第153話 届いた荷物 | らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】

第153話 届いた荷物

ヒカルとの恋愛は疲れる事も多いけれど

基本的にヒカルはとても優しい人だし

刺激的な事、楽しい事がたくさんあった。


そして

ヒカルはすごく格好良いから

大抵の事には目をつぶれてしまうのだ。


私の疲れの原因は

ヒカルだけにあるわけではなく

仕事や自分の性格によるものも大きいのだと

最近では感じるようになっていた。



午前中の早い時間

私とヒカルはまだ眠っていた。


家のチャイムが鳴ったので

起きて玄関をあけると

宅急便のおじさんが立っていた。


「判子かサインお願いします。」


私は荷物を受け取る。


綺麗な花柄模様の紙袋で

中には大きな箱が入っていた。


差出人は

ヒカルのお母さんだった。



まだ夏の暑い盛り

私とヒカルは

隅田川の花火大会を見に行った。


ヒカルの実家は

隅田川のすぐ近くの商店街で

精肉店を営んでいる。


ヒカルが両親に

私の事を紹介したいと言いだして

花火を見た帰りにヒカルの実家に遊びに行くことになった。


ヒカルの実家は

道路に面した表はお店になっていて

母屋は店の裏側にあった。


ヒカルのお母さんは

ものすごくふくよかで

恵比寿様みたいな人だった。


お父さんは小柄で肌は浅黒く

いかにも町の小さな商店の主人というかんじで

扇風機の目の前でテレビを見ながら

瓶ビールを飲んでいた。


これがヒカルのご両親かぁと

少し意外に感じた。


お母さんは柔和な笑顔とおだやかな口調で

ヒカルにいろいろと話しかけていて

ヒカルは充分な愛情を受けて育ったのだと感じた。


お父さんは寡黙な人で

あまり話さなかったけれど

よく見ると顔のパーツのあちこちがヒカルによく似ていた。


お母さんは

離れて暮らすヒカルの事をすごく心配していて

もう少し実家にも顔を出す様にと

何度も繰り返して言っていた。


私にも

「一緒にいつでも遊びに来てくださいね。」

と言ってくれた。



「いいご両親だねぇ。 ヒカルの事すごく心配してるみたぃだったよ。」

帰りの車の中で私はヒカルに言った。


ヒカルは照れくさそうに

「おまえの事、気にいってたなぁ。 おまえと結婚したら、お袋喜びそうだな。」

と笑顔で答えた。


私はヒカルとは結婚はしたくないかも・・・

なんて心の中で思いながら

自分のお母さんの事を思い出していた。


お母さんと私は

電話でたまに話しをするだけだ。


かけてくるのは

いつもお母さんの方で

私は「元気だから」と伝えてそそくさと電話を切ってしまう。


お母さんは必ず

「たまには帰ってきなさい。」と言ってくれるのだけど

私は「わかったよ。」と返事をするだけで帰ろうとはしなかった。


AV女優になったという負い目から

家族に合わせる顔はないと思っていた。



「ヒカル、お母さんから荷物届いたよ。」


私が寝ているヒカルに声をかけると

開けてみてと返事が返ってきた。


箱を開けて私は

「あっ」と声が漏れた。


「ヒカル!・・・浴衣が入ってるんだけど。・・・女物だ。」


中身は

山吹色の地にユリの花の模様が入った浴衣と

緑色の帯だった。




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