由美子は
ごくごく普通のOLだ。

毎日満員電車に揺られ
残業をこなし

何を話しているのか
忘れてしまうほど

ひどく窮屈で
息が詰まっている。

「由美子先輩、質問いいですか?」

5つ下の新人で
私が教育を任された
小百合に声をかけられた。

その彼女に
私はひどく悩まされている。

「いいわよ」

気取られないように
先輩らしい口調で返した。

「この企画なんですが
先輩の案ですと
失礼を承知ですが
無駄が多いと思います。
ここをこうしてこうすれば
利益も上がりますし
効率がいいです。」

彼女は鼻高々に私の企画と
会社の方針を批判した。

言わなければいいのに。

そういった正義感と
若さが三十路手前の私には眩しかった。

「この企画はね、
貴女が入る前に決まってるのよ。
そう固めてあるの。
貴女は言われているとうりに
入力をこなしてね。
その為にタイピング技術を
かわれて雇われいるんだから。」

「…分かりました。」

彼女は納得がいかない様子で
渋々返事をし、自分のデスクに戻った。



彼女どう思う?

同期である雅樹が
メールをくれた。

嫌われるわね。
しかも分かってて
やってるから鼻につく。


私は素直にメールを返した。


部長の大学の後輩にあたるから
下手に口出し出来ないんだよ。


それも分かってるだろうね。



最近の子って自分でも
気がつかないのかしら
野心家って事に…。


あの子漫画の読みすぎ?笑


だったら良いんだけど。





「小百合ちゃん
仕事お疲れ様。
この後ご飯行かない?」

「いえ結構です。
まだ終わっておりませんので。」

「そう、残業頑張って。」

雅樹振られたわ

ドンマイ由美子





「にしてもあの子ツワモノだな笑」

「正義感が強くて真面目な子なのよ。
変に絡むんじゃないわよ
パワハラって訴えられたらどうすんのよ。」

「折り合いつけれんねーなら
とっと諦めればいいのになー。」

「決め兼ねているんでしょ
潔癖エリートちゃんは、
にしてアンタは自由よね。」

「何嫉妬?」

「おじさーん、生一丁。」

やっても無駄って
分かっててもやる

それで、自殺まで追い込まれる事を
彼女自身が望んでるのからしら❔

彼女が気にかかるのは

遠い昔
蓋をした
私の気持ちを
呼び起こすから❔

やめよう、
考えても無駄だ。






「おはよう。」

「おはようございます!先輩っ」

うわっ
やめてその態度。

張り切ってますって感じ。

あんた浮いてるわよ。

それとも何❔
自分は私と、違うって言いたいの?
感じ悪い子。


「どう企画順調に進んでる?」

「はいっ出来ました。」

「そう、ありがとう」

隙のない完璧な仕上がり。

「明日はプレゼンね
初舞応援するわ。」


何が応援よ、する気もないくせに。

気がついてんの、
あんたが違う企画を練っていることも
それが会社や部長に恥をかかせるって事も
先輩の私が頭を下げる羽目になる事も

好きにやりな。



次は○○社のプレゼンに移ります。

「はい
○○社からの発案で
今回改めて意向を変え
新改革に望みます!」



「どっどうゆう事だね由美子君
聞いてないぞそんな企画案」

「私もです。」



「以上をもちまして
○○社のプレゼンを終了させて頂きます。」


「君!なんって事をやってくれたんだ!」

「部長、人前ですよ。」

「ゴホン、なんだねまったく。」



「お集まりの皆さま、大変永らくお待たせ致しました。今回のプロジェクトは多数の賛同を得ました○○社様の企画が上がりました。おめでとうございます。皆さま盛大な拍手を○○社様に提げてください。」


「我が社の案が通っただと!?
どうするんだね、どう上に報告すれば、
俺はおしまいだ。」

「予算の件は独自に彼女が工面できる方面から集結していたようです。他にも働きかけていたようで、何より雅樹が判を押してます。」

「知らなかった。」

「私も今雅樹部長から連絡を受けて知りました。それから今日付けで彼女がリーダーに抜擢されました。今後は彼女の方針で動くそうです。予想を上回る流れだったようで、、、。」

私考えていた案よりも遥かに勝る仕上がりの企画とプレゼンよ。まったく嫌な子。


「プレゼンお疲れ様。」

「お疲れ様です由美子先輩。」

「今日付けで貴女がリーダーだけど
これからどうする気なの?」

「退任します。お世話になりました。」

「はあ?」

「企画の内容に沿って今後動くみたいで良かったです。あの土地を汚されたくなかったので。あっ新リーダーは由美子さんにお任せします。」

「ちょっと、完成まで責任とりなさいよ!」

「いやです。」

「はぁ?」

「だって由美子さんの方が適任ですもん」

「なんであんたが勝手に決めてんのよ!」

「土地の件に由美子さんの名前を推奨しました。完成まで逃れられません。以上!」

「貴女なんて大っ嫌い!」

「褒め言葉でーす。」




END