雨になりたい
身体ごと
指先まですべて
波となってしまいたい
魂まですべて
どうか
大雨の海岸で
私を選んでください
落雷に打たれたいのです
私のすべてが
自然に還ればよい
どうか、どうか
雷が私を選んで落ちますように
雨の中
いつまでも、いつまでも、いつまでも
私は祈りつづける
祈りつづける
雨になりたい
身体ごと
指先まですべて
波となってしまいたい
魂まですべて
どうか
大雨の海岸で
私を選んでください
落雷に打たれたいのです
私のすべてが
自然に還ればよい
どうか、どうか
雷が私を選んで落ちますように
雨の中
いつまでも、いつまでも、いつまでも
私は祈りつづける
祈りつづける
悪い事をしたにせよ
死刑判決を言い渡される被告たちは
さぞやショックなことだろう
心中お察しいたします
「契約終了ですよ」
サラッと軽い口調で告げる今時の派遣会社
契約終了ですよ
契約終了ですよ
判決は死刑ですよ
私にはどちらも同じ響きで
聞こえる
いや、聞こえない
どこか遠くの話のように
薄ぼんやりと
その言葉が浮遊するだけ
会議室に浮遊するだけ
美しいものに触れたくて
地下街の本屋に
吸い込まれるように入る
ギリシャ抒情詩選を買う
カバーはおかしますか?
お願いします
色はどちらになさいますか?
ワインレッドを
帰りの電車で袋から出しゾっとする
ワインレッドは彼女の好きだった色
私は決して選ぶことはないはず
縁起が悪い
早死にした人が好きだった色を選ぶなんて
亡くなった親友を
忌み嫌う対象にしてしまう程
いつの間にか
荒んで病んでしまった私の心
秋が好きで
繊細で美しいものを愛していた
純粋すぎる親友なのに
自ら脳みそを
手で鷲掴み
頭蓋骨から引っ張り出す
汚い川で
汚れ切った水で
ジャブジャブと洗い
硬いコンクリートに
打ちつける
何度も何度も何度も
そうでもすれば
許してもらえますか?
世間が私を裁いている
どうしても、許してもらえない
私は私の罪状がわからない
真面目にしていても
謙虚にしていても
どんなに働いても
人間として扱われることはない
私は「使い捨て派遣」
壊れかけている私
なぜか?
私は機械だから
私は道具
組織の道具
「調整弁」という名です
大きく破損しました
そして
もうすぐ完全に壊れてしまいそう
バランスを失いかけている機械が
破損しないように
期待しても
助けはやって来ない
その時がきたら
動きが止まる
ただそれだけ
最後に花を贈られるのは
自分自身の葬式
そんなことを考えたことは
ありますか?
誕生日、デートで、結婚式のブーケ、
晴れやかな場面に彩られた花々
しかし、今
それらが飾っているのは
自分の死顔
色見のない、過去の生命
この世とあの世のつなぎ目に
敷き詰められる白百合、白菊、カトレア、、、
狭い棺という空間の全てに
生々しい現実を埋め尽くすように
高層ビルの入り口の吹き抜けから下をみる
ここから飛び降りたら死ねるか?
距離が足りない
確認しながら仕事場の42階へと向かう
風にのって甘やかな花の香りがする春
自らの死を選ぶ人は多い
なぜなのだろう
怖い
月の光が
満月が
私の脳をしめつける
「どうか許して下さい」
「私の神経を締め付けないで下さい」
祈りに似た気持ちで
布団にうずくまる
夜空の月を見もせずに
狂っている
私は
月の引力の僅かな差で
脳がしめつけられるように苦しい
誰もわかってくれない
そんな馬鹿げたこと
「生れてすみません」
そんなことを言った作家がいる
生まれてすみません
生まれてすみません
死んでしまってすみません
命はおそろしく脆い
人間の命の価値がわからない
どうして小鳥は鳴くのか
かわいらしい声に
罪を感じる
私は小鳥ほどの
良心も持たない