本は、お文が三五郎の妻として描かれているので、『段右衛門召し捕り』『段右衛門とお文のお白洲対決』の二話に相当しますが、

松鯉先生の台本は、此処がなかなか手が込んでいて、お文は三五郎が重四郎に殺されて、突然、行方不明になり、元の遊女に戻り、大黒屋十兵衛(畔倉重四郎)の脇本陣で働きます。

其処へ、安藤對馬守の家来の紹介で、城富が大黒屋に泊まり、その相方にお文が出て、城富とお文が恋仲になります。

話はトントン拍子に進み、お文が城富と夫婦になる。そして、此処でお文の口から、城富は、穀屋平兵衛殺しの真相を聞かされます。

また、それ以外にも、大黒屋十兵衛こと畔倉重四郎は、鎌倉屋金兵衛殺し、更には金兵衛の子分殺しなどを幸手宿で行っていて、大黒屋でも紀州飛脚を襲った盗賊を殺していると聞かされます。『十話・おふみの告白』

そして、此れを聞いた城富が大岡越前守に、大黒屋十兵衛の悪事を直訴、大黒屋十兵衛召し捕りとなります。『十一話・城富奉行所乗り込み』『十二話・重四郎召し捕り』

その上で、十三話目が『おふみ重四郎お白洲対決』ですが、まだ、講談は、切り札である杉戸屋富右衛門は見せない展開なのに、

本は、あっさりと、杉戸屋富右衛門が生きていると、大岡越前守は切り札を切りました。さて、続きはどうなるのか?!