2012年8月13日。
「道の駅たろう」で、長らくマッタリ休憩。
再出発して坂道を下ると、岩泉町の小本(おもと)という地域に到着。
ここもまた、大震災で甚大な被害を受けた街だ。
高さ12メートルの小本川水門を、津波が乗り越えてきた瞬間の写真が、
岩泉町役場の公式ブログに掲載されている。怖ろしい光景だ。
http://www.town.iwaizumi.iwate.jp/iwaizumi_blog/archives/12723
ここには、「小本温泉」という、一軒しかない単独の温泉施設がある。
建物は残ったものの、営業再開できていない様子。
僕のように自転車で旅をする人間にとって、
日帰り温泉は本当に有り難い存在だ。営業再開を願う。
(既に営業再開しているようでしたら、誤情報をお許し下さい)
小本交差点を通過して、国道45号線を更に北に進む。
そこには自転車乗りを震撼させる難所がある。
「中野坂」という、凄まじく急な坂道だ。
僕は、旅立ち前に何の下調べもしなかったので、
坂道が連なる三陸リアス式海岸の地形を体感しただけでも、
走りながら衝撃を受けていた。
ところが、今までの高低差など、実は大したことはなかったのだ。
それ程までに、この中野坂はキツかった。
まずは、この地図を見てほしい。

ありゃ、中野坂の凄さが全然伝わらないではないか。
そもそも地図に「中野坂」という名前が載っていない。
写真の真ん中が、それなんだが。写真を撮っておくべきだった…。
仕方がないので言葉で説明しよう。
まず、いきなり登場する「10%」の勾配標識。マジですか!
「10%」は、会津若松と猪苗代湖間にある坂道でも経験したけど、
この勾配が始まった瞬間に、全身から汗がブワーッと吹き出る。
今回もやっぱり、始まった瞬間に汗が吹き出てきた。
ギアを一番軽くしても、全然前に進まない。
しかも、一時的に急勾配があるだけならまだしも、
この中野坂は延々と急勾配が続くのだ(2kmも続いているらしい)。
後でいろいろと調べて分かったのだが、中野坂は、あまりの急傾斜で、
下り坂を走る大型車のブレーキが壊れてしまう可能性があるらしい。
だから時速30km制限で、エンジンブレーキ推奨の標識が何個もあって、
更に、万が一の時に車が突っ込んでも受け止めてくれる、
「緊急避難所」も3箇所に作られている。
そんな危険なくらい急な坂を、自転車で登るのだ。これはキツい。
なんとか登りきって、下り坂が始まった瞬間、安堵した。
いやはや、さすがにこれ以上は急な坂はないだろう。
さあ、次に見えてくる港町はどこだろうか。
…と、思ったのだが、進んだ先にあったのも、山道。
どうやら、暫くは山の中を進むようだ。どうか、上り坂が来ませんように…。
(第百五十六話に続く)
小山(自転車部部長)