marin's design lab.

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競作小説企画 第七回「夏祭り」参加作品


「君と僕の一部始終」



 ―ねぇ、僕は、死にたいんだ


じりじり じりじり
ミーンミーン ミーンミーン

暑いね
夏だからね

ぽつぽつ ぽつぽつ
ざーーー ざーーー

さっきまで晴れてたのに
夏だからね

雨宿りでもしよう
そうだね

どうせすぐ止むよ
そうだね

今夜は夏祭りだね
そうだね

夕立が降ると夏祭りに悪魔が出るらしいね
そんなの迷信だろ

ちょっとだけ見に行こうか
ちょっとだけね

ざわざわ ざわざわ
ざわざわ ざわざわ

ねぇ、金魚すくいやってるよ
どうせ殺しちゃうでしょ

ねぇ、お面買おうよ
誰だかわからなくなるね

ねぇ、お化け屋敷行こうよ
偽者ばかりでつまらないじゃん

ねぇ、舞台を見に行こうよ
何かやってるね

ざわざわ ざわざわ
ピ~ヒャラ ピ~ヒャラ

踊り上手だね
そうだね

ピ~ヒャラ ピ~ヒャラ
ピ~ヒャラ ピ~ヒャラ

ねぇ、僕は、死にたいんだ
そうだね

ピ~ヒャラ ピ~ヒャラ
ざわざわ ざわざわ

紫陽花を手折ったのだぁれだ
紫陽花を手折ったのだぁれだ

ざわざわ ざわざわ

和美がさ、入院してたじゃん
あぁ、そういえば

死んだよ。昨日の夜
そっか

ざわざわ ざわざわ

隆志がさ、川で遊んでるよ
立入禁止なのにね

ざわざわ ざわざわ

京子がいるよ
誰か待ってるね

声をかけなよ
京子には興味ないよ

声をかけなよ
意味ないだろ

ざわざわ ざわざわ

君は、悪魔に魂を売ったんだろ
そうだよ

次は誰が死ぬの
僕にはわからないさ

ざわざわ ざわざわ

隆志が溺れてるよ
助けにいきなよ

隆志は嫌いなんだ
そっか

ざわざわ ざわざわ
ざわざわ ざわざわ

うるさくなってきたね
そろそろ帰ろうか

ねぇ、隆志を助けに行きなよ
隆志は嫌いなんだ

ねぇ、隆志を助けに行きなよ
隆志は嫌いなんだってば

ねぇ、隆志を助けに行きなよ
うるさいな

ねぇ、隆志を助けにいきなよ
死にたいんだろ

ねぇ、京子が騒いでるよ
だから何だよ

ざわざわ ざわざわ

死んだよ。ついさっき
そっか

君が助けなかったからだろ
僕にはわからないさ

ざわざわ ざわざわ

ねぇ、そろそろ帰ろう
そうだね

ざわざわ ざわざわ

ドーン パラパラパラパラ
ドーン パラパラパラパラ

ねぇ、花火が見えるとこまで行こうよ
そうだね

ドーン パラパラパラパラ
ドーン パラパラパラパラ

花火きれいだね
そうだね

ドーン パラパラパラパラ
ドーン パラパラパラパラ
ドーン パラパラパラパラ
ドーン パラパラパラパラ

ドーン
ドーン
ドーン
ドーン

ざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわ
ざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわ
ざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわ
ざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわ

何人死んだ?
僕にはわからないさ

ねぇ、これも君のしわざ?
僕にはわからないさ

和美が死んだのも?
僕にはわからないさ

隆志はどうなったの?
僕にはわからないさ

京子はどうなったの?
僕にはわからないさ

僕はいつ死ねるの?
僕にはわからないさ

君には何がわかるの?
僕にはわからないさ

君は、悪魔に魂を売ったんだよね
そうだよ


 ―じゃあ、僕の言うことは聞けるよね


健二が包丁を隠し持ってるよ
そうだね

刺すのは誰?
そこを歩いている、妊婦がいい

次は誰?
そこを歩いている、誰でもいい

次は誰?
そのへんの、子供でいい

次は誰?
そのへんの、猫でいい

次は誰?
誰でもいいや

次は誰?
もう飽きたよ

僕はいつになったら死ねるの
僕にはわからないさ

次は何をする?
そろそろ帰ろうよ

 ―魔がさしたんだ

楽しい夏祭りだったね
りんご飴くらい、買えばよかったね

 ―夕立と共に降り注ぐ悪意

甘いもの好きだっけ
嫌いだね

 ―僕のせいじゃない

悪魔がいるなら、善魔もいるのかな
僕にはわからないさ

 ―悪魔に魂を売ったのはだぁれだ

花火、ここからでも見えるね
きれいだね

 ―窓から差し込む月明かり

今日は楽しい1日だったね
そうだね

 ―全ては君と僕しか知らない

またあそぼう
僕は、君が来るのを待ってるから



さわさわ さわさわ

からんころん からんころん

さわさわ さわさわ

からんころん からんころん

そこのけ そこのけ 悪魔が通る
そこのけ そこのけ 悪魔が通る

からんころん からんころん

紫陽花を手折ったのだぁれだ
紫陽花を手折ったのだぁれだ



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使用お題

文 「蝉」「夕立」「金魚」「化」「紫陽花」「からんころん」
イラスト 「浴衣」「生足」「紫陽花」

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あとがき

某氏に誘われて、ふらっと立ち寄ったところ
勢いで参加することになりました。

散文形式による、超ド短編小説もどきに初挑戦。
会話と擬音のみで構成してみました。

当初は恋愛ものの予定だったんですが、
途中から方向性が変わってしまって、
後半猟奇的な展開となっています。

しかも急遽イラストとセットになりました。
一緒にお楽しみいただければと思います。