マーケティングライフ(sideα)

         

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交渉力②

今回は、前回の会話の中に含まれていた①~⑤の5つのテクニックについて見て行きます。

①:特定化

同じことを話すにあたっても「あなただけに話す」といった言い回しをすることです。

②:ドア・イン・ザ・フェイス(door in the face)

はじめに大きなお願い(集団授業を担当してもらいたい)をした後に、本来の目的であるお願い(一日だけでいい)をする。頼まれた方も、最初に断っているため、続けて断るのは、相手に対して失礼だ、という心理が働く。

③:イエスイエス法

「はい」をいい続けるような質問をしつつ、断る(「いいえ」を言う)理由をなくさせる。「はい」を言い続けた方もつじつまが合わなくなってしまうため「はい」、といわざるを得なくなる状況を作り出す。

④:自己質問

聞き手に考えさせることで、自分で自分を説得するという状況を作り出す。

⑤:フット・イン・ザ・ドア(foot in the door)

簡単な依頼を承諾させ、小さい依頼から大きい依頼へと順を追って話す。聞き手は小さな依頼を承諾することで、無意識のうちに自分はこういう依頼を引き受ける人間なのだ、という自己イメージを作る。(一日だけ→三ヶ月だけ→結局一年)

室長は、実際にこのテクニックを駆使して、私を説得していったのです。


一番驚いたのは、室長がこのテクニックを自然に会話に織り込ませていたことです。テクニックを知ったからといって、実際のシーンで利用するのは相当難しいと思います。それを見事に使いこなしている室長には本当に感服しました。

今日の一冊

梶 祐輔
広告の迷走―企業価値を高める広告クリエイティブを求めて

交渉力①




私は以前、個別指導塾でアルバイトをしていました。

そこにいた、副室長(現室長)が人を丸め込む・・・いや、説得することに非常に優れていました。

当時は、「この人のお願いは断れないなぁ」くらいにしか思っていなかったのですが、今改めて振り返ってみると、副室長が発する言葉の中には人の心理を考慮したテクニックが隠されていたことに気づき、改めて、副室長の交渉力に驚かされました。



今日はその例を一つ・・・

ある、金曜日の夜、私は全ての授業を終え、レポートを提出しに、副室長の机へ行きました。

すると・・・


室長:「①これはこれは、我が校のルーキーこと○先生じゃありません

    か!!あっ、レポートですね。お疲れ様です!!(_)」



私:「じゃあこれお願いします。」



レポートチェックが終わり・・・。



室長:「①ところで、じつは○先生に折り入っての頼みごとがありましてぇ。」



私:「はぁ、なんでしょう??(^-^; 

(この人のお願いってろくなことがないんだよな)」



室長:「実はですねぇ②小5社会のG(集団授業)をやっていただきたいと思い

    まして。」 



私:「Σ(°Д° ちょ!ちょっと待ってください!! いきなり集団授業です

   か!!まだ私が入って5ヶ月くらいしか経ってませんよ。新人の僕には荷が 

   重過ぎます!!」



室長:「いやいやいやいや!!!そんなこと期待していませんよ♪②実は普段 

    担当している先生が風邪を引いてしまって、明日だけお願いしたいん

    ですよ!2時間授業をするだけです!!①もう○先生しか頼りになる先

    生が居ないんですよぉ。この通りっっ!m(; _ _)m



私:「(なんだぁ。ずっとやれってことじゃなかったんだぁ) ホッ

まぁ、一回くらいなら勉強にもなるし、やってもいいかな。)いいですよ。」



室長:「有難うございます!!!本当に助かります!!ペコm(_ _ m三m _ _)m 

    ペコ

   


このとき私はもう既に室長の毒におかされていたのです・・・。





そして、次の日のGコース終わり・・・



室長:「これはこれは○先生!!お疲れ様でした!!!(>_<)」



私:「いえいえ。」



室長:「ところで○先生は中学受験で社会を勉強されたんですよね?」③・④



私:「はい」③・④



室長:「今日、授業をしていただいたってことは普段からも土曜日は空いていらっしゃるんですよね?」③・④



私:「はぁ、まぁ」③・④



室長:「そういえば以前、「金がない」っておっしゃってましたよね?」③・④



私:「はい」③・④



室長:「お金を今まで異常稼ぐためには今以上稼がなきゃならない、違います

    か?」③・④



私:「もちろんそうですよ」③・④



室長:「じゃあ決定だ。これからもGコース社会をお願いします!!」③・④



私:「はい・・・・・・・・・・・・・Σ(°Д°いやいやいやいやいや!!!!!!!!!

   おかしいです!!はじめに私は今日だけの約束をしたはずですが・・・」



室長:「いや、実はですね、昨日お話した先生なんですが…」



私:「ああ、風邪で今日休んだ…」



室長:「彼、今月限りでこの塾をやめてしまうんですよ」



私:「えっ、他に小学生社会の先生はいらっしゃらないんですか?」



室長:「いるじゃないですか私の目の前に( ̄ー ̄)ニヤリ。

   それにさっき仰ってましたよね。お金が欲しいって」



私:「( ´)いや~それとこれとは~…」



室長:「お願いします。⑤とりあえず3ヶ月だけでいいんですよm(。_ 。;)m」



私:「わかりましたよ~( ̄_ ̄|||)」



室長:「ナイスです!!○先生d(>_・ )」




その後も何度か、うまく言いくるめられて結局、集団授業を1年半も続けてしまうことになってしまったのです。(まぁ、色々勉強になったのでいいんですが)


室長はこの会話の中に5つの交渉テクニック(①~⑤)を駆使しつつも、それでいてかつ自然に(?)会話の中に盛り込んでいたのです。

その5つのテクニックは次回ということで・・・。



今日の一冊

エリヤフ ゴールドラット, 三本木 亮
ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

マインドマップ

マインドマップ マインドマップ

前回の最後に紹介した、マインドマップとは、一つのテーマをノートの中心に書き、そこを中心として樹形図のようにつなげて描いてゆくことにより完成します。注意すべきことは「書く」(write)のではなく「描く」(draw)ということです。

論理的に上から下へと書かれたノートというものは確かに見やすいのですが、論理的であるがゆえに、順番を追ってものごとを理解せねばならず、また、既存の枠から飛び出した考えや創造的な考えの育成、つまり右脳の育成には適していません。

上の図のように一つのテーマから予めいくつかの枝葉を伸ばしておいて、それらを埋めるように描くことにより、よりノートに書かれている内容が絵的となり、右脳を刺激しやすくなるという仕組みらしいです。

私もこの、マインドマップというものを、早速実践してみています。(まぁ、実際にこれで創造力付くかはわかりませんし、実感もありません。私の場合、右脳を成長させる以前に、左脳すら成長していないかもしれませんが・・・)

普段の書き方に飽きた方はお試しあれ!!

今日の一冊

井上 隆二, 山下 富美代
図解雑学 社会心理学


脳の情報処理構造

以前、今日の一冊内で紹介した、ルディー和子さんの本「マーケティングは消費者に勝てるか?」と言う本を紹介しましたが、その中で、新しい消費者調査の手法として、神経生理学、精神分析、言語学に基づいた調査手法である「ZEMET」と言う調査方法を開発しましたが、これは、脳の中で言うなら、言語や、論理、数学、順序、分析を司る左脳ではなく、リズム、空間認識、イマジネーション、色彩を司る右脳にあるイメージを引き出すために開発された手法であると言われています。

一般的に、脳が情報を取り込むとき、それを刺激に変え、一度左脳に蓄え、脳幹を通し、右脳にイメージとして保存します。

脳の情報構造

逆に情報を取り出し、口から発したり、書き取る場合はまったく逆のことをします。つまり、右脳に蓄えられたイメージを脳幹を通じて左脳に移し、情報を活字などの形に変換した後、実際に声に発したり、書き取ったりします。

つまり、「ZEMET」は普通のアンケートなどを通じて行う調査方法とは違い、右脳からのイメージを「メタファー」などを通して、なるべく右脳から左脳に移す際の誤差をなくしたり、無意識のイメージを引き出したりするのに有効であると言われています。

これによると、コカ・コーラのイメージは「爽やか」や「スポーツ」といったイメージ(左脳のイメージ)のほかに、「穏やかさ」「一人ぼっち」「リラックス」といったイメージ(右脳・無意識のイメージ)をも喚起するそうです。

上の調査法については実用段階には至っていないらしいので、詳しく語ることはできませんが、この脳の機能については私たちの生活に利用することができるのではないでしょうか?

先ほどの脳の機能の話について考えると、私たちが、何かについて思い出そうとするときは、姿や形についてのイメージの方が、言語のイメージより先行します。

例えば、試験前などにノートを読み返して言葉の羅列を見ても、覚えられないことがあります。

これは、目を通して刺激として入った情報を右脳まで運ぶことができていない状況である、と考えることができます。

そしてそれらを何とか覚えたとしても、再びテストのシーンになると、右脳に入れた情報が脳幹を通して左脳に移され、その移された情報をテスト用紙に書き取らなければなりません。

これでは、覚えるのにも、また、それを引き出すのにも大きな労力を使ってしまうのではないでしょうか?

では、こう考えてみるのはどうでしょう?

覚える距離を短くするのです。言い換えれば右脳で覚えるようにするのです。

・情報を覚えて、書き取るまでの通常のプロセス

「情報→刺激→左脳→脳幹→右脳(記憶)→脳幹→左脳→情報(書き取り)」

一般的プロセス 一般的プロセス

・右脳に情報を直接送り込むプロセス

「情報→刺激→右脳(記憶)→脳幹→左脳→情報(書き取り)」

こうすれば記憶までのプロセスが短くなります(=記憶しやすくなる)。

右脳プロセス 右脳プロセス

しかし、そのようにするにはどのようにすればいいのでしょうか?

その答えの一つが、「マインドマップ」もう一つが「きっかけや手がかりを作ることです」

というわけで、次回は右脳に直接記憶を送り込む方法「マインドマップ」についてです。

マインドマップ マインドマップ

今日の一冊

斎藤 精一郎
「現代デフレ」の経済学

自己分析(ジェネレーションY)

自己分析といっても就職活動の話ではありません。

ジェネレーションYと呼ばれている私たち20代の世代のことです。

ジェネレーションYとはどのような世代かというと・・・

①親が戦後生まれ

②好景気や経済の成長を知らない

③デジタル環境の下で育った

世代の人々のことです。



また、世代に欠かせない特徴として「物心ついたときから、企業のマーケティングに触れ、成長するにつれ、ますます広告等のメディアに触れる機会が多くなり、マーケティングが効かないと言われている」このため、Y世代は敬遠され、最近シニア世代に話題を移しているように感じます。


さらに、今、何がほしいかと言う調査に対しても多くのY世代が「特にない」と答えています。



ではこの世代の消費者振り向かせるためにはどのようにすればよいのでしょうか?

その問に答える前にもう一度考えて見なければならないことがあります。

それは、「本当にY世代にマーケティングは通用しないのか?」「本当に欲しいものがないのか?」ということです。



例えば、最初の「Y世代にマーケティングは通用しないのか?」という問に対して私は間違いなく「NO」と自信を持って言いえるでしょう。なぜなら、それ以前にも、マーケティングが聴かないといわれていた時代がありました。それは1960年代です。当時は消費者運動が活発化し、洗剤などの製品に対する不安や不信感が醸成されていった時代です。それに加え、競争が活発化する中で大量の広告が四大メディアに溢れている時代でもありました。

そのような時代状況の中、消費者は需要刺激のための製品差別化には反応しなくなりました。

当時の状況と現在の状況は非常に似ていると言えます。

インターネットや地上波デジタルメディアなどの普及により、広告戦略は多様化しているため、60年代より状況はまだいいのではないか、とも思えます。



また、「本当に欲しいものがないのか?」と言う問に対しても「NO」と言うことができると思います。

Y世代の人々は、「欲しいものがない」のではなくて「欲しいものを企業が作ってくれないので、見つからない」、または、「欲しいものがないので自分でそれを作る」、と言ったほうが適切ではないか、と思います。



例えば、ハードディスクウォークマン作るきっかけとなったのは、一部のパソコン音楽マニアがバックの中にパソコンを入れて、大量の楽曲を持ち歩いていたことに、開発者が気づいたのがきっかけと言われています。



このように、Y世代の消費者は、つまり、マーケティングが効きにくい上で、物質的・精神的に満たされているためマーケティング対象としては非常に捉えにくい世代と見られているのです。



また、新製品のマーケティングにおいても長期的視点で捉えることが難しく、短期的な売り上げしか見込むことができません。



このような視点から、短期的な効果しか見込めない製品の変更やリポジショニングより、新しい市場を構築するラテラル・マーケティングという考え方が重要視されています。



ラテラル・マーケティングの例としてはロッテの「クーリシッシュ」(アイス+ドリンク)や、最近の携帯電話(電話+カメラ+音楽プレーヤー+ラジオ…)などが挙げられます。



またブランドに関しても製品レベルのブランドよりも企業レベルのブランド(コーポレートブランド)が重視されるようになるでしょう。



市場の細分化が極端に進んでしまった現在、ありきたりな製品の変更やリポジショニングでY世代のみならず、消費者の気を引くことは困難になってきています。企業はこれまでの製品開発に対する考え方を改め、あらゆる世代の脳内に潜む「本音」と言うものをより深く理解しなければならないのかもしれません。

今日の一冊


日本経済新聞社
ジェネレーションY―日本を変える新たな世代

「不安」を売り物にする

私は、今とてつもなく不安です。

ちゃんと職にありつくことができるのだろうかとか、ちゃんと職にありつくことができるのだろうかとか、ちゃんと職にありつくことができるのだろうかとか・・・。


まぁ、いろんな不安を抱える中で、時には気を紛らわしたり、時にはしっかりそれを受けてみたり、いろんな形で不安と言うものと向き合っているのですが、よくよく考えてみたら、不安が発生するとき、多くの場合、それが他者との関係の中から発生するのではないか、ということです。


つまり、私が今抱えている不安、この先ちゃんとした仕事につくことができるのだろうかという不安は、他者つまり他の私と関係のある人(家族や友人など)がいるからこそ、それが不安として発生したり、不安を増減させる場合が多いのではないか、と言うことです。


そして、過去も現在、この「不安」を解消するための商品や、ビジネスが非常に多く発生していると言うことです。


例えば、宗教や保険などはまさにその一つです。

死に対する不安、死んだらどうなるのだろう、死んだ後に残された家族はちゃんと生活しているのだろうか、と言ったような漠然とした不安に答えたり、不安を軽減させる形でこれらは発展して行きました。


さらに最近では、低次元の不安から高次元の不安へとシフトして行っている様に感じます。

その一つと私が考えているのが、酸素吸入器や空気清浄機、ファブリーズなどがそうです。


ファブリーズのCMではある主婦が、自分の家に他の主婦を招待する場面が描かれています。

部屋全体にファブリーズを吹きかけるシーンなどは、「ウチの家は臭いと思われているかもしれない」「臭いと思われたらどうしよう」といった不安を喚起させます。


思えば、私も高校時代初めて携帯電話を買ってもらうために、親に「これ(携帯電話)がなきゃ、友達とコミュニケーションが取れなくなる」というような感じでお願いしたことを思い出しました。


「これがあったらこんなにいい事があるよ」と、訴求するだけでなく、

「これがなきゃ、こうなるかもよ」と訴えかけるのも効果的かもしれません。


悩んだり、不安になるというのは、大脳新皮質を持つ人間最大の特徴ですし・・・。


最後に、今、何かに不安になったり悩んでいる人たちへ

今、悩んでいる、ということは何かに一生懸命になったり、頑張っている証拠だと思います。

「基本的に人間という生き物は努力すれば努力するほど悩む生き物だ」と、かのシェークスピア先生も言っていました。

今日の一冊

生月 誠
不安の心理学










今回の選挙戦を振り返って・・・

今更ですが、今回の衆院選を振り返ってみると、どこを取ってみても自民党の戦略勝ちだったように感じます。

そして、この衆院選は企業のコミュニケーション戦略にも通じるものがあると感じました。

自民党は今回の自殺者までだした郵政民営化の騒動をネガティブに捉えるどころか、逆にそれを使って、選挙をエンターテイメントのようにしてしまいました。

例えば刺客を送り、改革派VS造反派という構図を作り、選挙に興味のない人にもわかりやすい対立の構図を示しました。

これにより、野党の影が薄くなってしまいました。

また、選挙に興味を持った人々に対するシンプルなメッセージも印象に残りました。


私の印象に残ったのは、佐藤ゆかり氏の応援演説をしたときの小泉首相の言葉でした。

「郵政民営化に賛成なら自民党に投票してください」

自民党のシンプルなメッセージはスローガンにもはっきりと現れています。

各党のスローガン

自民党: 改革を止めるな。
民主党: 日本を、あきらめない。 
公明党: 改革力 公明党。
共産党: たしかな野党が必要です
社民党: 国民を見ずして、改革なし。

与党が郵政の改革をスローガンで謳っているのに対し、野党の方のスローガンは非常に漠然としているような気がします。

また、各党の党首討論のときにおいても、民主党は年金の話、社民党は憲法改悪(?)の話、共産党は何の話をしたか忘れましたが、どれをとっても、野党は郵政の話はしたくない、というように取られかねないような内容でした。

このように

郵政の騒動や選挙をエンターテイメントにすることで、都市部に住む多くの若者の興味をひきつける(自民党は都市部が弱いと言われているので)

シンプルなメッセージでわかりやすくアピールする。

ことによって、選挙に興味を持った多くの人々の票を多く獲得することができたのではないかと思っております。

とはいえ、かくいう私も政治に関してはあまり詳しくないので今日はここまで。

今日の一冊

フィリップ コトラー, ゲイリー アームストロング, Philip Kotler, Gary Armstrong, 月谷 真紀, 恩蔵 直人
コトラーのマーケティング入門


日本のマーケティングに対する考え方の現状③

この項をしめくくるにあたり、大事なことを一つ。

商品の価値を決定するのは企業ではなく消費者ということです。

いくら企業が素晴らしい技術や特徴を持った商品を開発し、販売したとしても

その技術や特徴を理解、評価し、共感しない限り、その商品を買おうとは決して思わないということです。

そして、多くの企業がそれに気がついていない(かもしれない)ということです。


結果として企業が伝えたい価値と、実際に消費者が感じている価値との間に大きなギャップができてしまいます。

その例を一つ。

以前、お茶の競争が激化しているという話しをしましたが、清涼飲料水メーカーは数々の新商品、リニューアル商品を出しています。例えば・・・。

七色に味が変わるお茶

茶園の人々秘蔵のお茶

お茶の若葉だけをしようしているお茶

寛政の時代のお茶

・・・などなど。

しかし、依然としてお茶のトップシェアを誇っているのは伊藤園が出している「お~いお茶」です。

何で見かけたかは忘れましたが、激化するお茶業界の競争に関して伊藤園の関係者の方がインタビューを受けていました。


記者「競争が激化していますが、御社はこれに関してどのように捉えていますか?」


伊藤園側「我々は、あくまでお茶本来の味で勝負しています。そして、我々が誇っているのは『香り』です・・・云々。」

これを聞いた私は

「ふーん味のことは良くわからないけど、香りに相当自信あるんだぁ~。今度勝ったとき臭いをかいでみよう」と思いました。

そして、おととい「お~いお茶」を買ったとき実際にかいで見ました。

ええ、とてもいい香りがしましたよ。

500ミリペットボトルのちっちゃな飲み口に思いっきり鼻をくっ付けて臭いをかいでようやくわかりました。いい香りがするということが・・・。

人間関係においてもそうですが,自分の思いを相手に伝えたいなら何かしらの形でそれを伝えなければ相手は理解してくれません。

ビジネスにおいても同じです。

香りのよさを伝えたいなら、それをメッセージなり容器の形状(飲み口を大きくするなど・・・)なりから伝えなければなりません。

自社の強みに消費者は気づいている、なんて都合のいいことはありえないのです。

今日の一冊

ルディー和子
マーケティングは消費者に勝てるか


日本のマーケティングに対する考え方の現状②

では、どうすればいいのかを考える前にデジカメ市場において成功していると言える企業と、あまり成功していると言えない企業に分けて見てみましょう。


※「ここでの成功している、していないは市場シェアという一面しか見ていません。


成功していると言える企業               成功していると言えない企業

ソニー、パナソニック、キャノン         FUJIフィルム、京セラ(CONTAX)


ここで面白い点が一点。キャノンを除いたとすると、成功したほうはどちらかといえば、今までカメラにゆかりのない企業なのです。逆にあまり成功していない方はそれまで一眼レフカメラやコンパクトカメラ市場で長い歴史と実力を持つ企業です。


では次にデジカメという製品がライフサイクルにおいてどのあたりにいるかを考えて見ます。デジカメという製品は今までものすごいスピードで進化して行きました.製品間の機能や性能での差は殆どなくなりつつあり、そのほかの特殊な機能やデザイン等でアピールしなければ、ならない成熟期にまで達しているといえるでしょう。

銀塩カメラがゆったりとしたスピードで成長していったのに対し、デジカメはものすごいスピードで進化してゆきました。


また、成功した企業の方はデジカメのほかにもパソコンやポータブルプレーヤー、個人用プリンターなどといった比較的製品の進歩が早く、ライフサイクルも短い製品を多く取り扱っています。


ここまで言えばもうお分かりかもしれませんが、デジカメという非常に製品の進歩のスピードが早い市場で成功するために重要なことは、それまでの経験、歴史伝統と言ったものよりも、「いかにしてそのスピードに乗るか」ということです。


では改めて、FUJIフィルムはどうすればよいのでしょうか?


ここからは(今までもですが…)予想ですが、おそらくFUJIフィルムがデジカメに参入する際、多くの人員をカメラ部門から引っ張ってきたのでしょう。そして、製品の進歩についてゆくことができなかった。


FUJIフィルムにはデジカメ市場のみに関して言えば、新しい人材が必要なのかもしれません。デジカメ業界にこだわらず、広く、スピード感のある市場で働いている人が求められるべきでしょう。


※現在、FUJIフィルムはF900というデジカメの売れ行きが好調なようです。そして、F900の訴求ポイントも「早い被写体もブレずに撮れる」と言うものでした。FUJIフィルムのデジカメ戦略の方も、もしかしたらこれから軌道に乗り始めるかもしれません(PANASONICのLUMIX(「アユはブレない」))に非常に似ているのが少し気になりますが・・・

日本のマーケティングの現状①


私がまだ就職活動を続けていた頃の話です・・・

FUJIフィルムの面接にて


人事部長:「最後に何か質問はありますか?」


私:「えっ!(緊張しつつ)あの~御社のデジカメについて一点気になることがあるんですが、御社のデジタルカメラ製品は全て銀色一色で統一されていますが、競合他社が数多くのカラーバリエーションの製品を発売する中、あえて銀色一色に統一することの意図はなんでしょうか?」


人事部長:「(少し考えながら)う~ん。私から詳しいことは述べられませんが、技術側のこだわりだと私は思っています。」


私:「はぁ・・・こだわりとは?(少しその答えに納得していないような感じで)」


人事部長:「つまり、我々はカラーやデザインなどといったものではなく、あくまでデジタルカメラの製品そのもの、つまり写真の鮮明さなどに誇りを持っており云々・・・」


これを聞いて私が思ったことは・・・

「おいおい、国内だけじゃなく、海外でも力を誇るフィルムメーカーの人事が自社のマーケティング戦略について深く理解していないのかぁ・・・。嘘でもいいから『ウチの方針としましては、ターゲットとして中高年の男性女性や、画像にこだわりを持っている人たちを対象としています。そのためカラーバリエーションを増やしてしまいますと、かえってコストが増加してしまい利益が得られなくなってしまう可能性があるので銀一色で展開しております』とでも言ってくれ。よりによってこのご時世に技術のこだわりなんて言葉を出してくるとは・・・」


もちろん、品質や製品の保証という面から考えたとき、技術の方々が、こだわりを持って製品開発を行うことは決して悪いことではありません。しかし、それを製品開発の中心におくことは間違っています。


それはなぜかというと・・・例を挙げて説明しましょう。

同じ画素数のデジカメAとBが二つあったとします。あなたはこの二つのデジカメで写真を撮ったとして、どちらの方の画像がきれいかを判別することはできますか?


おそらく、デジカメが市場に登場したときであったら、それは容易だったでしょう。

しかし、各社が参入し、しのぎを削っている現在は、製品間そのものの機能による差が無くなり、(=コモデティ化)別の面で新しい価値を提供しなければならなくなっています。


しかし、もし、FUJIフィルムがいまだにこの技術主導の考え方に縛られているのなら(もしかしたら人事の方が、自社の製品開発に関する考え方を知らないだけかもしれませんが・・・)、CANONやSONY、PANASONNICを中心としたデジカメ業界において市場シェアの大きい企業に勝つことは不可能でしょう。


ではFUJIフィルムはどのようにすればいいのでしょうか?

次回はそれについて・・・

※FUJIフィルムは他にも沢山の事業(医療分野・フラットパネルディスプレイ・・・)を行っており、そちらを事業の中心に据えようとしているのかもしれませんが・・・。


参考資料:デジカメ業界の市場シェア(2004年9月←データが少し古いのですが)



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