第147話 仲直り | らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】

第147話 仲直り

結局その日は

喧嘩したまま不貞寝してしまった。


鍵を開ける音で目が覚める。


時計を見ると朝の7時だった。


ぐっすり眠ったからか

だいぶ気持ちも落ち着いていて

私はヒカルに謝ろうと思い

ベットから起き上がった。


「おかえりなさぃ。 おつかれさま・・・」


ヒカルのスーツの上着を受け取り

ハンガーにかけるとエタニティの匂いがした。


「あのさ、 ごめんな。」


先に謝ってきたのはヒカルだった。


「ううん、私の方こそ、 疲れてて・・・」


私が謝ろうとすると

ヒカルは私の言葉を遮ってこう続けた。


「いや、おまえは悪くないよ。 俺が勝手に苛立ってただけだ。

本当悪かったな。」


「ううん、私こそ酷い事言ったわ・・・。」


「いや、おまえは悪くないって。

人って常に明るく元気で他人に優しく接する事なんて出来ないよな。

気分が沈んでて、体もきつくて、話したくないし話しかけられるのも嫌だって事

誰にでもあるもんだよな・・・。」


「うん・・・。」


「俺さ、おまえと喧嘩して出勤して・・・

すげー憂鬱でさぁ。

でも客の前ではいつも通り笑顔で強がって接客して・・・。

誰にも俺の気持ちなんて悟られないようにさ・・・。

けっこうしんどかった。


それで気がついたんだ。


おまえも同じなんだよな。

どれだけ嫌な事あってもカメラの前では笑顔作らなきゃいけない。

そういう仕事なんだって事。


疲れて家に帰ってきて、そのうえ俺に追い込まれて・・・かわいそうだったね。

俺がわかってやんなきゃいけないのに・・・。 本当ごめんな。」


ヒカルは何度も謝りながら

私を抱きしめてくれる。


私もヒカルの背中に手を回す。


心が触れ合った気がして自然と涙が溢れ

わだかまりが溶けていくのを感じた。


「ヒカル・・・ありがとぉ。」


私はヒカルを抱く手に力をこめてお礼を言う。


ヒカルの優しさに包まれて幸せを感じながら

私はまた自己嫌悪に陥っていった。


ヒカルだってつらいはずなのに

こんなに優しくしてくれて・・・

私はこれから先もヒカルにつらい思いをさせてしまうというのに・・・


そういう職業なんだ。

愛される資格なんてないんじゃないか・・・。


また自分を嫌いになりそうで胸が締め付けられ

悲しい気持ちになっていった。



どうやったら幸せになれるのか・・・。まったく・・・。袋小路ですね^^;

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