手術、入退院。 | キロク・胞状奇胎。

キロク・胞状奇胎。

繋留流産からの、胞状奇胎発覚。綴る闘病記。

それから数日後、
掻爬手術の予約を入れました。

取り出した後、赤ちゃんと面会もできるし
小さなお花や赤ちゃんの小物とか
一緒にお箱に入れたいものがあったら
当日持ってきて下さいね。
と言われました。



手術前日、
お花を買いに花屋へ。
ふと目についた向日葵を一輪買いました。

命絶えても、まだ私のお腹のなかで
眠っている我が子へ。
最初でさいごのプレゼント。

ギリギリまで、あなたと一緒にいるからね。


お腹を撫でながら
その都度泣き崩れながら
手術日までのわずかな時間を
共に過ごしていました。







そして当日。
パパも仕事を休んで付き添ってくれる事になりました。
病棟は5階。婦人科専門病棟。

ちなみに
4階は産後ママの入院する病棟。
息子もここで産んで、4階に入院してたんだよなぁ。
もう全然おっぱい飲めなくて
全然寝てくれなくて
夜中たまらず抱っこして廊下に出たら
似たようなママが何人もヘトヘトで赤ちゃん抱っこしてて…
賑やかだった階。懐かしいなぁ。
でもこの階はすごく静か。
全然、赤ちゃんの声なんて聞こえない。

あの時とは全く違う。
パパと息子も一緒だったから
泣きはしなかったけど…
なんとなく、惨めな気分。

病院着に着替えて、ベッドに座ってみんなで遊んでいたら
点滴をしに看護師さんが入ってきました。
思わず構えて泣きそうになる息子。
おーい。今日の点滴は、君じゃないよ。(笑)



ルート取って、点滴して
ほどなく手術室に案内してもらい。

手術っていうから、帝切で入った所でするのかと思っていたけど
そこはとある奥の狭い一室。
個室っぽくなってて、ちょっと年季の入ってる分娩台が真ん中に設置されていました。

ああ、ここの分娩台は
決して命が産まれてくる処置をする所ではないんだなと
空気でわかりました。

死んだ子を取り出す所。
または生きてるのにも関わらず掻き出してしまう所。

「これから鎮痛剤と麻酔をルートから入れますね」
いよいよ始まる。
涙がポロリとこぼれました。


もっとお腹の子を想っていたかったのに
気がついたら全ての処置が終わった後でした。





手術は3階で行いました。
分娩用のLDR、詰所も同じ階にあります。

意識がはっきりするまで
暫くは3階のベッドで寝てたのですが
扉が開く度に詰所にいる赤ちゃんの声が聞こえて
その都度胸が締め付けられて
たまらなく苦しくなって。

麻酔でぼんやりしてても
涙だけは止まりません。







私の赤ちゃんには夕方会えました。
ちいさな白いお箱に入れられて
私の買ってきたお花と
午前中みんなで折った折り鶴と
前日したためておいた、赤ちゃんへの手紙。
一緒に飾られて
ベビーサークルに乗って部屋まで来てくれました。

赤ちゃんはガーゼに何重にくるまれて
もの自身は見ることが出来ませんでしたが
片手にすっぽりおさまる小ささなのに
すごく重たく感じて
たまらなく愛おしかったです。



いくら撫でても足りない。
可愛い。
ほんとうに可愛い。我が子。



たった1ヶ月の間しか一緒に入れなかったけど
とっても幸せだったよ。


私の所へ来てくれてありがとう。







その夜は、個室にひとり
我慢する事もせず泣いて泣いて
空っぽのお腹をひたすら撫でて。

翌日の診察は、異常なし。

程なく迎えに来てくれたパパと息子の顔見て
二人の笑顔に元気をもらって
前に進める一歩を踏み出しました。