残業が終わらないあっちゃんから、メールが届いた。
「7時にニッセイの人が来るから、書類もらって話を聞いといて」
やってきたのは30代半ばの、スラッとした美人だった。
難しい説明の途中であっちゃんは帰ってきたので、バトンタッチ。
ニッセイの人が帰ったあと、
「今の人、美人でしょ?」っていうから、
「そうかな、あっちゃんの方が上だよ」とこたえたら、
「あら、そうかしら」とまんざらでもなさそうだ。
どうやら、値千金のプレゼントだったかな。
まあ、言葉のダイアモンドなら、何カラットでもタダだし。
一応、ご飯だけは炊いて待ってたんだけど、
もう疲れたしお腹も空いたというので、なっちゃんと3人で近くの回転寿司へ。
その後、スーパーに寄って家に帰った。
なっちゃんはそのまま勉強。
僕も野暮用で自分の部屋へ。
あっちゃんだけが、リビングで一人酒を飲んでいる。
本当は1時間でも付き合ってあげればいいんだけど、気の利かない男だな。
10時からは恒例の夜の散歩。
酔っ払いあっちゃんはパスするというので、
なっちゃんと二人で出かけた。
昔と違って、もうなっちゃんとはあまり話すこともない。
目の前に浮かぶ月に向かってただ黙々と歩いた。
散歩の間じゅう、ずっとレベッカのフレーズを口ずさんでいた。
MOON あなたは知ってるの
MOON あなたは何もかも
初めてキスした日の事も