『フロリダプロジェクト 真夏の魔法』を観た。

 

 

大人の世界は厳しいけど子供たちから見た世界はキラキラしている、みたいなことを描いた作品だという前評判を聞いていたが、火事が起こってヒロインと坊やが遊べなくなってからは、大人目線がほとんどなのでちょっと拍子抜け。時間を計ったわけではないが、子供目線の世界は尺全体の三分の一か四分の一くらいまでで、残りは大人目線という印象。これを撮ったベイカー監督も参考にし批評で引き合いに出されることも多い是枝監督の『誰も知らない』は全部子供目線で、こちらの方は大人に比べて一日が長い子供の時間感覚に全編付き合わされるのはシンドイと感じたから、この手の映画では子供目線と大人目線が半々くらいの時間配分が最適なのではないかと思った。

 

期待ほどではなっかたけど、もう一度観てみたいとは思った。やっぱり主役の母娘を演じた素人二人は素晴らしい。ウィレム・デフォーは、『恋はデジャブ』のビル・マーレイが「倦怠する賢者」のシンボルとして『ロスト・イン・トランスレーション』に再登場したのと同様に、「無力な聖者」としてスコセッシ監督の『最後の誘惑』から本作へと再登場したのだと思う。

 

 

私も昔ディズニーランドの近くに住んでました。真夏は毎晩花火が打ち上げられていて、浦安市民にとっては毎晩が花火大会だなと思った。この映画の登場人物と違って私の方もバブリーな生活をしてけど、心は貧しかった。

 

 

ラッパー宇多丸による本作の批評に、ラストにヒロイン(娘のほう)が「ああ、私の子供時代、少し早く終わるみたい」と気づいて泣く、みたいな表現が出てきたが、私にもそんな瞬間があった気がする。