大坂はいよいよ、豪商たちの青田買い!天一坊詣が始まり、鴻池善右衛門を筆頭に、米問屋の池田屋卯兵衛、口入屋座頭近江屋富五郎、そして堺の元締音羽屋惣右衛門といった面々が、奉加帳を作り千両単位の寄進がなされます。


常楽院「大膳殿、狙い通りですなぁ。今日で既に、二万両程の寄進がありましたよ。」

大膳「取り敢えず、雇い入れた家来に、十両程度渡してやりましょう。また、三千両を金主である住友様之助殿へも返しましょう。」

感応院「江戸表へは、いつ出発でしょうか?」

大膳「これよりは、幕府の沙汰に従うしかありませんが、幕府側は、御烙印と認めるのを、なんやかやと、先延ばしにすると思われます。

そののらりくらりに対しては、こちらから、意見をして行かねばならないと考えます。兎に角、大名の参勤交代に負けない行列で江戸へと乗り込みましょう。」


山村甚之助が、奉加帳の話の後、赤川大膳を呼び止めて、山本軒庵の寝ぐらを突き止めたので、近日中にも寝込みを襲い焼討ちにすると報告した。

それを聞いた大膳は、軒庵は『告発状』を既に書いてたるかもしれないので、生捕りにして白状させるべしと、襲撃に注文を付けた。

いよいよ、山村甚之助と手下四人が、山本軒庵の盗っ人宿を深夜襲撃したのだが、悪党としては大膳や勘之助の師匠である軒庵は、寝込みを狙われると予感していて、

常に、鉄砲を二丁用意した上で寝ていて、勘之助たちの襲撃を交して、手下二人を撃ち殺して、庭を突っ切り、抜穴が隠してある井戸へ飛び込んで闇夜に消えてしまったのでした。


一方、大坂城代土岐丹後守から、老中松平伊豆守へと早馬で、書状が届き、「天一坊なる御烙印を語る一味について、吟味の結果、二点の怪しき点之有り。」と報告してきた。


まず、天一坊の実母澤乃が、夫である天一坊の守役感応院が留守中に強盗に押し入られ殺害されている。

しかも、赤川大膳らしき人物が、感応院を訪ねた直後に、この強盗事件は発生していて、勿論、下手人は捕らえられていない。

二つ目は、天一坊は極力対面する者に、顔、姿を見せたがらず、御簾内から言葉のみの対面となる。

大坂城代の時もそうだったのだが、城代が家来の隠密に、屋根裏から天井に出て、天一坊の顔を見て、隠密がびっくり!!天一坊は家老の赤川大膳とそっくり、瓜二つである。また、声も非常に似ている。


この報告を受けた、松平伊豆守は、八代将軍吉宗公に、この天一坊の一件は、その全権を、南町奉行大岡越前守忠相に一任としたい!と提案します。

それを聞いた吉宗公は、それは名案!数々の難事件を解決して来た越前ならば、予も安心じゃあ、と二つ返事で賛成されて、この件を大岡越前守が担当する事になる。


いよいよ、次回から大岡越前守が政談モノらしく、天一坊の素性を洗い始めます、乞うご期待!!



つづく