メンヘラ女が出てくる映画なんて珍しくないけど、この動物形態模写女は新鮮だ。周囲の反応も、屋外ではさすがにチラチラ視線が刺さるという感じだが、夜の店では「この子はこういう子なんだから」という感じで自然に受け入れられている、というのもリアルでよい。

 

松本人志が『シネマ坊主』という映画批評コラムで『ミザリー』のキャシー・ベイツが豚のように鼻を鳴らすところに注目し、自作の『R100』で大地真央に『丘を越え行こうよ(正式タイトルはピクニック)』を歌わせアヒルやヤギの真似をけっこう本気でやらせた。山下監督は松本コントからの影響をどこかで語っていたし、『ユメ十夜』の担当話なんて、もろに松本コント風だった。

 

山下が上記の記事やシーンを見たかは分からないが、この映画での聡の鳥真似パートは、松本の『この女、いま動物の真似したでぇ』という狂気への恐怖感がシリアス映画向けにに発展したものと見えた。