レスキューICSIのデメリットとは?
レスキューICSIというのは比較的新しい技術になります精子が卵子に入っていなかったらICSI(=レスキューICSI)を行いますが、精子が侵入しているのは振りかけてから何時間後に判断するのかはクリニックによってさまざまです。そのためレスキュー顕微授精の成績は各クリニックでばらばらです。多くのクリニックでは4〜7時間くらいで判断しているようです。私のクリニックでも何時間後に判断してレスキューICSIするのが一番成績がいいのか日々研究して必要に応じて変更しています早い時間で判断する 精子が卵子の中に侵入できない。振りかけてからの時間が短ければ精子は卵子のなかに入ることができません。遅い時間で判断する 卵子の質が低下するリスク加齢による卵子の質低下はよく知られています。(=体内加齢)未受精卵の状態で培養器内に置いておくことでも卵子の質は低下して行きます。(=体外加齢)受精していない場合、培養器の中に置いておくだけでも卵子の質は低下していってしまうので、一刻も早く精子と合わせていくことが重要になりますレスキューICSIの場合は初めからICSIをするよりも精子と合わせる時間が必然的に遅くなるので卵子の質が低下すると言われています。その結果異常受精が増える傾向があると言われています。(受精の反応自体は起こっているが、培養を続けていっても赤ちゃんにならない)ただし培養器内で4〜7時間程度置いておく程度では卵子の質には影響がないという論文もあります。私のクリニックではレスキューICSIをしたせいで異常受精率が高くなるという結果は今の所は出ていません。また、異常受精の起こりやすさは振りかけ法の方が確立としては高いです。これは現場の本音になりますが、レスキューICSIまで時間がかかると培養士の残業時間が増えますお昼に振りかけてそこから7時間待ってからレスキューICSIするとなると21:00〜22:00くらいまでICSIしている日もあります独り言なので気にしないでください。精子が卵子の中に侵入しているかの判断方法については前回触れましたが、その判断も100パーセントではありません精子が卵子の中に侵入しているかのみの判断なので、それで受精しているかを判断しているわけではないのです。あくまで受精の兆候(受精してそうだな。。。)があるかないかです。もし精子が侵入しているのにレスキューICSIを行う⇨精子が卵子の中に複数匹侵入してしまいます。これは多精子受精となり培養を続けていっても赤ちゃんにはなりません。精子が侵入していると判断してレスキューICSIを行わない⇨受精の兆候はあったが実際受精が起こらない。まずはレスキューICSIのメリット、デメリットを理解して頂いた上で皆様が納得のいく治療を受けられますように次回はピエゾICSIについてです。本日も最後までお読みいただいてありがとうございました