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白樺の拠水林をバックに咲くニッコウキスゲとヤマドリゼンマイ
 
 
尾瀬沼を出て、燧ケ岳の麓を2時間半ほど縦走すると尾瀬ヶ原に出ます。
 
尾瀬沼が湖(尾瀬沼)と山(燧ケ岳)からなる景観なのに対して、尾瀬ヶ原は、上田代、中田代、下田代の大きな湿原が、2つの名山(燧ケ岳と至仏山)に挟まれた、広大な景観を誇る尾瀬を象徴する場所です。
 
また、尾瀬ヶ原は、湿原の間に拠水林と呼ばれる川沿の小さな林と池塘と呼ばれる小さな池が点在する独特の景観を持っています。
 
この独特の景観を華やかに彩ってくれるのが、夏のニッコウキスゲです。
かつて夏の尾瀬のイメージといえば、湿原のグリーンの中に咲き誇る黄色のニッコウキスゲでした。
 
ですが、今はかつての姿を見ることはできません。
 
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中田代で燧ケ岳を背景に写したものですが、この辺りも以前はニッコウキスゲの群落が見られました。
 
ここ10年(特に5年)くらいのシカの食害で、ニッコウキスゲはすっかり無くなってしまっています。
 
以前は尾瀬にはシカはいなかったそうなのですが、近年シカが夜に湿原に下りてきて、ニッコウキスゲや水芭蕉などの芽を食べてしまい、深刻な問題となっているとのことです。
 
シカ対策は、現在でも有効な手段はとられておらず、年々ニッコウキスゲの数は減っています。
 
もちろんシカには何の罪もないのですが、かつての夏の尾瀬ヶ原を知っているだけに、今の尾瀬ヶ原の状況はとても悲しいです。
 
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尾瀬ヶ原では、ヨッピ川付近に少し群落が見られる程度になってしまっています。
 
早く有効な対策が施され、十年先かも知れませんが、尾瀬がかつての姿を取り戻して欲しいと思っています。