『チャイナタウン』

探偵ハードボイルドの傑作❗

1974年当時ブームも落ち着いてきた「アメリカン・ニューシネマ」の代表作的に取り上げられる事も多いですが、、作品全体の印象は、やはりフランスの監督【ロマン・ポランスキー】によるものなので「フィルムノワール」的な、より陰鬱な作品です。。

私は、今回で三度目の鑑賞になります。

前回の鑑賞も15年位前だったかと思いますが、、
中々、理解し難い部分が??のままだったので、DVDを購入しました。。

断片的な記憶を頼りに、、この難解な作品を鑑賞しました❗(´Д`)

既に多くの方々達に、語られてきた作品ではあるかと思いますが、、
私なりの率直な感想を書いていきたいと思いますm(__)m

[CHINA TOWN]
◇ 1974年作品
監督 : ロマン・ポランスキー
脚本 : ロバート・タウン
音楽 : ジェリー・ゴールドスミス
主演 : ジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウェイ、ジョン・ヒューストン、バート・ヤング
★アカデミー脚本賞受賞


〈ほんのサワリだけのあらすじm(__)m〉

1930年代、警官上がりのジェイク・ギテス(ジャック・ニコルソン)はロスに事務所を構える私立探偵だが、ある日、モーレイ夫人と名乗る女性から夫の浮気調査を依頼される。
夫のモーレイは新ダム建設を反対する専門の建設技師で、仕事一途の男だったが、若い娘の様な恋人との密会を突き止め、この一件は終了したかと思われたが……
後日、ギテスが浮気の証拠としてカメラにおさめた写真と共に、モーレイの浮気ゴシップネタとして新聞に暴露されていた。。

写真が漏洩され憤慨するギテスだったが、事務所には依頼者とは別人でモーレイ夫人本人のイブリン(フェイ・ダナウェイ)が訪れ、名誉毀損で訴えられる事に、、
しかしその数日後、夫モーレイが溺死体となって発見された。

新ダム建設に関わる何者かの陰謀では無いかと察知したギテスは自ら捜査を始めると、、
自殺したモーレイの妻・イブリンの父は、この地区の実力者ノア・クロス(ジョン・ヒューストン)であり、新ダム建設に際して反対派のモーレイとは対立していた事が分かる。。

次々と疑念が生まれ、イブリンに接近して行くギテスは、彼女の魅力にも翻弄され、、
事件から抜け出す事が出来なくなって行く。。。

……………

(※ ネタバレだらけです。m(__)m)


本作は、、後味悪いラストシーン等の特集があると必ずと言っていい程にランクインする作品で……史上最悪のバッドエンド映画のひとつとしても有名です……

DVD特典映像を見ると、
このラストシーンに関してはハッピーエンド〈?〉を望む脚本の【ロバート・タウン】氏とバッドエンドで引かない【ポランスキー】監督とで意見が大きく分かれ、、結局、決まらないままにクランクインしたらしく、、、〈ここまでは、有名な逸話で聞いたことありました……〉
最終的には、このラストに収まりましたが、
もしも、、イブリンではなく、諸悪の根源…ノア・クロスが射殺されていたらと考えると………
ここまで、名作と呼ばれる映画にはならなかったかも知れませんね。。
やはり、万人受けする作品よりも、、
この作品の様に、賛否両論、物議を醸し続ける映画は、、興味と共に心に響きます。。

【ポランスキー】監督自身も、、プライベートで幼少期の悲惨な経験や陰惨な事件で妻子を亡くしてしまう等の不遇な時代を過ごし、その後、未成年への強姦で有罪となり逮捕されたり、お騒がせどころでは済まないスキャンダルを度々起こして来た。。

本作はそう言った彼の捻れてしまった、人生の一端と共に、、映画監督としての媚びない意地や生きざまを見た様な気持ちになりました。。
(※ カメオ出演した、あのシーンで、それを象徴していますね…)

どうしても、【ポランスキー】監督と言うと、前述した1969年当時の妻「シャロン・テート殺人事件」が強烈で、負の印象がある為に、そう思えて仕方ありません。。m(__)m

また、知らなかったエピソードですが、、
この脚本を書く際【ロバート・タウン】氏は、最初から【ジャック・ニコルソン】だったらこう話すとイメージして書かれたという事。。
なるほど、、床屋帰りに、探偵事務所の同僚と夢中で話す、、ゲスで皮肉に満ちた語りは、彼の風貌やそれまでの配役に対するイメージから絞り出された、憎しみと悪意を表現した台詞なのだろうと納得出来る。。
※既に『イージーライダー』『愛の狩人』『さらば冬のカモメ』等々、あまりにも個性派過ぎる俳優でしたからね。。

【フェイ・ダナウェイ】は、「アメリカンニューシネマ」ブームを代表する女優で、『俺たちに明日はない』『華麗なる賭け』等々、
いわゆる「ファムファタール」といわれる、男を魅了する美魔女っぷりは秀逸ですね。
父親・ノア・クロスの話しに及ぶと、途端に震える程に怯えてしまう所等のトラウマの表現は見事でした。。
※ 個人的には、本作後の『コンドル』での彼女が好みですm(__)m


…………………

最終的には、ギテスが以前、警官時代に配属されていた悪夢の地『チャイナタウン』で、再度ギテスが起こした行動が裏目となり、、イブリンが射殺されてしまう。。

ノア・クロスはこの後も、悪事を繰り返しながら、のうのうとイブリンの娘・キャサリンと暮らして行くのかと思うと、何処までも気味悪い、、
そして、エンディングでギテスのやりきれない横顔は、忘れ難いものでした。。

この作品、
二つで一つの役割を果すモノ(?)の片方が欠如するというシーンが随所にあり、、「伝言ゲーム」の様に、継がれて行きます。。

その、お題を出したのが、チンピラ役の【ポランスキー】で、
彼がナイフで斬った、ギテスの左の鼻の穴から始まり、、
➡片側だけ壊したイブリンの車のテールランプ、、
➡庭の池に落ちていた片方だけ割れた老眼鏡、、
➡冒頭の浮気調査の依頼者・カーリー(バート・ヤング)の妻の片目の痣、、
➡最後に撃ち抜かれたイブリンの片目。。。

今回も内容を全て把握し理解する事は難しかったが、、演出の妙の素晴らしさを、幾つも発見出来た。

無力、空虚の象徴『チャイナタウン』………
やはりこのラストで無ければ成り立たないタイトルだったんですね…

考えれば考える程、深くて、正直疲れた。。
(-。-;)

…………………

音楽的余談🎵
本作で音楽監督を担当した【ジェリー・ゴールドスミス】氏は、実は突然の代役だったとのエピソードがあるらしく、、短期間でこの優美なサウンドを作り上げたそうです!
前年の『パピヨン』に劣らずの、哀愁漂う印象的なテーマでした👍