初対面で怖い!と思った男はじつは | 洋服直し屋の日常

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服の直しや仕立ての仕事をしています。
日常で出会ったおもしろいこと、服の製図や
自分でできる修理方法など書いています。

                    初対面で怖い!と思った男はじつは

 

「最近こちらに引っ越してきました。後輩からおたくを紹介してもらいました。
今日中にこのズボンの丈を8cm短くしてもらえませんか?
明日から仕事なんです」

入店してきた男性は、頭金髪、眉を剃り、態度もデカいが
ガタイもデカい。

ヤンキーだ! しかもボス級。こわごわ応対し
一時間後に受け取りを済ませた。

その後何度か仕事の依頼を受けた。

そして5年前のある日

「おやつはカール」 のカール好きですか?と訊かれた。
「ええ大好きです、とくにあのチーズ味がたまりません。
あっという間に1袋空っぽになります」


                              


「はい、自分もです。

それを胸にかかえてビール飲むと最高っす♪
でも東日本での販売を終了するらしいっす。

西日本は終了しません」

 

 

(参)
カールの販売が終了する理由は「赤字」です。

 生産しても商品として利益が出ないのです。

 最盛期の1990年代には190億円の売り上げがあったカールも、

現在は60億円と売上は3分の1以下に激減していました。2017/06/07   

ねとらぼ の記事より

「んで。きのう仕事ついでに大阪でカール3箱買い占めてきました。
 若い奴らに配り、○○さんにも用意してあります」 と3袋くれた。

「ん、まあ(^o^) 超うれしいッス」 私までヤンキー語になっている!

カールをもらったので、おだてるわけじゃないが。
この男性、見かけはゴツいがけっこういい奴じゃん。

私が今年、難病といわれる『特発性大腿骨頭壊死症(だいたいこつとうえししょう)』 の

手術をし、40日後の3月末に退院したときのことだった。

「退院祝い」だと言って、食べたこともない上等なクッキーをくれた。
ここまで、優しく対応されると情が移るわよ。

先日に来店されたときも

「足の具合どーですか?歩けますか?」
「はい、車椅子は卒業できて、いまは2本杖で10Mくらいなら
バッチリOK!です。
ところで、彼女さんいるんですか?」

「元は彼女さんで、今は嫁となった怖~い女が1人いるっス」

「じゃ、これをその恐~いけど、うつくしい彼女さんにあげてください」 と
前もって作って用意しておいたバスキャップを渡した。

このタオルで作ったバスキャップ
                   


           だれにあげても、シャンプー後にかぶると水分              を即効吸収し、後のドラーヤーが時短で済む。

            夏場ならドライヤーさえ要らない。

            と喜ばれている。

           なので、私は在庫がなくなったら、

           タオルのバーゲンがあると買い走り

            作り置きし、
 

 

お得意さんや好きなお客にプレゼントする。
優しい人には、こちら側もそれなリにサービスしたくなるよね。
だれだってそうなると思う。


前回の私の記事『その男78才 無銭飲食大好き 』 は
あまりにもむごすぎる。


この78才の男を、できるものならセーラームーンのように、
「神に代わってお仕置きよ!」 したい。
 

人生の先輩として、まわりの人から尊敬されてもいいはずの78才の老人。
まだ若輩とはいえ30代半ばの心優しき元ヤンキー。

老人に心を蹴りつけられ、
元ヤンキーに癒やされる。


この2人の男を、人生の縮図のような思いで見比べている。

 

 

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