らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】 -188ページ目

第169話 逢いたい気持ち

ユウはあっさり電話に出た。


きっとあの後のことが気になっていたに違いない。


「ユウ! 大丈夫? さっきはごめんね! 

あの場を収束させるためにあんなこと言ったのよ!

私、ユウのこと本当に本気だし

ヒカルとはちゃんと終わりにするから!


こっちは全然大丈夫だから心配しないで!

あぁ! ユウ、かわいそうに! あんなことになってしまって驚いたよね?」


私は一気に自分の気持ちをまくし立てる。


「・・・まりもさん、僕、すごく怖かった・・・。

これからどうすればいいのか考えてたんだけど・・・

ヒカルさんがまりもさんを手放すとは思えないよ。

ヒカルさんの知り合いのヤクザに脅かされたりするかもしれないよね?僕・・・。

東京湾に沈められるとか・・・ニュースで見たことあるでしょ?」


ユウは弱々しく微かに声を震わせている。


私が想像していた以上に

恐怖感を感じているようだ。


このままでは

その恐怖感に負けて

私のことはもう諦めるとさえ言い出しそうだ。


私とユウの間には

まだ信頼関係のようなものは築けていないし

たった一晩の甘美で頼りない幻の様な関係なのだ。


「大丈夫だよ! ユウのことは絶対に私が守るってば!

今から逢いたいんだけど、そっちに行ってもぃぃでしょ?」


私は少し焦りを感じて

強い口調で自分の欲求を押し通そうとする。


「僕の家に? でも・・・ヒカルさんにつけられたりしてない?

もしかしたら僕のアパートを見張ってるかもしれないよね?」


「だって、ヒカルはユウの家の場所を知っているの?」


「ううん、知らないけど、でもヒカルさんの力なら探し出せるんじゃないかな?

あの人に出来ないことなんてないでしょう?」


ユウは完全にヒカルの支配下に置かれている。


人は一度恐怖を感じると

その対象を必要以上に誇大に歪曲して解釈してしまう。


人が妄想状態に陥るその原因は

多くの場合が恐怖感からなのだ。


「ユウ、しっかり聞いて! 

ユウのことは絶対に私が守ってあげるから安心して欲しいの!

私のことだけを信じればいいのよ!


今タクシーの中なのね。

さっきから後ろ見てるけど車ついてきてないし、大丈夫だよ!

今日ヒカルに別れ話するつもりでいるんだ。

その前に少しだけでいいから逢って欲しいの。」


「でも・・・ヒカルさんと約束したし・・・。 僕は2週間くらい待てるよ。」


私はユウの頼りない態度に苛立つ。


そして

その苛立ちはヒカルに投射され

ヒカルが憎くてたまらなくなる。


激しい憎悪の感情が私の中でくすぶりはじめている。


「私は待てないよ! 今すぐユウに逢いたいの! 

いいから私の言うとおりにして!」


ユウは純粋だけどそんなに強い子ではない。


今のユウはとくに弱っていて

得意の論理的思考を組み立てることは出来ない。


結局は私のことを拒むことが出来ないはずだ。

私にはその自信があった。


「でも・・・」


私はユウに考える時間を与えず

言葉を乱暴に遮って家の場所を尋ねる。


ユウは私に押し切られた形で

家の場所の説明をはじめる。


「代田ね? うん、一方通行の手前で降りて・・・、うん。そこから電話するわ!」


家の場所を突き止めたところで

私は一度電話を切る。


タクシーの運転手がバックミラーごしに

好奇の目で私を盗み見ている。


私は運転手をジロっと睨み

行き場所の詳しい説明をしてから煙草に火をつけた。


あとは逢ってからだ。



ヒカルの圧力にだけは屈したくない。


自分の欲求や行動を制約されることに

私は極端な拒否反応を示す。


単なる欲求は

他者から圧力をかけられた途端に

こらえきれない欲求へと変貌する。


物理的に遮断されることが

何よりも我慢ならないのだ。


そういう時私は決して手段を選ばない。


例えそれが自分の不利益に繋がるとしても

圧力に挑むことに全身全霊をかける。


そうせずにはいられない激情が

私の全てを支配してしまうのだ。



アパートの階段の下まで

迎えに出ていたユウの不安げな顔を見つけると

私は足早に駆け寄って力の限り強く強く抱きしめた。


「逢いたかった。本当に逢いたかったの。」




らぶどろっぷではいろいろな症状?などを暗喩しています。

それらは今後のストーリーの布石となり、徐々に繋がっていきますのでお待ちくださぃね☆

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