「もうひとつの脳」には現代の薬物療法の考え方が書いてあります。
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今では、多くの精神疾患がシナプス伝達の欠陥に起因すると理解されている。となると、グリアの異常が精神疾患に与える影響の重大性は、容易に推測できる。統合失調症や双極性障害やうつ病に対する現代の治療薬は、特定の脳回路における神経伝達のバランスを回復する薬物に基礎を置いている。
シナプス隙間から神経伝達物質を排出することは、次のメッセージを伝えられるように、黒板を消すような作業だ。しかし、薬物によって再取り込みが遅くなると、黒板はすばやく消されなくなる。そのためシナプス隙間に、一定量の神経伝達物質が少し長く停滞することになり、メッセージを読み取る時間が延びるので、精神疾患に罹った人々の弱くなっているシナプスの結合を増強することになる。
例えば、ADHDの薬が覚せい剤と似た構造をもつということで危険とか言っている人がいます。
では果たして、ADHDの人の場合はどのように作用しているのでしょう？
ADHDの場合、ドーパミンが少ないと言われています。
そこでドーパミンを回収するドーパミントランスポーターに作用する薬がつかわれます。すると、ドーパミンが回収されないのでメッセージを読み取る時間が延びたことでシナプスの結合が強化されて情報の伝達がスムーズになるんです。
その結果、視界が変わったとか、物がよくみえるようになったりするのです。情報の伝達がよくなったということなんですね。
でもドーパミンの量が正常な人では繋がりがさらに強化されるので問題があるか思います。
向精神薬は神経伝達物質のバランスを正常にするために使われれば問題はありません。しかし、推測するのは簡単ではないので試行錯誤するのです。
薬が危険とかいう人は薬について何も知らないのでは？副作用がない薬なんてありません。