頭ん中の解体新書

頭ん中の解体新書

頭に浮かんだものを書くブログ

完璧に自分のネタ帳ブログです。


登場する人物・団体・てか全部フィクションです。よろしくお願いします。

Amebaでブログを始めよう!

[数年後、ある海辺にて]






「ふーーーー。重かったー。」


僕は肩から担いでいた多くの機材を下ろし、一息つくことにした。

潮風が頬をなでる。磯の香りがとてもここちよく流れてきた。すごく落ち着く。

しかし懐かしい・・・・・・・・・・。


「少し、撮ろうかな。」


カシャッカシャッ






カシャッカシャッカシャッカシャッ









ピロピロピロッ!


ピッ!

「はい。もしもし。」



(お疲れ様です!編集の杉山です。来月に出す先生の写真集が、各書店で予約が相次いで、増刷が決まりましたので電話しました。)



「そうですか。ありがとうございます。     はい。  はい。   それじゃ、よろしくお願いします。失礼します。」


ピ!

「そうか・・・・・よかった。」




・・・・・・・・・・・・・そういえばあの日はちょうどこんな季節だったな・・・・・・。





カシャッカシャッ

カシャッカシャッ


「ふーーーー。」






「ねぇ、ねぇ、何撮ってるの?」

















終わり。

翌朝、僕はばあちゃんの家を出た。

仕事を手伝うと言ったが、

「答えが見つかったのにグダグダするもんじゃないよ!」

といって送り出してくれた。



正直、まだやるべきことは何なのか分からない。

ただ、やらなきゃいけないことは見えてきた気がする。


僕は知らないことが多すぎる。


もっと多くのことを学んで知らなくちゃいけない。





僕は電車から降りて駅を降りた後、一人のサラリーマンの後をずっと付いていってみた。

その人は道を早足で歩き、携帯電話にしかられ、いろんな人に頭を下げていた。

重そうなかばんを持って会社を出たり入ったりして、たくさん汗をかいていた。

家に帰るころは真っ暗になっていたが、家の戸を空けたその人は“おかえり”の声に迎えられてとても幸せそうに笑っていた。




いつも平淡な日常を繰り返しているようでつまらない世の中だと思っていたけど、気持ちが変わるとそれは違った見え方をした。


この人も守るもののためにがんばっているんだな・・・・・・。




きっと何をすればいいか分からない僕は何も知らないのだろう。

「自分は何ができるか」、「世界で人はどんな事をがんばっているのか」、「自分はどうなりたいのか」を見つける事ができたとき、きっと何かをを守れるようになるんだ。



僕もそれが見つかったら、守りたいものに出会うのだろうか・・・・・・・。


・・・・・・・・・好きな人ならいるかな。












続く。


「・・・・・・・『生きることと』と・・・・・・『守ること』・・・・・・・?」



「そうだよ。」



「やっぱり・・・・・・分かんないや・・・・・・・。    ばあちゃんは何を守っているの?」



「ふふ・・・・・・そうだね。   守るものは歳を重ねるごとに変わっていったよ。

若いころはずっと自分を守っていたね。   

ばあちゃんは、子供の世界が一番生きづらくて互いの居場所争いが激しい世界だと思うね。小さい頃っていうのは何も知らないから、工夫が上手じゃないのさ。    自分を認めてもらうために何をすればいいか知識がないから分からないんだろうね。

だから、グループを作ったり、あるいは他人を拒絶したりして“自分は皆とおんなじだ”、“自分はほかの子より優れている”という気持ちになって満足するんだね。

でも実際は何も変わっていないのさ。自分を変える努力をしない限りはね・・・。

これは社会に出てもずいぶん長い間続いたような気がするね。」



「ばあちゃんは・・・自分を守るのをやめることができたの?」



「あんた、そりゃぁ、ばあちゃんはきっと心のどこかでは自分を一番大事にしたいと思う気持ちはあると思うよ。       

ただ、ばあちゃんは18歳で社会に出て、多くの人と知り合って、いろんなことを経験したのさ。   そしたら、守りたいものが“自分に関わる人たちとの繋がり”に変わっていったんだよ・・・・。

いつだって人ってのは、支えられて、期待されて、応援されて・・・・・それを何らかの形でお返しして・・・・・・・・。

繋がりがあるということは、お互いに必ず素敵なやり取りが成り立っているもんさ。



そして、じいさんと出会った。」



「・・・・それで父さんが生まれたんだね。」



「そうだよ。   この頃は親の偉大さを本当の意味で理解したねぇ。   

親ってのは子供が生まれた瞬間に人生のすべてを理解するんだよ。とくに、多くの苦労を知っている親ほど道理の通った口うるさい親になるだろうね。」



「そうなんだ・・・・・・父さんは悪い子だったりした?」



「どうだったかねぇ・・・・。分かりあえない時期もあったけど、・・・自分の譲らないものを持った立派な男に育ってくれたよ。

鏡也は、『親は知ったような口をきく』って言ってたけど、親になるっていうことは、生まれた子の将来を背負うって事になるのさ。   これは分かるね?

そうしたら、自分の知ってる限りの苦労はさせまいとするだろう?  これは人として当然、焼きたくなるおせっかいなんだよ。


そうさ、生まれた子を守りたくなるのさ。  いくら反発されてもね。」



(グスッ・・・・・・ズズッ・・・・・・・うっ・・・・)

「ばあちゃん・・・・・・うっ・・・・。」



「・・・・・・・そしたら、あの子も立派に社会人に成長してね。あたしみたいに守りたい繋がりを見つけてきて、夫婦になったんだ。

すごく幸せそうだった。犬も食わないような中の良さでね。あたしも安心したのを覚えているよ。あんたの母ちゃんはいい母親になるって。

そしたら、子供が出来て、鏡也が生まれた。     

あたしゃ嬉しかったねぇ!   もうあたしは・・・・気分が舞い上がっちゃってじいさんと大はしゃぎだったよ!!  それで・・・・・・」



「(グスッ)ばあちゃん・・・・ありがとう・・・・・・うう・・・・・ふっ。

俺、もう分かった・・・・・・ズズッ。

ばあちゃんは、残りの人生をかけて僕たちの将来を守ってくれるんだね・・・・・。」






「・・・・・・・・いい子だね、鏡也。   ばあちゃんは安心したよ。



手元にあるものは多くはないけど、あんたたちに残してあげられるものを大切に守っていこうと思ってる。何一つ欠けないようにね。   あんたたちの将来のためにばあちゃんは命を燃やすからね。     生まれてきてくれてありがとう。



「ばあちゃん・・・・・・。」









(ありがとう)









僕はばあちゃんを抱きしめた。この気持ちを伝えるために。

涙と鼻水でぐちゃぐちゃだったけどばあちゃんはやさしい笑顔だった。



とっても、とっても心が暖かくなる抱擁だった。

僕の頬に当たったばあちゃんの涙は、同じくらい暖かかった。