さて、この会で変な事が続きました。それは、三三師匠の登場が遅いんです。緞帳が下ったまんま、開演を知らせるブザーが鳴ったのに、出囃子が鳴らないんです。

まず、オープニング!布目さんのエチケットスピーチからの展開で始まるいつもの展開なのに、布目さんの後を受けての三三師匠の登場が遅い!!

普段は、布目スピーチを喰い気味に登場してdisる三三さんが、なかなか登場しないんです。


でねぇ、布目さんが、スピーチ後に何時もとは違う行動をしたんです。この日だけ!!あんまり気付いた人は居なかったかも?ですが。。。

それは、何時も指定席に、親子で座る超強面の私の百倍悪人顔のM氏が、なぜか?何時もの指定席ではなく、母御前を連れずに、最前列にいらしたんです。

それを、目ざとく見付けた布目館長が、M氏に何か話し掛けてから下がったんです。「三三師匠、今日は具合悪いんです?」と、言ったのか?!

と、深読みしたら、全く違って、「なぜ、今日はココなんですか?!」と、Mさんもビックリする突っ込みを喰らったそうです。

私も指定席と言うかぁ、毎回、同じ席だから思いますが、年間予約席を売って欲しい。行きたい会だけの優先権利でいいから。。。


さて、結局、なぜ、オープニングだけでなく、仲後まで、三三師匠の登場が数分遅れたのか?は、なぞのまんまの、三三づくし!こんな内容でした。




1.引っ越しの夢

マクラは、小田原のプレーバック、仙台の私立学校、幼稚園から高校までの一貫教育の学校での学校公演、あの『寿限無』の話から始まりました。

ただねぇ、小田原とはマクラの振り方が、微妙に異なるんです。何度も、色んな会で使っているマクラだから、それなりにダイジェストで演じる三三師匠。

多分、客席みて、3割以上は、二度目?三度目?と、感じているはず、『寿限無』の部分が、一回としてフルで寿限無、寿限無をちゃんとやらずに、

肝心のたんこぶの下りを、上手く説明する三三師匠でした。そんな掴みを振って、昔は口入屋と呼ばれた、現代のハローワークを説明して、本編の『引っ越しの夢』へ。


もしかすると、三三師匠では、初か?私はこの演目は、志ん朝師匠のイメージですね。『愛宕山』とこの、『引っ越しの夢』、そして、この日、最後に三三師匠が掛けた『唐茄子屋政談』は、志ん朝らくご!!ってイメージです。

さて、『引っ越しの夢』。そつなく演じる三三師匠なんですが、見せ場が無くてね。強いて言えば、最初の新しく来た女中を品定めする番頭さんの、下心なんだろうが。。。

ここは、米朝師匠のがトドメを刺しているから、なかなか、あれを超える上品でいて、男を感じる下心は難しいですよね。

そして、先に申し上げた志ん朝師匠のように、吊り戸棚を、二番番頭と一番番頭が、担ぎながら会話を交わす場面のように、

最初は、ゆっくり場面展開しているのが、あり得ない速さで、割り科白?と、思う感じに左右が変わる技は、なかなかできません。


私は、志ん朝師匠への嫉妬?と、思うぐらいに、上方の某師匠が、同じように早く左右が変わるのだが、わざと一番と二番の番頭が入れ替わり、

最後は、一刻堂の腹話術のモノマネで、入れ替わった後の一番番頭の科白が、遅れて出て来る芸を見た事があります。

その時は、物凄い衝撃で大爆笑だったけど、所詮、パクリ芸なんですよね。一刻堂さんが超メジャーになると、やれない演出になりました。



2.六ろっ首

二席目は、三三師匠の好きなネタで、一応、化物が出て来る『六ろっ首』でした。いいですよね、志ん朝師匠の得意ネタ二席の間に、

談志師匠が、好きだった『六ろっ首』を挟むなんて!三三師匠らしい演目のチョイスだと、思いました。



3.唐茄子屋政談

先に申したとおり、遅れて登場の三三師匠でしたが、普通に若旦那のマクラから四十五分、『唐茄子屋政談』をやりました。

私は、二回目か?三回目ですね、三三師匠の『唐茄子屋政談』。

吉原田圃で、道楽時代を若旦那が回想する場面、三三師匠だけではありませんが、最近の若手にチラホラ見掛ける、『唐茄子屋で御座い!!』

この売り声の合間に、花魁との思い出を語るパターンで、一切、長唄・小唄・端唄は披露しないスタイルが、最近、ちょくちょく観ますが。。。

せめて、佐野さとか、軽い端唄の替唄ぐらいなら、披露して欲しいと思うのは、私だけ?小満ん師匠みたいに、博多節を聴かせろ!とは言いません、端唄ぐらいは。。。


そうそう、唄が駄目なら、吉原田圃にちなんで、講釈『雨夜の裏田圃』を、夏らしく殺されたお登勢が化けて出るまでを語るのも、講釈好きの三三さんだと、有りかもしれません。




次回、三三師匠の会は、八月二十二日の月例三三になります。