数日前に、「令和2年度都内私立中入試実施要項」が東京都のホームページで公開されました。

 

 

私立中の入試スケジュールが一覧表になっていて、願書締切日、試験日、合格発表日、入学手続き締切日まで、わかりやすくまとめられています。

 

 

ここではリンクしませんが、Googleで「令和2年度都内私立中入試実施要項」と検索すると、すぐに見つかると思いますてへぺろ

 

 

この資料を見ると、現在の中学入試の実施形態は実に多種多様で複雑なことがわかります。

 

 

御三家などトップ校を中心に見ていると、昭和時代の中学入試とあまり変わっていないように思うのですが、中学入試全体を俯瞰すると、色々な入試があるんだなーと驚きですびっくり

 

 

従来からの、2、4教科入試や面接のほかに、適性検査、英語、算数1教科、第一志望入試、得意科目選択、作文、プレゼン、理科実験など・・・。

 

 

現在の中学入試は、入試1回あたりの募集人数が少なく、何回も入試を行う傾向が強くなっている。

 

 

募集人数が、5~10人の入試を行う学校はたくさんあるのだ。

 

 

逆にかつてスタンダードだった1回入試の学校は少なくなっている。

 

 

2/1午前入試校(男子校と女子校のみ)の募集人数と、2019年合不合結果偏差値の関係をグラフにしてみると、興味深いことに、右下の部分に学校はなく、大きな空白地帯があることがわかります。

 

 

 

 

特に募集人数が150人を超える学校は、すべて合不合偏差値60以上の学校であり、偏差値60未満の学校は1校もありません。

 

 

1回入試校は9校(御三家+駒場東邦+早大学院+立教女学院)しかなく、これまた、すべて合不合偏差値60以上の学校となっています。

 

 

かつて(昭和60年代)は、1回だけ入試を行っていた学校が多かった。

 

 

女子校では、女子学院、千代田女子、雙葉、三輪田、聖心女子、東洋英和、山脇、学習院女子、跡見、桜蔭、香蘭、鷗友、国本女子、恵泉女子、佼成学園、聖ドミニコ、実践女子、東京女学館、光塩女子、女子美大付、立教女学院、川村、十文字、豊島岡、星美、東京成徳短付、富士見、愛国などが、2/1の1回入試校だった。

 

 

もちろん、当時は午後入試なるものは存在しませんでした。

 

 

現在では、東京周辺の県でも中学入試を行う学校が増えて生徒の争奪戦となり、優秀な生徒を集めるため、複数回入試制度を導入した結果、徐々に右下に大きな空白が生まれたのでしょう。

 

 

今なおこの空白は広がりを見せています。

 

 

2019年入試では、2/1午前入試の募集人数を減らして、他の回の入試の募集人数を増やす傾向が特に顕著でした。

 

 

<2月1日入試の募集人数を減らした学校>

 跡見(100人→80人)

 大妻中野(60人→50人)

 晃華(70人→50人)

 香蘭(160人→100人)

 実践女子(80人→60人)

 昭和女子大(60人→50人)

 女子美大付(115人→105人)

 東京純心(35人→20人)

 桐朋女子(140人→130人)

 中村(50人→40人)

 普連土(70人→50人)

 三輪田(72人→70人)

 目黒星美(30人→25人)

 巣鴨(100人→80人)

 世田谷学園(70人→60人)

 日大豊山(120人→110人)

 

 

以上書いてきましたように、2/1に入試を行っている偏差値上位校は、昭和時代と変わらない1回入試を行っている学校が多い。

 

それ以外の学校は、2/1入試の募集人数を減らし、学校間で競うように、複数回入試や特色入試を積極的に導入することで、より多くの優秀な受験生を集めようと入試制度を変えてきた・・・。

 

中学入試がこれだけ複雑な形態になったのも、そんな背景によるものなのである。