第151話 ストレスのピーク | らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】

第151話 ストレスのピーク

「それでは皆さんご一緒に~」


私達女の子6人は水着姿で横一線に並んでいる。


「ギルガメッシュ♪」


カメラが左から右にすばやく振られていく間に

私達は右手の人差し指で円を描き

CM前の決め台詞を揃って言った。



土曜日の深夜1時過ぎから始まる

『ギルガメッシュナイト』という番組がある。


お色気番組の代表格で

視聴率は深夜枠では飛び抜けている。


司会をしている飯島愛さんは

もうずいぶん前にAV界からは引退していて

歌手をしたりバラエティでも活躍している人気者だが

この番組だけでは唯一

CM前のワンカットで後姿のままスカートを捲り上げ

トレードマークだったTバック姿を惜しみなく晒している。


私がその番組のオーディションに受かったのは

夏も終わりに差し掛かり

ノースリーブで外を歩くには少し肌寒く感じるようになってきた頃だった。


全国放送のTV番組は

想像以上に影響力が強かった。


知名度はみるみる上がり

仕事は飛躍的に増えていく。


ヒカルは私が有名になっていく事がうれしいようだ。


いつも一緒にオンエアを見ながら

「なんか不思議ー!」と喜んでくれる。


前にも増して

私を連れて歩くことが増え

遊びに行く場所の幅も広がった。


仕事もプライベートも過密スケジュールで
私のストレスはピークに達しようとしていた。


一言で言えば

ヒカルの体力についていけないのだ。


ヒカルはほとんど寝ない人だ。

平均睡眠時間は4時間を切っていると思う。


店から帰ってくると早朝からそのまま遊びに行きたがるし

夜は夜で出勤まで毎晩ディスコやバーで顔繋ぎをする。


どんな時でも

精力的でエネルギーに満ち溢れ

まるで疲れ知らずなのだ。


めずらしく家にいる時でも

ヒカルの友達やら後輩が頻繁に訪れてくる。


私は家の中でも

いつもフルメイクで綺麗にしていないといけなかった。


遊びに行く時も

こういう仕事をしていると他人の視線を意識して

決して「手抜きな自分」では出かけられないものだ。


街中で写真を撮られたり

サインを頼まれることも

めずらしいことではなくなっていた。


そして何よりも

ヒカルのために私は着飾り

いつでも完璧な自分を演出して

男達の視線を引き付けた。


不特定多数の男を魅了する事に命をかけ

他の女達を出し抜くために装いに精を出す。


そんな事になんの意味があるのか

自分でも時々疑問に思いながら

それを止める事は出来なかった。


そういう自分の性質こそがストレスの根源である。


きりがない自己顕示欲を満たすために

自分で自分自身を追い込んでいるとは思えずに

ストレスの原因はヒカルにあるのだと思っていた。



たくさんのコメント、メール本当にありがとうございました! いろいろ考えることが出来ました^^

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