日向守からの御烙印天一坊様現れる!の、報は直ぐに城代土岐丹後守へと伝えられて、『此れは天下の一大事!!』と、大坂は上を下への大騒ぎ!!蜂の巣を突っ突いたとはこの事。
丹後守は早馬を飛ばして、事の次第を老中松平伊豆守へと報告した。報告を受けた知恵伊豆こと、松平伊豆守が困り果てた。
『三代家光公にならば、水仕女の澤乃といい仲になりややを産ませたんですか?!』と、尋ねる事もできたが。。。八代様は、全く知らない人だから。。。困ったぞ!!
DNA鑑定で、一発で白黒が分かる現代とは違い、このお墨付の真意を鑑定するのは、色んな意味で、享保の時代は苦労したようです。
そして、この真意を確認する役に石川近江守が、吉宗のお気に入りだし、上手くやれるに違いない!と、白羽の矢が立った。
立てられた石川近江守は困りますよね。知恵伊豆様からの命令ですから、嫌や!何て言えません。しかし、万一将軍様の逆鱗に触れたら、その場で手打ち!お家は断絶です。
猫の首に鈴を付ける役目は、今も昔もパワハラ・モラハラで決すようです。
アさて、伊豆守から指令を受けた石川近江守。いつ将軍様に尋ねるべきか?三日三晩寝られない状態で、もう意識朦朧、フラフラの四日目の朝、
吉宗公、その日は庭に出て、腰に小刀しか差さずに、泉水べりや松などを眺めては、庭の様子を見ておられました。其処へ!今だ、と思った近江守、将軍様の側へと走り寄ります。
そうです。あの小刀では手打は無理、切腹せい!と、言われる状況と見て、意を決して質問したのでした。
近江「恐れながら、殿に伺いたい儀が御座います。」
吉宗「何じゃ?近江」
近江「予の儀にはごさいませんが、君、加納将監方にいらっしゃる折、水仕女の澤乃なる者をご存知ですか?この女に情けを掛けられたか?否か?この段を伺いたとう御座います。」
吉宗「この段などとは、なかなか言えるもんじゃない、九段だったら靖国神社!!笑え、近江。
予が将監方に居た時、確かに澤乃とは深い仲では有った。子ができたのだが、左京太夫家への婿入りが迫っていたので、
澤乃には『書状』と『形見の短刀』を渡して、男子ならば召抱え、女子ならば花嫁道具をと書き記したが、
澤乃からは、願い出が無いぞ!!女子で未婚か?死産なのだと予は思っていたが、それが、何かしたのか?近江」
近江が、実は大坂にてと、天一坊旗揚げの経緯を語ると、吉宗公、静かな調子で遠い目になり、「人は、若気の至りと言うものが、必ず、二、三在るものよ。」と呟き、奥の木戸を開けて消えて行った。
近江守、これは間違いない!将軍様は、源六郎時代に、澤乃と言う侍女に手を付け懐妊させている!と、老中松平伊豆守へ報告します。
そして、伊豆守からの早馬で、大坂城代土岐丹後守へと『御烙印間違い無し』知らせが届き、次回は天一坊が大名行列を成して大坂城へと入城するのですが、続きは次回。
つづく