先日、映画「マミー」を観ました。

和歌山カレー事件の林真須美死刑囚の家族や当時の関係者が登場するドキュメンタリーです。




★★ここからはちょっとネタバレになるかも知れないので、内容を知りたくない方は、ここまででお願いします★★ 




何故観てみようと思ったか。


私は、子供の頃の7〜8年間、和歌山に赴任中の父の会社の社宅に住んでいました。

その頃、彼女と私は習っていたピアノの先生が一緒だったんです。

田んぼの中の社宅は町までは遠く、ピアノの先生が出張レッスンで自宅に来てくれていたので、他の生徒と顔を合わせることはなかったのですが、市民会館で行われた発表会の後の集合写真に彼女が写っています。

私よりも少し年上の彼女は、その集合写真では(ニュースのイメージの様に太めではなく)、1番位に可愛い女の子です。

映画でも「可愛いがられて育った」とありましたが、ちょっと洒落た感じの洋服といい、本当に「可愛い」「可愛い」と大切に育てられているお嬢さんという感じです。


それからカレー事件が起きた町の最寄り駅近くに、昔うちの父が土地を買っていて、今の関東に家を建てるか、和歌山に家を建てるかと父が検討していた時期があって、結局父の仕事が関東で落ち着きそうだからと今の家を建てたのですが、場合によっては大人になってからも近くに住んでいた可能性もあったのです。


なのでニュースになってテレビを騒がせていた頃から(その時に、和歌山の知り合いから「ピアノ教室がマルちゃんと一緒だよ、発表会の写真がテレビに出てたよ」と教えてもらいました)、気にかかる存在だったんです。


映画は、予告を観た感じでは冤罪であることを声高に訴えた内容かと思っていましたが、そんなことはなく、語り口は淡々としたものでした。

逆に、犯行に使われたヒ素と彼女の自宅で見つかったヒ素が同じものだったという鑑定時の判断については、分析時の元素のピークの出方の図を使って詳しく説明されていたものの、その後、京大教授が「違うものだ」と主張した部分では違うと判断した根拠が(映画の中では)示されず、元化学専攻の私としては「納得いく様に説明してくれないと、わからない」とモヤモヤが残りました。


ただ、今でも地元に住み続けて父親の近くにいる長男は強いなと思いました。

子どもたちの人生が取り返し様がないくらいめちゃくちゃになったことに(仮に彼女が真犯人だったとしても子供には責任は無いので)やり切れない思いがしました。


昨年会社で「アンコンシャスバイアス(無意識の 思い込みや無意識の偏見)」についてのセミナーを受けたのですが、少なくともカレー事件の時は、マスコミも警察も世間も、「アンコンシャスバイアス」の大渦の中にいた様な気がします。