シャワーを浴びてスッキリしているけど、本当にヨゴレは取れているの?こんな風に気になるようになったのは、昨日、お風呂上がりに髪も乾かさずに寝たから。
今まで気にしたことがなかったけど、さすがにこれではいけないと思い直してドライヤーで髪を乾かすことにしたのだ。
でも……。
いざ乾かそうと鏡の前に座ると、私の目に飛び込んできたのは自分の姿だった。
そこには私がいた。
だけどそれは、私が知っている自分ではなかった。
そのことに愕然とする。
このところずっと見ていなかった自分の顔がそこにあった。
鏡の中の私はひどく疲れていた。目の下の隈が色濃く残り、頬がこけて顎のラインがくっきりと見える。血色は悪く、肌の色艶もなかった。まるで死人のような顔をしていた。
――これが……私なの? あまりの変化ぶりにショックを受ける。
でもそれは当然のことかもしれない。ここ最近、自分がどんな生活をしてきたのかを思い返せばすぐにわかることだった。
毎日遅くまで仕事をし、休日出勤をして、家に帰ってからも仕事をしていた。眠る時間を削って仕事に打ち込んでいた。食事の時間すら惜しんで食べながらパソコンに向かっていた。そんな生活を繰り返していたのだ。
その結果がこれだ。
身体を壊すのも無理はない。――なんてことだ! 私は頭を抱えたくなった。
どうりで肌荒れやニキビができるわけだ。
――あぁ……
私は深いため息をつく。
そして思い出す。
そういえば化粧水を使っていなかったことを。
――いかんいかん。
今は反省している場合ではない。
まずはこの悲惨な状態をどうにかしなければならない。
とりあえず化粧水を塗ろう。それからパックをして睡眠を取らなければ……。
私は急いで洗面所を出てキッチンに向かった。冷蔵庫を開けるとペットボトルの水を取り出す。それをグラスに注ぐと一気に飲み干した。カラカラに渇いた喉に冷たい水が心地いい。
一息ついたところで私はふとあることに気づいた。
――あれっ? いつもならここで何かしらのお腹が鳴るはずなのに今日に限って何もない。不思議に思いながらも、まあいいかと流し台に置いてあった食パンを手に取った。そのままトースターに入れて焼くことにする。
焼けるまで待っている間に、棚の中から瓶を取り出した。中には蜂蜜が入っている。それを見ながら私は少しだけ躊躇った後、スプーン一杯分の蜂蜜を口に含んだ。舌の上で転がしながらゆっくりと味わうように咀噛していく。
甘さが口の中に広がっていくと同時に心が満たされていくような気がした。それと同時に、全身へと染み渡っていくような感覚を覚える。
――あぁ……美味しい……
ホッとした瞬間だった。急に強い眠気に襲われる。瞼が重い。それに抗うことができず、私はそのまま眠りに落ちていった。
