数年前、「フェルミのパラドックス」に関する最新の研究結果が公表されました。その結論とは、
「観測可能な宇宙において、人類が唯一の知的生命体である確率は39%から85%である」
というものでした。つまり、私たち人類は、宇宙で孤独である可能性が非常に高いというのです。
「フェルミのパラドックス」とは?
夜空を見上げ、無数の星々が輝く光景に心を奪われたことはありますか?
その美しさに魅了される一方で、
「宇宙には他に生命は存在するのだろうか?」
という疑問が頭をよぎることも少なくないでしょう。
「宇宙は広大だ。一体どれほどの星が存在するのだろう?そして、地球外生命体はどこにいるのだろう?これほど広大な宇宙なのだから、高度な技術を持つ生命体がいても不思議ではない。しかし、なぜ私たちは彼らと出会わないのだろう?」

この疑問こそが、「フェルミのパラドックス」と呼ばれる、人類にとって最も重要な謎の一つなのです。
宇宙には地球外文明が存在する可能性が高いにもかかわらず、なぜ私たちは彼らと接触できないのか。
このパラドックスは、エンリコ・フェルミ自身を含む多くの人々を悩ませ、様々な仮説が提唱されては否定されてきました。現在では、いくつかの有力な解釈に落ち着きつつあるようです。
有力な解釈の例
パターン1:知的生命体は存在するが…
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距離が遠すぎる
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人類にはまだ観測・感知できない
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意図的に人類から隠れている
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地球への到達に必要な資源が不足している
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何も発信せず「聞く」ことに徹している
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仮想現実などに没頭している
パターン2:知的生命体は存在しない。なぜなら…
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文明が十分に発達していない
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何らかの理由で滅亡してしまう
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地球のような環境は極めて稀である
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この世界はシミュレーションである
これらの解釈は、どれも興味深いものばかりです。
しかし、正直なところ、私はこれまでの「まだ分からない」という状況に満足していました。
知的生命体が存在すれば、それに対処しなければならないし、存在しなければ、それはそれで不安を感じるからです。
知的生命体は存在しない可能性が高い…

今回の研究結果を発表したオックスフォード大学の論文では、従来から使用されてきた「ドレイクの方程式」が用いられています。この方程式は、「天の川銀河で1年間に誕生する星の数」や「生命が知的レベルまで進化する確率」などの変数を設定することで、「人類と接触する可能性のある文明の数」を算出できるというものです。
しかし、変数の設定によって結果が大きく変動することは容易に想像できます。
例えば、NASAの「レアアース仮説」では、地球の環境が非常に稀であるという仮定に基づいて変数が設定されたため、「知的生命体は存在しない可能性が高い」という結果になりました。
一方で、地球の環境が平均的であると仮定して計算すると、天の川銀河には1560万もの文明が存在するという結果になります。つまり、ドレイクの方程式を使用する上で、変数の設定は非常に重要なのです。今回の研究が画期的なのは、その変数の設定方法にあります。
オックスフォード大学の研究者たちは、最新の生物学、化学、宇宙論などの知識を参考に、「確率の範囲」を変数として設定しました。
従来の固定された数値を割り当てる方法と比較して、この方法はより多くの可能性を同時に検討できるため、より現実的な算出方法と言えます。
しかし、その結果、39%から85%の確率で「知的生命体は存在しない可能性が高い」という結論に至ったのです。