いつもは、浅草見番で「四季の萬会」として開催される萬橘師匠の独演会ですが、今回は会場の都合で、

以前は赤坂見番と呼んでいた、赤坂芸者組合の踊りや三味線の稽古場です。

実は、赤坂に「萬橘」と言う芸者さんが現役でして、会の名前が「赤坂 萬橘會」だった為に、Office M'sには、問い合わせの電話が、多数掛かってしまったそうです。

もしかすると、芸者さんの会と思って来てしまったと言うお客様も、いたりしたかな?そんな、臨時開催の萬橘師匠の独演会、こんな内容でした。



1.悋気の独楽/じゅうべえ

スウェーデン人で好楽師匠の十番弟子のじゅうべえさん。私は三回目で、前座噺でない落語は、初めてでした。

てにをはが、変なので落語のリズムが60%くらいしか取れないのは、仕方ない面もあるとは思いますが、やや残念。

と、言うのは、間合いはちゃんと笑いが取れる間を取って話を展開できる技術を身に付けているので、あとは、落語のリズムに成れば、一人前です。



2.青菜/萬橘

マクラでは、喫煙者目線の話から、喫煙者はマスコミの報道のやり方からして、偏見・差別が有ると言う萬橘師匠。

この日は、集合住宅よりも、一軒家の方が喫煙率が高いと言うデータがあると、報道されているが、喫煙者の立場から言うと大きなお世話だと言う萬橘さん。

確かに、一軒家の方がさくらんぼを食べる人が多いとかいう視点で報道される事はない。こじつけているようにも感じます。


そんな話題を振って、季節的に旬なネタ『青菜』へ。何度か聴いた事がある萬橘さんの『青菜』ですが、相変わらず爆笑です。

鯉のあらいを、植木屋さんが「荒井」と勘違いして、山田とか田中もあるんですか?は、萬橘師匠独自のくすぐりです。

普通は、シャボンで洗うからあらいぐらいのボケなのだが、萬橘師匠のボケは一段とデープなボケである。


あと、お屋敷が書院造で、床の間には、広重の絵が掛かっているのに対して、植木屋さんの長屋は、壁に穴が空いていて、それを子供の絵で塞いで誤魔化している。

この二つを対比させて、笑いにするのも、萬橘師匠独自のアイデアだし、さらに日本説記と桃太郎の比較もにくい演出です。

ただ、唯一残念なのは、再三演じられる酒を飲む仕草が、リステリンとかモンダミンみたいなぁ、お口クチュクチュの仕草なんですよね。



3.唐茄子屋政談/萬橘

マクラでの、娘さんを幼稚園に迎えに行った話は、大爆笑でした。たまたま、火災の避難訓練に遭遇して、

ビニールで作られたトンネルに、煙を充満させておいて、親子で手を繋いで潜り抜ける避難訓練だったそうです。

会社でも、たまにやりますから、この煙の中を潜り抜けるヤツは知っていましたが、萬橘さんも、5歳の娘さんの手を引いて、トンネルを抜けたら、

娘さんの仲良しの友達がトンネルの出口で待っていて、萬橘師匠を見るなり、「お爺ちゃん!」と大声で叫んだそうです。

恥ずかしくなった萬橘さんが、「お爺ちゃんじゃないよ、お父さん!」と言うと、その子が、物凄く神妙な顔に成って、「だって、浦島太郎。。。」と言う。


さて、萬橘師匠の『唐茄子屋政談』。締めの最後三分が、六代目圓生の直系らしい展開で、もう少しで、涙が出そうになりました。



次回は、浅草見番に戻って九月七日の土曜日です。