少し前の日本経済新聞(6/30 電子版、7/2 朝刊)に、
豊島岡の高校募集停止に関する記事が掲載されていました。
「都内の有力中高一貫校 高校募集の停止 相次ぐ」
こうして全国紙に掲載されるということは、
この話題はそれだけ世間の関心が高いということなのでしょう。
記事にも書かれているように、今後高校入試の選択の幅が狭くなり、
中学受験を検討する家庭がますます増えていくのだろうと思います。
では、なぜ中高一貫校は高校募集を停止するのか?
色々な記事を読んでいると、いくつかの理由が挙げられている。
4点にまとめてみると、
① 中学入学組と高校入学組の二つのカリキュラムを同時に進めるのは、学校の負担が大きい。
② 6年間の中高一貫教育により、体系的な教育の展開が可能になる。
③ 都立高などとの併願が多く、第1志望者が少ない(第1志望者に入学して欲しい)。
④ 高校受験では私立志望者が減っている(低い倍率である)。
①②については、まあその通りかなと思いますが、
③④については、何となく釈然としない。
これは高校募集を停止する直接の理由ではないのでは?
「第1志望者に入学してほしい」 「私立志望者が減ってしまった」
こんなオブラートに包んだ言い方をしていますが、
ずばり、
「高校入試では優秀な生徒を集めることができなくなった」
これが学校側の本音だと思う。
もっと踏み込むと、
中高一貫校では大学入試に向けた中高一貫教育カリキュラムが確立し、
学力に関して、中学入学組>高校入学組 となり、
高校入試を実施するメリットより、デメリットの方が大きくなった・・・・・・。
①の理由とも関係するが、高校入試をやめる判断がなされてもおかしくない。
そんな学校側の本音が書かれた資料を偶然見つけた。
早稲田中学・高等学校は平成5年に高校募集を停止し、
すでに完全中高一貫校になっています。
当時の受験雑誌の記事の抜粋を載せますが、
ここに同校が高校入試を停止した理由が明確に書かれている。
当時の早稲田高の80%偏差値は71以上で、実質倍率は5倍を越えていた。
合格者の多くは、有名大手塾(TAP、SAPIX、早稲アカなど)でガンガン勉強していたはず。
それでも中学入学組の方が学力が高いということは、
中高一貫教育カリキュラム(先取り教育)がいかに優れているかを表しているのだ。
進学校の大きな目標は、何といっても高い大学合格実績をあげることですから、
大学入試に有利になるように学校が変わっていくのは当然のこと。
最近の高校入試の廃止の動きは、私学の生き残りをかけた改革なのである。