台風が近づいている予報の土曜日。茹だるような蒸し暑い昼間に、浅草へとやって来ました。

浅草寺の境内を抜けて現場へと向かったのですが、意外と観光客が少ない!!特に、中国人の姿が少ない気がしました。


1240分くらいに浅草見番に着くと二番目でした。そして、次回は12月7日の土曜日、しかも、開演時間が一時間早くなり、13時になります。

そして、前売りチケットに整理番号が入るようになり、早く来て並ぶ必要がなくなりました。

そうそう、埼玉から来ている少女とお母さんの萬橘フアンの親子が、来ていました。少女は私の隣の席に座りました。

この親子を見付けると、何とも嬉しくなります。そんな残暑厳しい四季の萬会、こんな内容でした。





1.出来心/まん坊

浅草寺の賽銭泥棒の小咄から入るまん坊さん。落ち着いた前座さんで、ハキハキと滑舌も良く好感度の高い。

もうすぐ二つ目に昇進すると思いますが、これからが、本当の勝負になるまん坊さん、芸名も変わるのかな?



2.風呂敷/萬橘

マクラの冒頭に、京急電車が運行を再開したニュースを口にする萬橘師匠。場所が浅草なだけに、新橋・品川・川崎・横浜方目に帰るお客さんへの配慮からの報告でした。

そこから、今日のゲストが、たけ平師匠であり、落語仲間で一番頻繁に落語会で会うのが、たけ平さんだと言う萬橘師匠。

四月から日暮里館というホール寄席を、たけ平師匠と萬橘さんの二人で運営していると、宣伝も兼ねて紹介するのでした。

更に、萬橘師匠、よくマクラで紹介する五歳の娘さんの話へ。何でも娘さんのマイブームが裁縫なんだそうです。

やたらと、針と糸で縫い付けしたがるそうなんですが、悲しいかな針に糸を上手に自力では通せない。

だから、萬橘師匠が家に居ると、「お父さん!糸を通して」と、何度も何度も頼んで来るらしい。

用事をしている最中に頼んで来られて、最初は糸の先を舐めて針に通そうとしたが、上手く行かず、娘に自分で通しなさい!と返したら。。。

渋々、受け取った娘が、どうするのか?見ているとハサミでまずは、糸の先をチョン切ってから舐めて糸を通し始めたそうです。

「なぜ、先をハサミで切るの?」と、娘に尋ねると、「だって、パパが舐めたから。。。」そんなに俺は不潔か?!と、思った萬橘師匠でした。


そんなマクラから本編の『風呂敷』へ。新さんを押入れに隠して「兄さん」の所に知恵を借りに来た近所の女房に対して、兄さんは知ったかぶりの薀蓄を一切語らない。

女、三界に家無しも、貞女、二夫に見えずも、瓜田に履を納れずも、李下に冠を正さずも、一切登場しない。

飛び込んで来た女房は、『紙入れ』の女房のようなツバメをつまみ食いする常習犯という設定で、笑いにします。

独自の世界観なんですが、それでも、薀蓄の知ったかぶりは、入れて欲しいと思いました。隣の少女も、萬橘師匠の『風呂敷』で笑っておりました。



3.阿武松/たけ平

マクラは、たけ平さんの定番の昭和の名人伝から。以前も書いたかな?「燭台」撥音が変なんです。頭高型で撥音するんですよね。

相撲大好きなたけ平さんの『阿武松』なんで、それなりの薀蓄も混ぜながらの地噺となりますが、もっと弾けるような脱線を期待しましたが、やや地味目で平凡な感じでした。

それでも、隣の少女は、目を輝かせて、たけ平師匠の『阿武松』へ喰い入るように聴いておりました。



4.千両みかん/萬橘

マクラでは、勘違い、言葉の間違いに付いて触れて、本編『千両みかん』の番頭さんの夏にみかんが手に入らないのを忘れての行動を絡めて笑いを取っていました。

さて、萬橘師匠の『千両みかん』。番頭さんのキャラクターが萬橘師匠らしくて、濃かった。来年暖簾分けだと言われて、まず、舞い上がっています。

その流れで番頭さん。患って寝込んでいる若旦那から、胸の内の悩みを聞き出すように、親旦那から頼まれます。

暖簾分けで、ウキウキしている番頭と、胸に悩みを抱えている若旦那の対比が、実に、萬橘師匠らしく面白い演出です。

更に、安請け合いしてみかんを探しに行く番頭さん、親旦那からは、万一、息子がみかんに焦がれ死にしたら、お前は主殺しの大罪人だ!と脅されます。

親旦那の父上も、真冬にスイカが食べたいと言って、番頭にスイカを探させたが、見付からずスイカに恋焦がれて死んでしまう。

その番頭は、主殺しで張り付け獄門!錆びた槍で刺し殺されたと脅します。


ここから、みかんを求めて江戸中を奔走する番頭さん。笑いがてんこ盛りの萬橘ワールド全開です。八百屋で握った胡瓜を握り締めて離さない番頭さんが傑作でした。

私の隣の少女も、コロコロと鈴の音のような笑い声を響かせておりました。次回は、12月7日の土曜日、私は前売りチケットを既に買いました。