無事に彼は退院した。


私は荷物を詰め込み、彼の自宅へ向かった。


彼は髭がやたらに伸びていて、少しやつれて

いるようだった。


大変だったんだろうな。


彼に『一度もお見舞いに行かなくて

ごめんね。』と申し訳なさそうに

伝えた。


彼は『大丈夫だよ。家族がいつも傍に

いてくれたから』と、悪気もなく私に

伝えた。


だ•よ•ね!


知ってる。


彼は私がなんで部屋の番号を聞かずに

やってきたのかを気にもしてなかった。


彼は本当に鈍感だ。


さあ、目の前に彼の家が現れた。


荷物を持って、チャイムを押そう。