大学受験で使っていた赤本や参考書を、先日まとめて片付けた。
息子が熱望していた国公立大学を目指して、
何度も何度もページをめくり、書き込み、付箋を貼り重ねた本たちだ。
共通テストの点がどうしても届かず、第一志望は断念することになった。
あの日の息子の表情は、今でも胸に残っている。
それでも気持ちを切り替え、別の国公立大学を受験し、無事に合格した。
本棚から赤本を取り出すたびに、 冬の冷たい空気、夜遅くまで机に向かっていた背中、
「もう少し頑張る」と言っていた声がよみがえる。
ページの端が擦り切れていたり、 付箋が何重にも重なっていたり、
その一冊一冊に、息子の努力の時間が確かに刻まれていた。
売りに出した本の数は想像以上で、
その多さに「本当に頑張ったんだな…」という思いがにじんだ。
けれど、買取価格は定価の10分の1ほど。
あれだけの時間と気持ちが詰まっているのに、値段だけを見るとあっけない。
思わず「中古で十分だな」と苦笑しながらも、
本を手放すことで、ようやく受験期がひと区切りついたような気がした。
息子は今、新しい環境で新しい生活を始めている。
あの本たちがあったからこそ、今の場所にたどり着けたのだと思う。
値段では測れない価値が、確かにそこにあった。