電気の傘が取りかえられない | 洋服直し屋の日常

洋服直し屋の日常

服の直しや仕立ての仕事をしています。
日常で出会ったおもしろいこと、服の製図や
自分でできる修理方法など書いています。

 

          電気の傘が取りかえられない

 

洗面所の電気の傘にヒビが入った。
2階の物置にも同じ形のものがある。

ヒビが入ったのを捨てて、これを洗面所に移しかえたい。

脚立とドライバーで傘をはずそうとした。
ところが、私の頸椎(けいつい)は4番めがズレている。
顔を上にむけると首が痛い。


           
町内会長の、
「男手が必要なときは、いつでも僕にでんわするんだよ」を思いだした。

奥さんがいる人のだんなを拝借するなんて、もうしわけない。
まして、会長の奥さんに、

「ちょっとあんた! うちの仕事はな~んにもしないくせに、なんで他人の頼みは
すぐにやるのよ(怒)と、文句言われたら気の毒だ。

そうだ、私は社会福祉協議会の会員だったんだ。
社会福祉協議会は、生活のちょっとした困りごとを代行してくれる、

ボランティアをかかえている。

買い物、草取り、家具移動 etc.
年会費1,500円を払うと会員になれる。

代金は1時間600円だ。これはボランティアには渡らないお金だろうな。
高齢者やハンディのある人への、なにかの援助金になるお金だと思う。

こちらに頼んだほうが、ビジネスライクでいい。

ただし、 作業時間をこちらでは指定できない。
ボランティアの都合に合わせる。

手順はこうだ

1  福祉協議会の女性が依頼の下見にくる。
        しろうとができる仕事かどうか判断する。

2  できそうなボランティアに仕事の内容を告げ、
        本人のつごうのいい時間を私に連絡する。

3  私は「OK!です」と応える。これで交渉成立だ。

約束の日に来たボランティアさん(70才半ばの男性)は、あっという間に仕事を終了した。

「奥さん、ほかにもやってほしいことはないですか?まだ、時間がたっぷりありますよ」

「じゃ、時間までお茶のみましょうよ」というわけで30分ほどしゃべりこんだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~

「数年前に、奥さんにお会いしたことがあります」
「私は記憶にないのですが、どこで?」

「団地の入り口にある畑です。
当時、僕はそこで家庭菜園をやっていて、だいこんの収穫をしていました。

そこを通りかかった奥さんが、『あら、きれいなだいこんですね!
葉っぱがやわらかそう。 1本100円で売ってくださいませんか?
そのだいこんの葉っぱを食べたい』と言われました。

「え? だいこんの葉っぱですか?おもしろいことを言う奥さんだな。
それで記憶にあるんです」

「それで、どうなったんですか?」

「葉つき泥つきだいこん2本あげました」
                            

『こんなに?うれし~♪ 
早く帰って切り干しだいこん作ろう』とか、

なんとかおっしゃっていましたよ」

「私、だいこん代払いましたか?」
「それは僕にも記憶がないんです」

この男性なら、きっと100円すら受けとらなかっただろう。

帰りぎわに、そのときのだいこん代と言って、

未開封のお茶の一袋を手渡した。


                                                
                                                                                

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