此処からのお噺は、抜き読みにされる事は先ず有りませんで、個人的には生で聴いたのは、鈴々舎馬桜師匠だけで、歌丸師匠を殆ど聴いて無い私は、此の噺は六代目圓生の録音のイメージです。
◇お久殺し https://youtu.be/saASi9ITj3w
あべよしみさんの『お久殺し』は、やはり豊志賀の書き残した手紙から伝わり来る怨念が、実に因縁、因果を感じさせる科白廻しで怪談噺らしさを感じさせて呉れます。
六代目三遊亭圓生の同じ部分も、当然、なかなかおどろおどろしい謂い廻しなのですが、此の手紙を読んだ新吉が、豊志賀の棺桶ん中にそっと隠して墓に埋めるのが怪談噺らしいですよねぇ。
又、豊志賀の怨念の遺言が物凄くて、不実で病の自分を捨てた新吉が憎いから、女房を新たに貰うならば、七人まで呪い殺すと宣言し、そして直ぐに羽生村の土手でお久を新吉に殺させる。
そして、この『お久殺し』の切れ場も宜いですよね。真の闇で出逢う新吉と仁蔵。豊志賀の亡霊に踊らされてお久を殺した新吉が、雷鳴轟く暗闇で仁蔵と出逢います。続きが実に楽しみな切れ場で御座います。