例えば、中学時代にお世話になった二十代の若い教師の顔を思い出していただきたい。
その教師が当時の姿のまま目の前に現れたら、今や自分が年上なのに、依然としてその教師のほうが年上に見えるだろう。


誰か研究した人はいるか分からないので、とりあえずこの不思議な現象をカーズノリ錯視と名付けることにする(注1)


自分の親が自分の年とおなじ頃の写真をアルバムから探してよく顔を見ると、やはりカーズノリ錯視が起こる。


更に進めて鑑みるに、自分の恩師や親に似ている人の顔は、自分には老けて見えるかもしれない。

これをムーラカミ予測と呼ぶことにする(注2)


しからば、ホウレイ線や小ジワといった物理的な原因にもとづく老け印象とは別に、教師っぽい顔による老け印象というのも存在すると言える。


ムーラカミ予測は「教師っぽい顔」を老け顔の要因として規程し、精神論からすると日頃から教育者然とした態度をとることがいずれ老け顔に繋がる、という警鐘をならすのである。わはは。


かくいう筆者は高校時代、その教育者ぶった風貌(と態度)によって、周囲からは既に三十路のレッテリングを施されており、未成年同士の飲み会の幹事としてきわめて重宝されたという経緯がある。

まさにムーラカミ予測どおりのカーズノリ錯視によって、居酒屋店員には成人の集まりの如く装うことができたのだ!

…単に老け顔だっただけか?




注1・発見者の名前「カズノリ」による
注2・提唱者の名前「ムラカミ」による