第062話 補導 | らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】

第062話 補導

テレビで見た事があるような取調室だ。

私は『補導』されたらしい。


「年齢確認は何でしたの?」

「保険証のコピーを持っていきました。」

「人のを借りたのかな?」

「いえ。生年月日の数字を切り貼りして

それをコピーしたのを提出したんです。」


刑事さんは言われた通りに

すらすらと調書を書き進める。


「親は何してるの?」

「お母さんは普通の主婦です。」

「母子家庭?」

「・・・違いますけど?」

「そう。お父さんは?」

「医者です。」


意外な顔をされるのには慣れているけれど

あまりにも露骨に眉をひそめる刑事さんに

私はうんざりする。


どうやら親が迎えに来るらしい。


「手帳見てもいい?」

「別にいいですよ。」

「この星マークは何?」

星のシールは援助交際をした日に貼っている。


「デートした日です。」

「この手帳、コピーしてもいい?」

「別にいいですよ。」


ドアをノックする音がして

二人の警察官が入ってきた。


違う部署の刑事さんから

質問があると言われる。


「おまえ、薬とかやってないだろうな?」

いきなり顔を覗きこまれる。


「はぁ?!やってませんけど?」

「腕見せてみろ。」


私は両腕をまっすぐに伸ばして

腕の内側を見せる。

太陽を浴びていない白くて綺麗な腕だ。

当然注射の痕なんてあるわけがない。


どれだけ不良だと思われてるんだか・・・。


「未成年でAVに出てる子とかいないか?」

「はぁ?!・・・・知りません。」


なんだこれ!

信じられない・・・。

つくづくうんざりしてしまう。


薬だとかAVだとか・・・

私には全く関係のない世界の話だ。


二人の警察官が出ていくと

担当の刑事さんが煙草を吸いはじめた。


「私も一服したいんだけど。」

頭にきていたので

生意気な態度を取ってやろうと思ったのに

「ここまで書いたら吸わせてやるわ。」

と言われてしまう。


『警察は17歳に煙草を吸わせてくれるんだ。』

かなり意外だ。


調書を取り終わると

その刑事さんは

自分の吸っていた

マイルドセブンを一本くれた。


刑事さんもやっぱり

私を怒ったり

咎めたりはしない。

どことなく優しささえ感じる。


『少女A』なんだなぁ。

と実感する。


悪いのは

私じゃなくて

親という事になるらしい。


ポラロイドカメラで写真を何枚か撮られる。


「かわいいから俺のデスクに入れておこう。わはは」

などと刑事さんは冗談を言っている。

悪い人ではなさそうなので

それから少し世間話をした。


またノックの音がして

今度は婦人警官が入ってきた。


「お母さんが迎えに来たわよ。」


お母さん・・・。


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