言葉をずっと長いあいだ間違えたまま使っていることがある。

 私の場合はkindergartenをずっとkindergardenと思って使っていた。この言葉を覚えたのはおそらく中学の終わり頃だと思うので、かなり長い間、間違ったまま書いたり話したりして来た。それが、ある日活字を見て、おやっと気づいたのである。ただ、4音節もある単語の最後の音節でしかもtとdという発音的には似ている違いなので、長い間指摘されたこともなかった。今どきなら書いた時(タイピングした時)、スペルチェック機能が働いてサッと直してくれてしまうので、こういうことは起こりずらい。

 人は言葉を聞いたとき、自分の脳の中で聞き覚えのある言葉に当てはめて理解しているのだろう。例えば、朝、人から、“おはXXごXXXす”と不明瞭な発音で言われても、何を言われたのか反射的に理解している。外国語を聞いて理解することも同じだと思う。例えば、What are you talking about? は、「わるゆぅとぉきnなばぅと」という今迄に何百回(何千回?)も聞きなれた音が、文章ではなく「一つの音の塊」として脳に滲みる感じで、これが言葉を聞くということではないか。英語のリスニングをコーチングする時はいつもここが肝だと思っている。

 全く関係ないが、高校時代の部活動の先輩で、「陰険」を「いんきん」と間違って覚えている人がいた。「あの先生いんきんだからなあ、」と声高らかに言っているのを聞いて、んっ?と思ったが、私は1年生でその先輩は3年生である。今の人なら「なんすかそれっ!」って笑って指摘するのだろうけど、当時は違う。一年生から見た三年生はかなり目上の人だった。間違いを指摘できるわけもなく、黙っていた。その先輩の周りの同学年の人達も間違いをあえて修正することなく、”温かく”見守っていた。