第14日目S50/8/5(火)  今日の走行72km
沼津6:00発 稲取17:00着 バス停泊

昭和50年8月5日(火) 沼津発 稲取着
バス停泊(出発から14日目)

今日の難関は天城峠越えだった。
私はこの今日のコースが伊豆の踊子に
出てくるコースなので期待感を持って走った。

予想にたがわず良い峠であった。

第一に涌き水が随所にある。
第二に風が非常にひやっとして爽やかである。
第三に道路脇に樹木が多い。
これらが作用して私は気持ち良く走る事ができた。
踊子には遭えなかったが、この爽やかこそ踊り子だと思った。

峠道汗をふきつつペダリング
天城峠の水は踊り子

しかし今日一日は旅人としては気持ちの良い土地ではなかった。
皆きわめて無関心で自分の事のみ追っていた。
それで当然なのかもしれない。
がそこに新しさを見つめる余裕が欲しかった。

私は今稲取駅に居るがすぐここを出たい気持ちだ。
実際今日は宿を取る気持ちでいたが、
宿の玄関に立ったりしたが高級な温泉街で
それどころではなかった。

と書いて寝ていたら駅の職員に起こされた。
11時半頃だ、出ていってくれと言う。

私は仕方無しに闇の中を新しく
野宿の場所を探すために駅を出た。
まったくなんと言う事だ。

少し走ろうと思ったが海岸線を夜走るのは非常にきつい。
私はバスの停留所を見つけ、そこで寝ることにした。
我ながら良い所だと思った。
しかし寂しく危険だから人目を避けて寝ることにする。

最初外で寝ていたら雷が鳴り出し、
すぐ空が曇り雨が振り出した。
私は一雨繰るなと思いすぐバス停の中に移動した。
すると雨はすぐ大雨になり
風はいっそう激しく吹いた。

雷も凄まじかった。

私はそれを横目で見ながら非常に心細さを覚え、
と同時に雨の易しさも見た。

私は何時の間にか眠ったが
風が体をたたきつけ非常に寒気を感じ、
持っている物をすべて着ていても寒かった。

宿も無く宵闇近き稲取にて
雷雨見つめし石枕かな