発達障害の妹に涙した | 洋服直し屋の日常

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                          発達障害の妹に涙した

 

私は4人姉妹の長女で3人の妹がいる。
だが私の周囲の知人には、家族はだれもいないと言ってある。
妹たちとは断絶しているので、家族はいないのと同じことだ。

その理由は
実母が痴ほう症と心臓の病で倒れたとき、3人は鳥取の実家の近くに住んでいた。
2番目の妹は『純子』、4番目の妹は『洋子』という。
この2人は長女の私が介護すべきだと猛烈に主張した。

発達障害の3番目の妹による介護は、父が拒絶した。

私は住んでいた埼玉の店舗住宅を閉鎖して実家にもどり、

母の介護をはじめた。母は2年後に他界した。

埼玉の我が家に戻り、大好きな仕事を再開できたのは
至福の極みで、3人の妹とは縁切りした。
妹たちに振り回される将来が、ユーウツに思えたからだ。

電話もメールも迷惑メールフォルダにGO!
断絶してから今年の春で14年経った。

障害のある3番目の妹はいつも穏やかに微笑んでいて、時々「ボケ」をかましていた。
ボケは自分のキャラなのか、単なるアホなのか本人もわからないと言う。

こんなエピソードがある。
葬儀屋と私はたわいないおしゃべりをしていた。
母の死は湿っぽい雰囲気ではなく、

家族全員が安堵の表情だったせいもあるからだろう。

(葬儀屋)
「仏さんは三途の川を渡るとき、六文銭払うんですよ。いまでいえば1万円ですかね。
お金は白装束のたもとにこっそり入れておいてあげるんです」

3番目の妹は、母がお骨になったとき私に
「母ちゃんのたもとの中に、1万円入れてあげたで。
もっと入れてあげたらよかったんか?」と訊いた。

「え?ホンマモンの1万円か?」 「だって葬儀屋さんがそう言ったのを聞いてたもん」
「アホか!現ナマではないよ、 印刷した紙幣や!」

私には彼女の日ごろの行いが、障害なのか個性なのかよくわからない。

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①    勉強モードに突入した時は、10時間でも机にかじり付いて勉強している。
   なのに成績は最悪

②    自分の嫌いなタイプには悪口雑言、言いたいホーダイ。
   対象は上の姉の『純子』 ・ 下の妹『洋子』 ・ 実父の3人に限られている。

③    パート先を転々と変える。必要以上に働きすぎる。
   同僚たちの「時給が安いんだからテキトーにね」と
       言うさじ加減が理解できないで、アウエイされるからだ。
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先日のことである。3番目の妹が何年かぶりに電話をかけてきた。
私は迷惑電話お断りを解除していたのである。

妹は心臓に不整脈がでて、もう仕事はムリだと言った。
私の近況もたずねた。
私は自分の病気のことをつい話してしまった。すると、2日後これが届いた。

 


      
       

5万円近くある。
メガ級ビンボーな妹が、コツコツ貯めた生活費だと確信した。

手紙には、もろに田舎の方言丸出しで

『姉ちゃんは、いつも私をかばってくんさったなぁ感謝しとったで。
このお金を治療費にしんさい!純子ねえちゃんと洋子にも,

姉ちゃんの病気のこと伝えといたけ~な! あの2人はリッチだけな。
きっとごっそりお見舞金が届くで!それまでがんばれ!』  

届くはずのない形のあるもの、ないもの(金品や真心など)を
届くと信じている妹は無垢だと思った。

3番目の妹の名は『富江』という。

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