『キネマの天地』


松竹大船撮影所50周年を記念して、
オールスターキャスト&スタッフが集結して作られた感動大作!

先に公開された、深作欣二監督の傑作『蒲田行進曲』との因縁があった様で、、
松竹出身監督の野村芳太郎氏が憤慨して、真の蒲田撮影所の映画を撮るぞ!と、意気込み、取り組まれた作品との記述も至る所で見掛けますが、、

『蒲田~』の、あのインパクトと激しく心揺さぶる人情愛憎エンターテインメント劇(!)を越えるのは、至難の技では?……

しかし、フタを開けてみると、、

二作品共に、映画撮影所を舞台にはして居ますが、全くテーマの異なる作品で、、
優劣をつけるモノではありませんでした。。

あまり、肩肘張らずに、、
完全に別物として観ましょう(笑)


(本作公開の為『男はつらいよ』は12月の一作品のみの公開となりました。)

◇ 1986年8月公開作品(松竹)
製作 : 野村 芳太郎
監督・脚本 : 山田 洋次
脚本 : 井上 ひさし、山田 太一、浅間 義隆
音楽 : 山本 直純
出演 : 渥美 清、中井 貴一、有森 也実、倍賞 千恵子、松坂 慶子、平田 満、すまけい、岸辺 一徳、堺 正章、松本 幸四郎、藤山 寛美、田中 健、広岡 瞬、美保 純、桃井 かおり、吉岡 秀隆、笹野 高史、笠 智衆 、…‥その他大勢m(__)m


〈簡単なあらすじ〉

昭和初期、
東京の下町長屋に住む田中 喜八(渥美 清)は、元旅役者で病弱の為、定職に就けないでいるが、妻は震災で他界してしまい、その娘・小春(有森 也実)が、浅草の活動小屋「帝国館」の売り子をして何とか父娘二人の生計を立てている。


ある日、映画監督の小倉(すまけい)が、小春の評判を聞き付け、彼女を女優にしたいと「帝国館」へスカウトにやって来た。

女優になる夢をほのかに持っていた小春は後日、見学のつもりで訪れた松竹キネマ蒲田撮影所で、小倉から急に看護師役をさせられるハメになり、無理矢理な演技を要求されるが、巧く演技が出来ない事にうんざりして帰宅した。。


女優を諦めるつもりで居た小春の家に、助監督の島田(中井 貴一)が訪れ、詫びと共に再度、女優を目指して欲しいと懇願された。。

そして次の日から、、
小春はそのまま松竹の大部屋女優として働く事になった。


小春は、着々と実積を積み、台詞ありの役柄を貰う迄になり、順風満帆の役者人生を歩んで行った。

そして、大女優・川島 澄江(松坂 慶子)が恋人と駆け落ちし失踪した為、主演作の突然の降板となり、遂に、小春に主役の座が巡ってきたのであった!


………………………(★ネタバレしますm(__)m)

1930年代、映画はサイレントからトーキーへと移行して行く時代の松竹キネマ蒲田撮影所で、映画に情熱を賭けた人間達のドラマ。

主人公の小春は、
映画館の売り子から、スカウトされ女優に転身するが、、最初は、台詞の無い持ち回りの端役ばかり、、所謂、大部屋俳優で、、
次から次へと慌ただしく、衣裳替えしては、通行人等で出演する過密さ等、、何かそれを観るだけでも映画黄金時代だった事が伺えて、その活気にわくわくしてしまいました❗

最初は、助監督の島田との相思相愛ぶりから、一転、、

二枚目俳優・井川時彦(田中 健)に迫られ、
スキャンダルにまで発展したり、、
女として、女優として成長する小春。。

一方の島田は自分の撮りたい映画が、採用されない焦りから情熱を失いかけていた。。

そんな時、大学時代の先輩で共産主義思想家の小田切(平田 満)を匿ったとして留置所に入れられてしまったり、、踏んだり蹴ったりになるが、同房の囚人や小田切からの助言もあり再度映画への情熱を甦らせた!

小田切の台詞、、
「どうしてもっと優しく映画を観てやらないんだ、、どんなくだらない作品でも可能性を持っているんだ!信じろよ映画を!」

島田が出所して、蒲田に戻り最初に取り組んだ、脚本『浮草』が、松竹を挙げての大作としてクランクインするが、、主演女優がまさかの降板………小倉監督は、小春を大抜擢するが、、

初の大役を掴んだ小春だが、演技の壁にぶつかり苦悩する、、そこで父・喜八は、演技の糧となる様にと、旅芸人一座の看板女優だった小春の母と一座の二枚目俳優とのラブロマンスを語り出す……それは、同時に喜八が小春の本当の父では無いという事を示唆していた。。

母は、二枚目俳優と別れるが、既に子供を身籠っていた。小春である。。

喜八はそれを承知で傷心の彼女と結婚したのだ。

「俺が全て面倒を見る」男気が痛いほど伝わります。。

いつかは真実を告白しなければならないと思っていた喜八、、そして自分は、もう長くはないと分かっていた。。



いよいよ、映画が完成して公開初日、、
喜八が淡い恋心を抱いている、お隣のゆきさん(倍賞 千恵子)に連れられて「帝国館」を訪れる。そして、小春の主演作『浮草』が、上映された。。

娘の晴れ姿がスクリーンに上映される中、、

喜八は、力なくその席で息をひきとった。。


何よりも【渥美 清】さんの演技の素晴らしさを、再発見出来て、大変感動しました。

元役者としての、娘・小春への演技指導は圧巻で、観ながら、なるほどねぇ!と頷くばかりだった。

正直言って、それだけでも観る価値のある作品だと思います!

また、役者を志す方は必見です!、きっと(笑)

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本作は、とにかく、台詞の一つ一つや姿勢に、
先人であるプロフェッショナルな映画人と役者へのリスペクト愛が、強く感じられます!

こう言う、映画の歴史を綴った作品がある限り、素晴らしき映画が、後人へ受け継がれていくのだなと思いました。

只々、感謝・感激 m(__)m

★★★☆

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⬆田中絹代さんがモデルの小春役の【有森 也実】さん、、劇中と同様に主役降板から掴んだスターへの切符でしたね!
『浮草』のクライマックスでのあの演技シーンは、亡き母の魂が乗り移った様な素晴らしい演技でした👍


⬆映画に情熱を燃やす男、島田役の【中井 貴一】さん、最近ではお父様の映画ばかり見ていますが(笑)まだまだ若さが溢れる青年時代で本作でも笑顔が眩しいです☝


⬆田中家のご近所さん、ゆき役の【倍賞 千恵子】さん、、やはり、この方が渥美さんの傍に居るのが一番安心です👍




⬆⬆⬆小倉監督役の【すまけい】さんを筆頭に、小津 安二郎監督をモデルにした、緒形監督役の【岸辺 一徳】さんや、斎藤 寅次郎監督をモデルにした内藤監督役の【堺 正章】さん等、、脇役陣も名優揃いでした❗
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いつもの余談☝
「え~おせんにキャラメル、あんパンにラムネ~!」あまりに懐かしい売り子の声、、なんですが、、よくよく考えてみると直接聞いた事無い(笑)



『蒲田行進曲』の主役、【平田 満】さんと【松坂 慶子】さんが、何故か?特高警察に追われたり、愛の逃避行をしたり、散々でしたね、、(苦笑)

その、松坂慶子さんが演じられた役が、実際に劇中と同様に、かの一大スキャンダルを巻き起こした大女優【岡田 嘉子】さんをモデルにしています。


⬆1976年『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』(第十七作)で女優復帰された岡田さん、あの「後悔」の一節は『男はつらいよ』史上に残る名台詞の一つだと思います。


★宜しければm(__)m⬇