9月よりニートとなった24歳には、およそ4年前から向上心というものが全く無くなってしまった。

将来は暗く、かつて高らかに掲げた夢や希望は、安いスーパーで手に入れた冷凍グラタンと一緒に電子レンジの側壁で焦げついている。

 

現在見上げられるのは、行きつけのカレー屋の天井だけである。

陽気な音楽に乗って、大きなシーリングファンがクルクル動いているのを見るのは嫌な気がしない。

 

さて、このニートは一体いつまでこのままカレー屋に通う事ができるのだろうか。

来年の春を迎えるころには、僅かばかりの貯蓄もすべて多様なスパイスと交換されて、ラッシーと共に消えゆくと思われる。

 

このままではいけない。

変わらなくてはならない。

 

そう強く決心するものの、未来を変える努力が要するエネルギーは降って湧いてくるものではない。

 

中身が空っぽな決心には、ランチセットを変えるのが精一杯だった。

 

「きょ、今日は+200円で、チーズナンにしてくださいっ!」

 

世の中の光も闇も、何も知らない純真無垢なニートの注文の声が店内に響く。

 

 

結果、大満足のランチとなった。

超うまかったマジで。

このようなご馳走を堪能する事を人生の支えとしても良いのではないかと思うほどであった。

美味しいものを食べたいときに食べられる事、これほどまでに強烈に意識したことがない種類の幸せであった。

 

ニートは意気込んだ。

なんだか元気が出て、やればできそうな感じがしてきた。

 

少しだけ、明日を迎えるのが楽しみになった。

 

まぁ、明日も、

今日と変わらず、

カレー食べる予定しか、

無いのだけれど。

 

 ニート