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三人の龍戦士は魔道族に盛られた毒からランディー王を救うため、《薬仙人掌》を取りに行くことになった。


「リタ、薬仙人掌って何?」


ナンシーは訪ねた。


「毒を始め、あらゆる病気を治せる仙人掌のことさ。最も、それは今となってはかなり数少なくなってきただろうけどね。私が五歳の頃までは、大量にあったらしいよ」


リタが説明している間に、ヨゼフが植物図鑑をリュックから取り出し、ナンシーに見せる。


「この仙人掌はとても大きくて運べないから、この赤い花が咲いていて裏側が紫色をしてる――いわゆる腕の部分を切り落として、砂龍族の魔族達は気分が悪くなった時に食べてたみたいだよ」


ヨゼフの解説で、ナンシーは《薬仙人掌》について、ほとんど理解することができた。セルセインが城の最奥部までリタ達を導き、鍵がかけられている青色の扉を開ける。


「城から六メートル行った先に、《フィブラスの流砂》という場所があります。そこから更に北に数十メートル行けば、薬仙人掌があると思われます。なるべく早く戻ってきてください」


「ああ、わかってるさ。何せ今回は、父上の命がかかってるからね」


セルセインの《なるべく早く》という言葉にプレッシャーを感じながらも、三人は城の裏口を通り、薬仙人掌があるフィブラスの流砂に向かった。それを祈るように、セルセインは三人を見送る。


三人は薬仙人掌を求め、北へ北へと歩く。数分歩くと、そこには幾つもの砂地獄や流砂があった。足を砂塗れにして、彼女達は砂地獄にはまらないように注意しながら、北西を目指す。


その時、誰かの腹の音が聞こえた。音を辿ると、ナンシーから鳴っているようだ。彼女は顔を赤らめ、「平気よ」と言った。その時の彼女の顔は、今は間食どころではない、という風にリタにはとれる。


(そうよ。今はランディー陛下のお命がかかってる、大事な時なの。呑気に間食なんて、できないわ)


ナンシーは左手に斧を構え、覚悟を決める。


リタ達は、幾つもある魔物や魔族の骨を踏みつけるように進む。そこからまっすぐ進んだ先に、先の所に赤い花が咲いている大きな仙人掌が三つあった。


(とうとう見つけた。これを持ち帰って医師に薬を作ってもらえば、父上の毒は消えるはず……)


そう思いながらリタは、仙人掌を裏側から見てみた。その仙人掌は、裏側が紫色をしている。


(間違いない。これが幼少期に私が服用した、あの《薬仙人掌》だ)


リタは三つの仙人掌を見て、確信した。


「ナンシー、その斧で仙人掌の腕を切り落としてくれる?」


「任せて」


ナンシーは斧で仙人掌に傷をつけ、力いっぱいに取ろうとするが、それは歯を食いしばらなければならないほどに固い。あまりにも固いので、ナンシーはリタとヨゼフの力を借りることにした。今度は三人で一緒に、仙人掌の腕を切り落とそうと試みる。


すると今度は、仙人掌の腕がザン、という音と共に砂の中に落ちた。三人は疲れて、砂に膝をつく。少しして彼女達は立ち上がり、仙人掌を持ち帰ろうとリタのバッグにそれを入れる。


その時、酷い砂嵐と共に現れる人影が、彼女達の目に映った。その人影の正体は、水系魔道師リゲリオンだった。


「また会ったな。また領国に来てもらうぞ、元奴隷達よ」


リゲリオンはリタ達と再会して早々、呼びかけるように言う。


「その話は何度も断ったはずだ。いい加減に、諦めたらどうだい?」


リタは頑固に、リゲリオンの話を断る。それにも関わらず、彼は高い声を張り上げて笑う。


「ひっかかったな? 今のは冗談だ。でもこれから話すのは、本当のことだ。実は……」


そう言いかけてリゲリオンは、言葉を詰まらせる。その時の彼は、なぜか涙を流していた。リタはその理由を聞く。


「リタ、そんな奴の言うことを聞かなくて良いぜ。どうせ冗談だし。それに、今はランディー陛下のために解毒剤を作ることが先だ」


ヨゼフは苛々として言った。リタはリゲリオンの様子を見て、ヨゼフの苛立ちを制止する。彼は涙ながらに話す。


「実はメアリー――俺の姉が、キアに捕らわれた。処刑されるのも、時間の問題だ。俺は……俺はわかってたんだ。あれはキア――俺達の父親じゃない。あれは闇龍アルエスだってことを……」


途切れ途切れに自分が気づいたことを話すと、リゲリオンは涙を腕で拭う。


「以上だ」


水系魔道師は、きっぱりと話を切った。


「リゲリオン、まだ話は……」


「王国に帰れよ! 父親の命がかかってるんだろう? 本当はあの砂龍王に毒を盛ったのは、俺だ。お前達にいたぶってもらうつもりだったが、全ては親父――いや、アルエスの差し金だ」


そう言い放つと、リゲリオンは一旦言葉を切り、また砂嵐の中に身を隠す。それを見て、ヨゼフは舌打ちをした。


「ちぇ、何だよ、あいつ。敵か味方か、はっきりしろよな!」


彼は完璧に苛立っている。そんなのは口にしなくても、顔に出ている、とリタは思った。


薬仙人掌を手に入れ、三人の龍戦士は城に戻った。