コートを短くした残りで帽子 製図付き | 洋服直し屋の日常

洋服直し屋の日常

服の直しや仕立ての仕事をしています。
日常で出会ったおもしろいこと、服の製図や
自分でできる修理方法など書いています。

            コートを短くした残りで帽子 製図付き
 
 
娘に私の30年前のトレンチコートを見せました。
「これ、いいね!私着るっ!でも丈が長すぎるよ」と言いましたので、
今風に丈を短くしてくださいせんか?と依頼を受けた。
 
 
      
 
 
 
バーバリー定番のコートね!  丈を30cm短くしました。
 
私もトレンチコートが大好きだった。
 
洋裁学校2年の時、ナポレオンカラー(注・言葉の由来は最後に)
トレンチコートを作りたくなり、買ってきた生地と
自分で描いたデザイン画を先生に見せたら、
  イメージ 3
 
先生の眼が一瞬くもった。だんだんと縫い進めていく
うちにその理由がわかった。
 
私が買ったギャバジンという生地は
プロでも嫌がる素材で
あやしても、なだめても、すかしても
泣き止まぬ悪ガキみたいで
ちっとも私のいうことをきいてくれない・・・・・
アイロンをかければかけるほど、生地がクタクタになっていく。
 
 
もういやだ!途中で投げだしたくなったが、
級友たちの「ホントに出来あがるのかねぇ?」の
冷やかしの目に耐えながら。かつ
 
ナポレオンカラーのロングのコートとブーツはいた私。
枯れ葉舞い散る街路樹の下をさっそうと歩く私。
それを夢見て、ついに最後のボタンつけが終わった。
 
仕上がりはさんざんだったが、先生が
「あなたが買った生地とデザインを見たときには、
たぶん途中で投げだすんじゃないかと思いました。でも
さいごまでよくがんばりましたね!」と言ってくださった。
ほかにほめようがなかったのだろう。
 
さらに先生は
「自分の服ばかり作っていたのでは、技術は上達しませんよ」と言われて
ご自身の服の仕立てを、全部私にまかされるようになった。
1着につき、5、000円くださった。
 
私) 「私のへたな仕立てでお金などいただけません」と言ったら、
 
(先生)「代金をもらうということは、その服や仕立てに関して  
             すべての責任を追うということです。
     その責任の対価が金銭なのです。
             プロになるということと、  趣味で終わるのとの違いはそこです」
      
 それが先生の答えだった。40年前のことである。
 
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コートの丈つめを依頼されたお客さんは、
生地の残りはすててくださいと言われた。
バーバリーのコートだ。何年たってもすたれないチェック柄。 
残りの生地でアップサイクルしたい。ツーウェイの帽子が出来た。
 
 
 
 
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上の帽子の製図です
 
Mサイズ 頭のおでこを水平に計る、56cm位 Lサイズ 57,5cm位
      
 
 
(雑学)ナポレオンカラーとは。
フランス革命の時、ナポレオン1世が着ていた軍服の衿のデザインです。
 
 
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