへ意識を戻す。遠目では感づかなかったが、タワーブリッジ、とても巨大である。橋の上に二対の塔が建っている時点で気が付くべきだったのだが、近づく程に見えてくる細かいディテールと迫力に胸が高鳴った。
歩道の開けている場所に出たので、観光客の導線となっている通りから少し外れ、隅のベンチでカメラの準備を始めた。スーツケースの上にスマートフォン用の脚立を設置してセルフタイマーを10秒にセットする。タワーブリッジが中心となるようにポイントを合わせて記念写真を撮影した。タペストリーとの写真も同様に。
まだまだ自撮り行為に気恥ずかしさが拭えない為に、多少のブレがあっても妥協してそそくさとカメラを片付ける。今になって写真を見返してみると、旅の始めはいろんなものを写真に収めているのだが、どの写真も割と乱雑な仕上がりになってしまっているのは一人で自撮りを満足の行くまで撮影し続けることに対する気恥ずかしさの表れだったように思う。
一期一会の機会をみすみす逃してしまったことに少し残念さを感じながらも、再度眼前のタワーブリッジへ意識を戻す。遠目では感づかなかったが、タワーブリッジ、とても巨大である。橋の上に二対の塔が建っている時点で気が付くべきだったのだが、近づく程に見えてくる細かいディテールと迫力に胸が高鳴った。
歩道の開けている場所に出たので、観光客の導線となっている通りから少し外れ、隅のベンチでカメラの準備を始めた。スーツケースの上にスマートフォン用の脚立を設置してセルフタイマーを10秒にセットする。タワーブリッジが中心となるようにポイントを合わせて記念写真を撮影した。タペストリーとの写真も同様に。
まだまだ自撮り行為に気恥ずかしさが拭えない為に、多少のブレがあっても妥協してそそくさとカメラを片付ける。今になって写真を見返してみると、旅の始めはいろんなものを写真に収めているのだが、どの写真も割と乱雑な仕上がりになってしまっているのは一人で自撮りを満足の行くまで撮影し続けることに対する気恥ずかしさの表れだったように思う。
写真を撮り終えてもう少し歩みを進め、橋の入口に到着した。そのまま歩道から階段を伝って上部へ上り、左に曲がって橋の上へと歩みを進める。
そのままタワーブリッジの塔のふもとに辿り着いた。下から左右の塔を見上げるとその大きさに愕然とする。何と二対の塔は65mという高さであるらしい。塔の道路を挟んだ接地面の壁には"TOWER BRIDGE"というプレートと共に荘厳な木の扉がはめ込まれていたが、現在は開くことはないようだ。
橋の上は片側一車線で車が走っており、交通量が多いのか渋滞気味であった。観光客が集まる為に両脇の歩道は大きく設けられ、スーツケースを引きながらでもスムーズに歩くことが出来た。
そのままタワーブリッジの塔のふもとに辿り着いた。下から左右の塔を見上げるとその大きさに愕然とする。何と二対の塔は65mという高さであるらしい。塔の道路を挟んだ接地面の壁には"TOWER BRIDGE"というプレートと共に荘厳な木の扉がはめ込まれていたが、現在は開くことはないようだ。
橋の上は片側一車線で車が走っており、交通量が多いのか渋滞気味であった。観光客が集まる為に両脇の歩道は大きく設けられ、スーツケースを引きながらでもスムーズに歩くことが出来た。
偶然向こうから走って来た旧式の二階建てロンドンバスを写真に収めながらテムズ川の真上を渡る。橋の向こう側にはロンドン塔の巨大な城が見えた。
それはあまりに非現実的で、美しい光景であった。この日の最も心が豊かになった瞬間であった。こんな気持ちは平凡に生活していく中では絶対に体得できない。この先に何度も経験することとなる、言語化することの出来ない情動の大きな動きがその瞬間には在った。
今日の大きな目的地であったタワーブリッジを渡り切ると、大きく感情が揺れ動いた後ということもあって、ドッと疲れが押し寄せてきたように感じた。流れるようにロンドン塔の方へ向かった。
世界遺産のひとつでもあるロンドン塔は千年近く前に建てられた城塞である。広大な敷地に佇むその城は現在、武器の保管庫、礼拝所、博物館と様々な顔を見せる。
あまりに広すぎて外周を一回りするのに (荷物を引きずりながらという理由もあるが) 二十分近くかかり、そこで歩き疲れてしまった僕は入館することを諦めた。この時、荷物をいよいよどこかに置いてこないと満足の行く旅は出来ないという現実を大きく意識し始めた。
世界遺産のひとつでもあるロンドン塔は千年近く前に建てられた城塞である。広大な敷地に佇むその城は現在、武器の保管庫、礼拝所、博物館と様々な顔を見せる。
あまりに広すぎて外周を一回りするのに (荷物を引きずりながらという理由もあるが) 二十分近くかかり、そこで歩き疲れてしまった僕は入館することを諦めた。この時、荷物をいよいよどこかに置いてこないと満足の行く旅は出来ないという現実を大きく意識し始めた。
ロンドン塔を外からひとしきり楽しみそろそろ移動するべきかと時計を見る。針は13時過ぎを指していた。今日の一番の目標は達成されてしまった。次はどうする。この重たい荷物が邪魔だ。もうホテルへチェックインするべきか。いやそれは余りに一日が勿体無い。荷物が重たい。
今日は既に大荷物を持っていることを理由に二か所の観光地を億劫がり断念している。勿体無い。このスーツケースを手放して、軽快に街を歩きたいという思いがこの時一番大きかった。ひとまずいつでもホテルへチェックインして荷物を置けるようにロンドンの中心部へ戻ることにした。
今日は既に大荷物を持っていることを理由に二か所の観光地を億劫がり断念している。勿体無い。このスーツケースを手放して、軽快に街を歩きたいという思いがこの時一番大きかった。ひとまずいつでもホテルへチェックインして荷物を置けるようにロンドンの中心部へ戻ることにした。
SNSを更新しながら街を歩く。珍しく空には晴れ間が見えて、冷たい風も少し心地よく思えた。SNSを介した先の日本は夜の22時過ぎのようだ。
ここで今旅初めて、家族に電話をかけてみようかという考えが生まれる。国際電話の仕組みがよく解っていなくて、なんとなく日本へ電話をするのが億劫だったのだが、日本国内では無料で使用していたLINE通話を使えないかと思い立ち、Googleで検索をしてみる。
何とLINE通話を使用すれば、海外からでも多少の遅延はありながらも、無料で通話をすることが出来るということだ。インターネットを介しての通話だから仕組み的に当然と言えば当然のことなのだが、手軽さと便利さにいちいち感動してしまう。
僕は少し緊張しながら母親のLINEへ電話をかけてみた。少しの待機時間を要したが、無事に地元の母親のスマートフォンに電話が繋がった。低速のWi-Fiルーターを介していながら、あまり聞き取りづらいようには感じられなかった。
母親は家族全員と電話を替わってくれた。母親には自身の体調の話を、父親には観たものや車の話を、祖父には旅の仕方や持ち物の管理の話を、祖母には異国の環境や治安の話を、弟には観光自慢を長い時間をかけてじっくりとした。通話に夢中になりすぎて、地図も見ずにロンドンの中心部があるだろうという根拠のない方向へひたすらに進んでしまった。
気が付けば一時間近くも通話をしてしまい、端末は火が出そうなほどに熱を持っていた。家族には「またすぐに電話するね。」と伝え「おやすみ。」と電話を切った。心が温かくなった。ここからまた歩き続ける力を得た。究極の安堵を取り戻した。
ここで今旅初めて、家族に電話をかけてみようかという考えが生まれる。国際電話の仕組みがよく解っていなくて、なんとなく日本へ電話をするのが億劫だったのだが、日本国内では無料で使用していたLINE通話を使えないかと思い立ち、Googleで検索をしてみる。
何とLINE通話を使用すれば、海外からでも多少の遅延はありながらも、無料で通話をすることが出来るということだ。インターネットを介しての通話だから仕組み的に当然と言えば当然のことなのだが、手軽さと便利さにいちいち感動してしまう。
僕は少し緊張しながら母親のLINEへ電話をかけてみた。少しの待機時間を要したが、無事に地元の母親のスマートフォンに電話が繋がった。低速のWi-Fiルーターを介していながら、あまり聞き取りづらいようには感じられなかった。
母親は家族全員と電話を替わってくれた。母親には自身の体調の話を、父親には観たものや車の話を、祖父には旅の仕方や持ち物の管理の話を、祖母には異国の環境や治安の話を、弟には観光自慢を長い時間をかけてじっくりとした。通話に夢中になりすぎて、地図も見ずにロンドンの中心部があるだろうという根拠のない方向へひたすらに進んでしまった。
気が付けば一時間近くも通話をしてしまい、端末は火が出そうなほどに熱を持っていた。家族には「またすぐに電話するね。」と伝え「おやすみ。」と電話を切った。心が温かくなった。ここからまた歩き続ける力を得た。究極の安堵を取り戻した。
久しぶりに日本語でたくさん会話できたことが嬉しくて、日本の何人かの友人にも電話を掛け、熱々のスマートフォンを耳に当て続けながら当てもなく歩いていると、いつの間にか川沿いから大きな建物が立ち並ぶ市街区にたどり着いていた。観光客が多く、様々な人種が密集していた。トランプ政権に反対する人たちがデモ行進をしていたりもした。
ここで久しぶりに地図を起動してみると、意外と目的地のホテルがある街まで辿り着けていた。ホテルをゴールに設定していると、意図せずホテルの近くに行こうと思っていた大英博物館が有ることに気が付いた。
すぐに観賞に行く算段を練り始めたが、しかし、時計は既に15時を示している。ここからホテルにチェックインして向かってもすぐに閉館時間になってしまう為、明日の朝に向かうことにした。大英博物館はどうやらホテルへの道中にあるようなので、外から見てみようと経由して進むことにした。
ここで久しぶりに地図を起動してみると、意外と目的地のホテルがある街まで辿り着けていた。ホテルをゴールに設定していると、意図せずホテルの近くに行こうと思っていた大英博物館が有ることに気が付いた。
すぐに観賞に行く算段を練り始めたが、しかし、時計は既に15時を示している。ここからホテルにチェックインして向かってもすぐに閉館時間になってしまう為、明日の朝に向かうことにした。大英博物館はどうやらホテルへの道中にあるようなので、外から見てみようと経由して進むことにした。
なだらかな登りになっている細い道をクネクネと進んで行くと、開けた場所に出た。そこは他の街と比べて少し異質な雰囲気を放っていた。
まず、道路の至るところで様々なアーティスト達が表現活動をしていた。独特の衣装を身に纏って踊りを披露する者、歌やボイスパーカッションをして観衆の目を引き付ける者、黙々と地面にイラストを描く者とそれぞれが自由に己の個性を曝け出していた。
そして人間だけでなく、この街そのものにアーティスティックな仕組みが数多く散りばめられていた。これまで観て回ったロンドンの街並みにもかなりたくさんの銅像が建てられていたのだが、この区画においては過去の比にならない程の銅像や石像があちこちに確認出来た。過去の偉人のものからライオンのような動物まで種類も様々。
ひとつひとつの街灯や歩道の石畳に至るまでどこか洒落ていて、果てには信号機すらも他の街にあるものとはデザインが違っていた。普通の信号機で表示されているイラストは人が歩いているか立ち止まっているかの一般的なモノだが、この街の信号機のイラストは何と男女を記号で表す際に用いられる「♂」と「♀」を使った何ともセクシャルなモノであった。物珍しいものが特に多くて写真に収めろ作業が追い付かない。
まず、道路の至るところで様々なアーティスト達が表現活動をしていた。独特の衣装を身に纏って踊りを披露する者、歌やボイスパーカッションをして観衆の目を引き付ける者、黙々と地面にイラストを描く者とそれぞれが自由に己の個性を曝け出していた。
そして人間だけでなく、この街そのものにアーティスティックな仕組みが数多く散りばめられていた。これまで観て回ったロンドンの街並みにもかなりたくさんの銅像が建てられていたのだが、この区画においては過去の比にならない程の銅像や石像があちこちに確認出来た。過去の偉人のものからライオンのような動物まで種類も様々。
ひとつひとつの街灯や歩道の石畳に至るまでどこか洒落ていて、果てには信号機すらも他の街にあるものとはデザインが違っていた。普通の信号機で表示されているイラストは人が歩いているか立ち止まっているかの一般的なモノだが、この街の信号機のイラストは何と男女を記号で表す際に用いられる「♂」と「♀」を使った何ともセクシャルなモノであった。物珍しいものが特に多くて写真に収めろ作業が追い付かない。
その不思議な広場の中心には、古代ギリシャ建築のような出で立ちのあまりに巨大な建造物が在った。憧れのパルテノン神殿にも似た様式の建物を前に、再びテンションが上がってくる。あまりにその広場と建物のまとまりが美しい為に、僕はてっきりここが大英博物館だと思い込んでいたのだが、実は全く違う場所であったことをこの時はまだ知らない。
16時になろうとしていた。あらかた街を見物した僕は、遅めの昼飯にありついた後にホテルへチェックインを済ませ、身軽になって散歩がてら街へ戻って来ようという計画を立てて再び進みだした。
スマートフォンで地図を開き、ホテルまでの道を表示してそこまでの間で飯屋を探す。映画館や土産屋を横目に歩いていくと、遠くに提灯がたくさん並んでいるのが見えてきた。この先はどうやらチャイナタウンのような場所らしい。
しかし、チャイナタウンと言っても中国と日本と韓国を一緒くたにしたような空間で、日本語の店名を掲げたお店や昨日の晩餐に選んだ「WASABI」なんかも並んでいた。
スマートフォンで地図を開き、ホテルまでの道を表示してそこまでの間で飯屋を探す。映画館や土産屋を横目に歩いていくと、遠くに提灯がたくさん並んでいるのが見えてきた。この先はどうやらチャイナタウンのような場所らしい。
しかし、チャイナタウンと言っても中国と日本と韓国を一緒くたにしたような空間で、日本語の店名を掲げたお店や昨日の晩餐に選んだ「WASABI」なんかも並んでいた。
海外旅行三日目にして日本食に手を出すなんて何とも情けない話だとも思ったが、極度の空腹に負けてこの近辺のお店で昼ご飯を食べることをすぐに決定した。
店選びにはあまり時間が掛からなかった。僕の大好きな料理を出す店がすぐに見つかったのだ。店の名前は「山小屋 -YAMAGOYA-」。店の発祥は福岡と書いてある。豚骨ラーメンの店であった。
僕はラーメンが大好きだ。"RAMEN"の文字列を視認した瞬間からラーメンを食す舌にほぼ自動的に移り変わる。ロンドンのラーメン、どんなもんじゃいと躊躇うことなく入店する。店員は特別日本人というわけではなく現地で生活するイギリス人のようで、重たいスーツケースをレジの裏に置いてくれた。
昼飯というよりかはもう晩飯といった時間に近づいており、店内には一定の客が居たが日本人は僕だけのようであった。二階に上がってカウンター席に座った。机の上には赤いナプキンと山小屋という店の今日までの歴史が英字で書かれた紙が置いてあった。目を通していると店員が注文を取りに来た。
ラーメンの種類はどうやら豚骨ラーメンで統一されているようで、他にはいくつかのセットメニューが用意されているようだ。ポピュラーそうな餃子セットを選ぶ。店員が「KATA?YAWA?」と麺の硬さの好みを日本式で確認してくれたので大層な笑顔で「Normal Please.」と下手くそな返答をした。テンションはハイである。
有り余る興奮をSNSで実況しながら店内の装飾にも目を凝らす。テーブル席の奥には暖簾を挟んで厨房があり、これまた日本人ではなく外国人がラーメンを作っていた。真っ赤な暖簾には山小屋の格言であろう文章がずらりと誂えられていた。机の上に視線を戻すと、ごま、ラー油、七味などの調味料が備え付けられており、どれも日本製のもので気分はさらに高揚する。海外で自国の文化に触れると異様に高揚してしまう。
店内放送でケツメイシやスピッツの楽曲が流れるのをニコニコしながら聴いていると、餃子が先に運ばれてきた。形は日本で出てくるモノより少し丸っぽく歪な姿であったが、匂いはとてつもなく食欲をそそる。ラーメンが来るまで食べるのは待っていようと思っていたが、あまりの誘惑にやすやすと敗北して一つ箸でつまみ上げ食してみる。
美味い。ものすごく美味い。アツアツの種の中にはタケノコが入っていて食感が楽しい。皮もやわらかくて食べやすいし、タレも日本のポン酢なので口によく馴染む。昨日食べたカツカレーは日本の料理でありながら見た目も味も海外の料理であった。しかしこの餃子は日本で食べることの出来る慣れ親しんだ味がした。一口食べた瞬間の満足度が桁違いであった。
一人で餃子と感動を同時に噛みしめていると、ラーメンが運ばれてきた。黒塗りの上品な器に、豚骨ベースのスープ、麺、メンマ、多めのきくらげ、そして三枚の大きなチャーシューが載っていた。自然と頬が綻んでしまう。「いただきます。」と器を持ち上げ、まずスープを少し吸った。
店選びにはあまり時間が掛からなかった。僕の大好きな料理を出す店がすぐに見つかったのだ。店の名前は「山小屋 -YAMAGOYA-」。店の発祥は福岡と書いてある。豚骨ラーメンの店であった。
僕はラーメンが大好きだ。"RAMEN"の文字列を視認した瞬間からラーメンを食す舌にほぼ自動的に移り変わる。ロンドンのラーメン、どんなもんじゃいと躊躇うことなく入店する。店員は特別日本人というわけではなく現地で生活するイギリス人のようで、重たいスーツケースをレジの裏に置いてくれた。
昼飯というよりかはもう晩飯といった時間に近づいており、店内には一定の客が居たが日本人は僕だけのようであった。二階に上がってカウンター席に座った。机の上には赤いナプキンと山小屋という店の今日までの歴史が英字で書かれた紙が置いてあった。目を通していると店員が注文を取りに来た。
ラーメンの種類はどうやら豚骨ラーメンで統一されているようで、他にはいくつかのセットメニューが用意されているようだ。ポピュラーそうな餃子セットを選ぶ。店員が「KATA?YAWA?」と麺の硬さの好みを日本式で確認してくれたので大層な笑顔で「Normal Please.」と下手くそな返答をした。テンションはハイである。
有り余る興奮をSNSで実況しながら店内の装飾にも目を凝らす。テーブル席の奥には暖簾を挟んで厨房があり、これまた日本人ではなく外国人がラーメンを作っていた。真っ赤な暖簾には山小屋の格言であろう文章がずらりと誂えられていた。机の上に視線を戻すと、ごま、ラー油、七味などの調味料が備え付けられており、どれも日本製のもので気分はさらに高揚する。海外で自国の文化に触れると異様に高揚してしまう。
店内放送でケツメイシやスピッツの楽曲が流れるのをニコニコしながら聴いていると、餃子が先に運ばれてきた。形は日本で出てくるモノより少し丸っぽく歪な姿であったが、匂いはとてつもなく食欲をそそる。ラーメンが来るまで食べるのは待っていようと思っていたが、あまりの誘惑にやすやすと敗北して一つ箸でつまみ上げ食してみる。
美味い。ものすごく美味い。アツアツの種の中にはタケノコが入っていて食感が楽しい。皮もやわらかくて食べやすいし、タレも日本のポン酢なので口によく馴染む。昨日食べたカツカレーは日本の料理でありながら見た目も味も海外の料理であった。しかしこの餃子は日本で食べることの出来る慣れ親しんだ味がした。一口食べた瞬間の満足度が桁違いであった。
一人で餃子と感動を同時に噛みしめていると、ラーメンが運ばれてきた。黒塗りの上品な器に、豚骨ベースのスープ、麺、メンマ、多めのきくらげ、そして三枚の大きなチャーシューが載っていた。自然と頬が綻んでしまう。「いただきます。」と器を持ち上げ、まずスープを少し吸った。
美味い。とんでもなく美味い。天下一品のラーメンに近いすこしドロッとしたスープには豚骨の出汁がよく滲んでいて濃い味だった。麺も日本から輸入しているモノを使用しているのだろう。「Normal」の柔らかさながらしっかりとコシがある。正直そこいらの博多豚骨のチェーン店とは比べられない程に美味しかった。現地の価格で千円以上する一杯をあっという間に平らげてしまった。
平らげたところで「ここで替え玉でもあったらいいのに」と思いながら手前のメニュー表を開いてみる。そこには何と「KAEDAMA」という項目まで設けられていた。スープを飲み干す前に店員を呼び、「BARI KATA」で注文した。
餃子を食べながら待っていると、店員がすぐに替え玉を作って持ってきてくれた。底の深い器に入った「BARI KATA」の麺をスープに投入する。卓上のごまをふりかけて味に変化をつけ、かすかに粉の香りが残る堅麺を啜る。堪らなかった。あっという間に完飲して「ごちそうさまでした。美味しかった。」と店員に伝えた。食後の余韻に浸りつつ会計を済ませてゆっくり店を出た。
平らげたところで「ここで替え玉でもあったらいいのに」と思いながら手前のメニュー表を開いてみる。そこには何と「KAEDAMA」という項目まで設けられていた。スープを飲み干す前に店員を呼び、「BARI KATA」で注文した。
餃子を食べながら待っていると、店員がすぐに替え玉を作って持ってきてくれた。底の深い器に入った「BARI KATA」の麺をスープに投入する。卓上のごまをふりかけて味に変化をつけ、かすかに粉の香りが残る堅麺を啜る。堪らなかった。あっという間に完飲して「ごちそうさまでした。美味しかった。」と店員に伝えた。食後の余韻に浸りつつ会計を済ませてゆっくり店を出た。
外に出ると、日が傾き始めていてより一層肌寒さが増していた。しかし心はポカポカである。今ならどこにでも行けそうなほどに心が豊かであったが、同時にこの満足さを維持したままホテルに入ってしまいたい気持ちが勝った。再び地図に沿ってホテルを目指して歩き始めた。
珍しい車や建物をカメラに収めながら早足で歩いていたが、割とあっという間に宿泊予定のホテルへ到着してしまった。にぎやかな観光街から少し外れた、閑静な住宅街の一角にあるホテル「Gresham Hotel Bloomsbury」が今夜の宿である。
ホテルに入るときは毎回緊張する。ちゃんと予約はされているのか、まずこのホテルで間違っていないのかという二点から来る不安だ。更にそのいずれかが間違っていた際にそのことを口で説明することが出来ないが故の心配である。どこかの項目を誤れば今夜の宿はない。ドアの前で少し躊躇いつつも、しかし進まなければどうにもならないことを理解して扉を開けて中に入る。
受付には女性の係員が座っていた。笑顔で「Hello!」と話しかけた。とにかく笑顔で話せば悪いようにはならないという心持ちを忘れないように会話を進める。
どうやら今夜は無事に予約されているようであった。安堵感を相手にも伝わるように表情いっぱいに出しながら支払いを済ませカギを受け取る。伝わるようにと書いたが、別に無理をして気持ちを表現しているわけじゃなく、不安が安心に切り替わって心の底から力が抜けていく様がやすやすと表情に出てしまって伝わってしまっているといった意味合いである。
受付を済ませ二階に上がり、自分の部屋へ向かう。ホテルの内装は、まさしく洋式のアパートをそのままホテルに改築したような佇まいで、トイレのみが共用であった。
自分の部屋に入って鍵を閉める。最高の瞬間だ。重たい荷物を放り、靴も上着も脱ぎ捨てる。肌着に着替えてベッドにダイブする。まだ18時にもなっていないが、今日はもう動けないと思った。
美味しいラーメンを食べ終わって満足度はピークに達していたし、疲れに満腹になってきたことも重なって行動意欲は完全に失われてしまった。旅が始まったばかりにも関わらず、日が落ち切る前にホテルに入ることを定着化してしまうのは安全策とはいえあまりに勿体無いことをしているのではないかと同時に考えて、少し気落ちしたりもした。
陰鬱なことを考えても仕方がない。また明日から頑張ればいいさと気持ちを早々と切り替え明日行きたいところへ目星を付ける。目星をつけると言っても、大英博物館を観て回るだけで朝から晩まで潰れる予定になってしまいそうだが。
問題はスーツケースだ。恐らく今までの美術館、博物館同様に持ち込むことは不可能だろうし預ける場所もないだろう。とすると、やはりこのホテルに連泊し、荷物を預けて行動するのが最も楽な選択だろうという結論にたどり着く。
それならすぐにでもフロントに赴いてもう一泊出来ないか掛け合ってみるべきなのだが、今から英文を考えて必死に説明をするのは物凄く億劫に感じられた。
どうしようどうしようとモヤモヤしているうちに僕は眠りに落ちてしまった。今後のスムーズな旅に影響してくる大切な要件すら面倒がって可能な限り後回しにしてしまうのは僕のかなり悪い癖である。海外でもその悪い癖は健在なようであった。
明日はどっちだ。それは自分にもわからない。明日はきっと明日の自分がいいように導いてくれるはずだ。希望も不安も疲労も今日の楽しかった思い出もまとめて夢の中に持ち込んで、怒涛の12時間睡眠が今、始まった。
珍しい車や建物をカメラに収めながら早足で歩いていたが、割とあっという間に宿泊予定のホテルへ到着してしまった。にぎやかな観光街から少し外れた、閑静な住宅街の一角にあるホテル「Gresham Hotel Bloomsbury」が今夜の宿である。
ホテルに入るときは毎回緊張する。ちゃんと予約はされているのか、まずこのホテルで間違っていないのかという二点から来る不安だ。更にそのいずれかが間違っていた際にそのことを口で説明することが出来ないが故の心配である。どこかの項目を誤れば今夜の宿はない。ドアの前で少し躊躇いつつも、しかし進まなければどうにもならないことを理解して扉を開けて中に入る。
受付には女性の係員が座っていた。笑顔で「Hello!」と話しかけた。とにかく笑顔で話せば悪いようにはならないという心持ちを忘れないように会話を進める。
どうやら今夜は無事に予約されているようであった。安堵感を相手にも伝わるように表情いっぱいに出しながら支払いを済ませカギを受け取る。伝わるようにと書いたが、別に無理をして気持ちを表現しているわけじゃなく、不安が安心に切り替わって心の底から力が抜けていく様がやすやすと表情に出てしまって伝わってしまっているといった意味合いである。
受付を済ませ二階に上がり、自分の部屋へ向かう。ホテルの内装は、まさしく洋式のアパートをそのままホテルに改築したような佇まいで、トイレのみが共用であった。
自分の部屋に入って鍵を閉める。最高の瞬間だ。重たい荷物を放り、靴も上着も脱ぎ捨てる。肌着に着替えてベッドにダイブする。まだ18時にもなっていないが、今日はもう動けないと思った。
美味しいラーメンを食べ終わって満足度はピークに達していたし、疲れに満腹になってきたことも重なって行動意欲は完全に失われてしまった。旅が始まったばかりにも関わらず、日が落ち切る前にホテルに入ることを定着化してしまうのは安全策とはいえあまりに勿体無いことをしているのではないかと同時に考えて、少し気落ちしたりもした。
陰鬱なことを考えても仕方がない。また明日から頑張ればいいさと気持ちを早々と切り替え明日行きたいところへ目星を付ける。目星をつけると言っても、大英博物館を観て回るだけで朝から晩まで潰れる予定になってしまいそうだが。
問題はスーツケースだ。恐らく今までの美術館、博物館同様に持ち込むことは不可能だろうし預ける場所もないだろう。とすると、やはりこのホテルに連泊し、荷物を預けて行動するのが最も楽な選択だろうという結論にたどり着く。
それならすぐにでもフロントに赴いてもう一泊出来ないか掛け合ってみるべきなのだが、今から英文を考えて必死に説明をするのは物凄く億劫に感じられた。
どうしようどうしようとモヤモヤしているうちに僕は眠りに落ちてしまった。今後のスムーズな旅に影響してくる大切な要件すら面倒がって可能な限り後回しにしてしまうのは僕のかなり悪い癖である。海外でもその悪い癖は健在なようであった。
明日はどっちだ。それは自分にもわからない。明日はきっと明日の自分がいいように導いてくれるはずだ。希望も不安も疲労も今日の楽しかった思い出もまとめて夢の中に持ち込んで、怒涛の12時間睡眠が今、始まった。
つづく










