第061話 青空
その時インターホンが鳴った。
時計を見ると10時を少し回っている。
理由はわからないけれど
優弥が戻ってきたんだと思い
急いで玄関のドアを開ける。
ドアを開けると
お店の店長と
私を面接した時の主任が立っていた。
『うっ?! やっべー!男連れ込んだのがバレたか…。』
「どうしたんですかぁ?こんな時間に。」
寝ぼけた振りをして
二人の顔をうかがうと
とりあえず都合の良い話ではなさそうなので
頭をフル稼働して
言い訳を考えはじめる。
店長の口から出てきたのは
意外な言葉だった。
「まりも、おまえ本当の年齢を言いなさい。」
『!?』
だめだ。
そうくるとはまったく予想していなかった。
『なんでだろう…』
考えている時間はなさそうだ。
私は観念して正直に答える。
「…17です。」
二人は暗澹たる表情を浮かべて
同時に深いため息をついた。
「今から、新宿警察署に行くから仕度をしなさい。」
厳しい口調で店長が言う。
「え?警察?」
警察と聞いて
私は驚きを隠せない。
警察に行くだなんて
なんだかとんでもない事の様な気がして
すごく不安になってしまう。
この状況をどうにか回避したいけれど
二人の顔を見ると
この先の事はもう決まっているみたいで
私が何か言える余地はなさそうなので
諦めて着替え始めた。
私は普段着というものを持っていない。
トレーナーとかTシャツとかスニーカーというものを
一つも持っていないので
ボディコンとハイヒールで警察署に向う。
店はホステスの在籍が200人を越えている。
未成年を働かせていた事が表に出ると営業停止になる。
その損失は膨大な金額になり
こういう時は自ら出頭して警察に恩赦を請う。
そういうマニュアルがある。
車の中では
店長がそんな事を話している。
私は別に怒られるわけでもなく
ただ
事がたんたんと進行していくのを感じる。
『私どうなっちゃうんだろう・・・。』
車の中から
めずらしい太陽を眺め
青空が私の瞳の中を流れていく。
新宿警察署はとても大きい。
警察と聞いて私は
交番の様な所を想像していたので
その大きさに威圧されてしまう。
駐車場には
たくさんの警察官がいて
たぶん出動準備をしているのだと思う。
私が場違いな格好をしているからか
警察官も単なる男だからか
ジロジロと見られて嫌な気分だ。
警察署の担当部署に行くと
店長と主任が腰を90度に折り曲げながら
何度も何度も謝っている。
そんなにヤバイ事なんだろうか?
私は状況がよく飲みこめていない。
一人の刑事さんがやってきて
調書を取るといい
小さな部屋に入るように言われた。
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